第五十八話 睡魔との闘い
「ルシフェルー」
「おかえりー」
「『嘆きの壁』はダンジョンじゃなくなってたっぽいぞー」
「はぁぁ。そうかー」
「もっと喜べよぉ」
「喜びたいんだけどねぇ……僕の想定外のことが起きてるから、素直に喜べないよねぇ」
落ち込むルシフェルに俺は気力を振り絞って語りかけた。
「前にウリエルの話しただろ? ウリエルは外の世界のこと、ちょっとわかってるんじゃないかって」
「そうだったね……」
「ルシフェルも、仲間を頼ったらいいんじゃないか? 俺みたいにさ」
「ルゥ……。うん。そうだね」
ルシフェルは頷くと、俺に向かってこう言った。
「じゃあ、ウリエルに聞いてきて」
「自分で行けよ! もう眠いんだよ!」
「管理者同士はよっぽどのことがない限り同じ場所にいちゃだめなの! ルゥにしか頼めないんだ!」
「よっぽどのことが起きてるだろ! 寝かせろよ!」
「いいから! 頼んだよ!」
俺の視界が暗転する――
「……は?」
「あら? 使徒くんじゃない」
俺は強制的にウリエルの元へ転移させられていた。
……ルシフェル。戻ったら一発殴ってやるからな。
「ルゥです。突然すみません」
「今度はどうしたの?」
「えーっと、悪魔達に異変が起きてるみたいで、ウリエル様なら何か知ってるかなと思ってきたんですけど……」
「異変? ちょっと、失礼するわね」
ウリエルはそう言うと、俺の頭に手をかざした。
「あらあら、ほんとね。これはちょっとおいたが過ぎるわね」
「今……何したんですか?」
「ルゥくんを通して世界を覗いたのよ」
「えっ!? やっぱり外の世界のことが分かるんですか!?」
「分かるって言っても、ルゥくんのように私の前に人が現れないと視えないんだけどね」
「凄いじゃないですか! じゃあ、他の悪魔の居場所とか、わかりませんか!?」
「ごめんなさい……。私にできるのは、ルゥくんの周りの世界を見ることだけなのよ」
「そう、ですか……」
落ち込む俺にウリエルは励ましの声をかける。
「でも、悪魔達の異変については、だいたい分かったわよ」
「ほんとですか!?」
「ええ。奴らは『世界樹』を取り込むことで、存在を進化させているみたいね」
「『世界樹』……『進化の秘宝』や『種』に使われてたやつだ……」
「まぁ、サムヤサが消えて、これ以上の進化は望めないでしょうけど」
「……世界樹はどこにあるんですか?」
「気になる?」
「なりますよ!」
「それは、まだ教えられないな。ごめんね。でも、悪魔達もその手段を失ったから……その点は安心して」
「……どういうことですか?」
「ルゥくんが倒した『カミエル』だけど、転移の権能を持っていたのよ」
「あっ。それで……」
「いきなり現れたでしょ?」
「はい」
それに……初めて奴らに遭った時は、消えたんだ。
「本来なら、権能は一度使うと一カ月は使えなくなるはずなんだけど……世界樹の影響でその制限が無くなってたみたいね」
「なんてこった……じゃあ他の悪魔達も……?」
「私たちが知ってる悪魔よりも、手ごわくなってそうね」
「……そうですか」
「元気出して! ルゥくんなら大丈夫よ! おねーさんが保証してあげる」
……そんなこと言われてもなぁ。
「そんな目で見られると悲しくなっちゃうじゃない。ほら、これあげるから元気出して」
そう言ってウリエルは飴玉を差し出した。
「ありがとうございます」
礼を言って受け取ると、ウリエルは意味深なことを口にした。
「その飴は、仲間の魔法使いさんにあげてね。きっと、喜ぶわよ」
「分かりました。ありがとうございました」
※※※※※
「おいルシフェル! よくも飛ばしてくれたな!」
「何か分かった?」
「分かったよ! でも教えてやらん!」
「えっ!? そんなこと言わないで教えてよ!」
「自分で聞きに行けばいいだろ! 俺はもう帰って寝る! 限界だ!」
「これ食べたら元気になるよ?」
そう言ってルシフェルはいつかの『豆』を差し出した。
「いつもの『豆』じゃねーかよ! 食べ過ぎて思い出したくもない! じゃあな! 俺は帰る!」
そう言い放ち、俺は転移した。
※※※※※
「おや? ルゥ殿……早く帰って休むがよかろう」
俺を見たラグエルは、事情を察してくれたのか、労いの言葉をかけてくれた。
「ありがとうございます……」
「ぐあっ!」
塔を出た瞬間、朝日が俺の目につき刺さった。
ふらふらとおぼつかない足取りで宿へ戻った俺は、自分の部屋の布団に倒れ込み、そのまま意識を手放したのだった……。
読んでくださってありがとうございます!
説明回であり、答え合わせ回でもありました!楽しんでいただけたら幸いです(*´ω`*)
お気づきの方がいらっしゃったら本当に凄いと思いますが……カミエルの初出し、何話だったでしょうか?( *´艸`)暇なときに探してみてください(笑)
では、次話もお楽しみに!(*‘∀‘)ノシ




