↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/58

第三十七話 婚約者

「どうしたんだ?」


「ちょっと、この絵を見てくれよ」


 俺はミモリが描いた絵を皆に見せた。


「うわ! めっちゃ上手いな! 誰が描いたんだこの絵?」


「ミモリだよ」


「「「えっ」」」


 その場にいた全員が固まる。


「こんな才能まであるなんて……」


「だんだん驚くことにも慣れてきました……」


 サリアとシルは、なんか疲れた顔をしている。そして……。


「ミモリちゃん! 私のことも描いてください!」


 リーズはちゃっかりしてんなぁ……。じゃない。


「この男のこと、誰か知らないか?」


 オレントの三人は首を振る。


「んー、どっかで見たことあるような……ないような?」


「私も……」


「もやもやしますね……」


「頼む! 思い出してくれ!」


 対の刃の三人は、揃ってうんうんとうなり始めた。


「エリオット=アルバートですよ」


 ぽつりと、背後から声がした。


「そうだ! エリオットなんとか! Aランク冒険者だよ!」


 グランがすっきりした顔で手を叩く。


「Aランク冒険者か! って、あれ?」


 背後から聞こえた声に振り返ると、リーズが複雑そうな顔で佇んでいた。


「リーズの、知り合いか?」


 俺の問いかけに、リーズは唇を噛む。


「私の……元婚約者です」


「「「えっ」」」


「あはは、私、実はこれでも子爵家の娘なんですよね」


 リーズは苦笑いを浮かべ、頭をかいた。


「エリオットは、アルバート男爵家の次男で……まぁ、よくある政略結婚……みたいな」


 リーズ以外の三人に視線を向けると、全員が首を横に振っている。


「……いいのか? 俺たちに話して」


「いいんです。隠すことでもないですし、もともと、私に貴族の世界は合わなくて、勘当同然で家を飛び出してきたんですから。それに……」


「……それに?」


 リーズは俺の目を真っすぐ見た。


「エリオットは、『イーリス教』の信者でした。彼の考え方が、私には……受け入れられなかったんです」


「そうか……。話してくれてありがとう」


「いえ! それに、今の私には師匠がいますし!」


「「えっ」」


 ……は? なんて?


「ちょっとこちらへ」


 ルチアとシルがリーズの両脇を固め、隣の部屋へ引きずっていった。

 ……なにやってんだ、あいつら。


「アルバート男爵家について、なんか知ってるやついるか?」


 気を取り直して、残ったメンバーに尋ねようと振り返ると……全員がニヤついた目で俺を見ていた。


「おい。知ってるやつ、いるか?」


 もう一度、声を低くして問いかけると、サンタナが咳ばらいをした。


「そうですね。詳しいわけではございませんが、王都ボルドリーに屋敷を構える貴族だったかと。現在の当主はキルロス=アルバート。Aランク冒険者でしたが、その功績を称えられ、爵位を授与されたと……記憶しております」


 ……結構詳しいじゃん。


「なるほどなー。エリオットも親父さんにあこがれて、冒険者やってんのかな……」


「きっかけはそうかもしれませんが……今の彼は、どちらかというと『イーリス教』の教えに染まりきっている感じが強いですね」


 いつの間にか戻ってきたリーズがそう呟いた。


「……と、いうと?」


「『最強になって、俺が人類を導くんだ』って思ってそうです」


 あいたたた……。こじらせちゃってんなー。


「エリオットは、今どこにいると思う?」


「……普通に家じゃないですか? 出奔したという話は聞いたことないですし……」


「……王都か。あんまり近づきたくないんだけどなー」


「それなら、オレントの者に見張らせましょう」


「おお! 助かるよ!」


 俺はルチアの提案に乗っかることにした。


 ※※※※※


「うぉぉ! すげーなこの部屋!」


 エリオットの情報が手に入るまで、オレントのホテルに滞在することになったのだが、その広さと高級感に当てられて、グランがおかしくなった。


「何だよこのベッド! めちゃくちゃ跳ねるぞ!」


「鎧くらい外せよバカたれ」


 俺に叱られ、渋い顔で鎧を外したグランが、仕返しとばかりに口を開いた。


「で? お前は誰を選ぶんだよ?」


「……選ぶ? 何をだよ」


 はぁぁぁ。

 グランの深い溜息が広い部屋に響き渡る。


「お前さぁ。世界を救うって使命があるのは分かるけどな? 別に、自分の幸せを後回しにする必要はないんじゃないか?」


 グランの言葉が俺の胸につき刺さった。……俺の、幸せ?


「そもそも、お前が使命を達成するのに、どれだけ時間がかかるか分かんねーだろ? 恋愛したぐらいでルシフェル様は怒らねーさ。……きっと」


「……いきなりそんなこと言われたって分かんねーよ。……今だって十分幸せなんだ。俺は」


「お? なになに? もう一回いってみ? っあ゛ぁぁぁぁぁ!」


 にやついた顔で近づいてきたグランに、アイアンクローをおみまいしてやった。


 それから数日後――


 イチゴたちに戦い方を指導していると、ルチアとサンタナがやってきた。


「ルゥ。エリオットに動きがありました」


「お、ようやくか。どこに向かったんだ?」


「方角からすると、イチゴたちが以前住んでいた洞窟かと」


「なるほどな……イチゴたちの成長が気になったのかな?」


 俺の言葉にルチアは思案顔になる。


「どうした?」


「いえ……ずっと気になっていたのですが、エリオットは、なぜイチゴたちに結晶を使ったのでしょうか?」


「そりゃ、実験みたいなもんじゃないのか?」


「そう、ですね。でも、『イーリス教』の信徒であれば、モンスターにではなく、人間に使うのではないかと考えてしまって……」


 ……言われてみればその通りだ。人間の進化を目指すなら、人間に使った方が手っ取り早い。何か別の意図があるのか?


「……よし。本人に聞いてみよう。こういう時は……サンタナ。頼めるか?」


「畏まりました」


「あとは……リーズ! お前はどうする?」


 ミモリに絵を教えてもらっていたリーズに声をかける。


「興味ないんで! お留守番してます!」


 身もふたもない答えが返ってきた。


「んじゃ、いっちょ締め上げてくるか!」


 今回は毒で死なせるような失態はできない。

 何としてもサムヤサのことを聞き出さないとな……。

読んでくださってありがとうございます!

リーズは貴族だったんですね(笑)って、いつかこの設定を使いたいなーって思っていて、ようやく実現しました!(;^_^A

本編に絡めて使うことができたので満足です!( *´艸`)

貴族でAランク冒険者のエリオットとは……次話もお楽しみに!(*‘∀‘)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。