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第四十七話 トレインカー

「お待ちしておりました」


 オレントの屋敷の玄関を開けると、当然のようにサンタナが頭を下げて待機していた。

 最近……サンタナの執事レベルがもの凄く上がってる気が……。

 サンタナの案内でルチアの部屋に入るとグランとシルがいた。

 二人がいるのはリーズに聞いて知ってたけど……珍しい組み合わせだな。


「「「おかえりなさい」」」


「ただいま。珍しいな、この三人の組み合わせ。どうしたんだ?」


「べべべっ、別にー。ただの雑談だよ! なぁ」


 ……絶対嘘だろ。

 ルチアもシルも頭抱えてるじゃねーか。


「ほお。俺に隠し事するとは……いい度胸だね、グランくん?」


「なっ! 何も隠してないぞ! 俺を疑うのかよ!」


「疑いしかないな」


「くそっ! 俺たちの友情はどこへ行ってしまったんだ!」


「グランは11歳の時……」


「やめてくれ! それはダメだろ!?」


「じゃあ話せよ」


 グランはシルとルチアの顔色を窺った。


 ……。


「やっぱいいや。それより、ルチアに相談があるんだ」


 部屋全体が安堵の空気に包まれる。


「……相談ですか?」


「ああ、ちょっと俺にはどうにもできない問題でさ――」


 俺はマリーノで起きている再開発計画についてルチアに相談した。


「なるほど……確かに、一人で何とかできる問題ではありませんね」


「だよな。でも、何とかできるなら、してやりたいんだ」


「そうですね……方法がないわけではありませんが……」


 流石ルチア! 何か思いついたんだな!


「その、カナエという女性を紹介していただきたいですね」


 ……ルチアの後ろにオーラが見える。気がする……。


「あ、ああ。もちろんだ。でも、マリーノだぞ? 遠くないか?」


「問題ありません。ルゥに比べたら早くはありませんが、『トレインカー』を使えば一週間で着けますから」


 ……とれいんかー?


「なにそれ?」


「『トランジェント商会』が開発した乗り物です。つい最近、完成したんですよ」


「凄いな……どんな乗り物なんだ?」


「実際に見ていただいた方が早いですね。行きましょうか」


 そう言ってルチアは席を立った。


 ※※※※※


 トランジェント商会が所有する倉庫の一つ。そこには、巨大な馬車の客車のような乗り物が置かれていた。


 そして……()がいた。


 ルチアが、乗り物のそばで指示を出していた()に声をかける。


「キリエ。テストは順調ですか?」


「おねぇ様! もちろんです! おねぇ様のために、キリエは頑張っております!」


 ……相変わらずだった。

 一応、離れて活動できるようになったんだなぁ……。


 ふと、キリエと目が合った……。


「こっちを見るな。穢れる。汚物が」


 ……こ、コイツ……前より悪化してないか?


「はぁ……。キリエ。『トレインカー』について説明しなさい」


「はぁい♡ おい……心して聞けよ。この『トレインカー』は、これまでの常識を覆す画期的な乗り物だ。まず動力として――」


 ……やばい。全く話が入ってこない。


「おい。聞いてるのか?」


「もちろんだ」


「動力は何か答えろ」


 ……。


「あれだろ? 『進化の秘宝』」


「ちっ。それでだ。車体にはハイスチール、そして――」


 あ……合ってたの?


「つまり……半永久的、かつ快適に移動ができる乗り物ということだ」


「それは凄いな……」


「褒めよ! 称えよ! 崇めよ!」


「うざいな」


「あぁ!?」


 しまった……つい本音がこぼれた。


「キリエ。ご苦労でした。仕事に戻りなさい」


「はぁい! おねぇ様! 後でご・ほ・う・び♡ くださいね!」


 ……なんか疲れた。


「ルゥ。トレインカーの中も見てください」


「あ、あぁ」


 俺たちはルチアに案内されトレインカーの中へ。


「すっご! ホテルの部屋みたいだな!」


 両サイドにはソファーが並び、テーブルが置かれている。しかも、キッチンにトイレまであるのか!?


「内装は……少しこだわりました」


「少しじゃないだろ。ほら、グランだって大はしゃぎだ」


 グランは子どものように、あちこちの扉を開けまくっている。


「ルチアさん、このトレインカーは何人まで乗れるんですか?」


「10人乗りの設計よ」


「じゃあ、みんなで行けますね!」


「ええ。もちろんそのつもり」


「よし。それじゃ、みんなでマリーノまで行こうか」


「「「はい(おう)!」」」


 ※※※※※


 トレインカーの最終調整や、旅の準備に一日費やし、ついにソドムを出発することになった。


「サンタナ、ダイラ。留守を頼みますね」


「お任せください」


「お嬢、気をつけてな」


 二人に挨拶をすませ、俺たちはトレインカーに乗り込んだ。

 

「準備はいいかぁ? トレインカー始動!」


 ……運転するのはキリエだった。


 ゆっくりと動き出すトレインカーのソファーで外の景色を眺めながら、俺は旅の安全を心から祈った。

読んでくださってありがとうございます!

PTを乗せて移動することができる乗り物が登場しました!( ゜Д゜)

トレインカーって……どうですかこの壊滅的なネーミングセンス……_(┐「ε:)_(笑)

そして!再びキリエが登場です!少し先のお話で彼女は大いに活躍してくれるので、楽しみにしててください( *´艸`)

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