第三十一話 サムヤサの謎
今日から三日間、昼と夜の二回更新です!
隙間時間にお楽しみください!<(_ _)>
「ルシフェルー! サムヤサって悪魔のこと……あれ?」
ルシフェルの部屋にルシフェルがいない……だと?
あいつ、塔からは出られないって言ってなかったか?
「わっ!」
「うおぉ!」
いなかったはずのルシフェルが、俺の背後に出現した。
「な、なにしてんだよ。びっくりしたぁ」
「ふふん、ルゥもまだまだだね」
「はぁ? お前、絶対今ここにいなかっただろ! どういうことだよ?」
「じゃん! これを試してきたんだよ!」
「……なんだこれ」
ルシフェルの手のひらには、羽をかたどったピアスが二つ。
「これはねぇ……聞きたい?」
「はよ言え」
「しょうがないなぁー。これはね、この世界の塔と塔を行き来できる、僕が作ったオリジナルのアイテムさ!」
塔と塔を行き来できる……?
「すげーじゃん! マジかよ! うぉぉぉ! 流石ルシフェル!」
「でしょー! もっと褒めて褒めて」
「いや、ちょっと待て……実は使用に制限がありまーす! とかじゃないよな?」
ルシフェルは一瞬で真顔になった。
「なかなか鋭いじゃないか……。制限はあるよ。移動した先の塔を制覇しないと、外には出られない」
「おい、重いぞその制限」
「今のルゥなら余裕でしょ!」
「……まぁ、スキルを使えばな」
「ルゥ以外に使ってもらっちゃ困るからね。これで良いんだよ」
ルシフェルの言葉と共に手の上からピアスが消えた。
「よく似合ってるよ」
「……え? うわ! 耳になんか着いてる!」
「だからピアスだって」
「……ありがたく使わせてもらうよ」
ルシフェルは満足そうに微笑んだ。
「そういえば、今日はどうしたんだい?」
「あ! そうだ! サムヤサって悪魔……なんだよその顔」
「一番思い出したくない悪魔の名前が出てきた……」
ルシフェルがこんなに嫌そうな顔をするなんて……。
「どんな奴なんだ?」
「頭がおかしい」
シンプルだな。
「……それだけか?」
「会話ができない」
「いや、もう少しさ、権能とか、見た目の特徴とか、なんかあるだろ?」
「……思い出すのも嫌だ」
こどもかよ。
「はぁ。……実はさ、そのサムヤサって奴が、人間に変な知恵を与えてるみたいなんだよ」
俺は『進化の秘宝』を取り出した。
ルシフェルは手に取って眺めている。
「んー……これ、変異した世界樹の核が使われてるね」
やっぱあれが元になってるのか……。
「多分、『種』を作ってるのもサムヤサじゃないかな」
「へぇ。ってことは、サムヤサを倒せば『種』と『秘宝』の問題は解決するってことか?」
「たぶんそう。だから早く倒してきて」
「どこにいるか探ってんだよ!」
全く……ルシフェルがここまで嫌がるなんて、どんな奴なんだ……?
結局、それ以上ルシフェルからはまともな情報を得ることができず、俺は塔を出て図書館へ向かった。
「あら、この間の」
「こんにちは」
図書館の中央のカウンターには、今日も司書さんが一人。
……相変わらず静かだ。
「今日はどんな本をお探しですか?」
「『悪魔』について書かれた本って、ある?」
「お待ちください」
司書さんが呪文をつぶやく。
「申し訳ありません。当館には『悪魔』を扱った書籍は所蔵しておりません」
……だめかー。
「あ! それなら『サムヤサ』ならどうかな?」
「かしこまりました。――『サムヤサ』に関する書籍は三冊あります」
「三冊とも貸してほしい」
俺は前と同じ場所に座り、一冊目の本を開いた。
パタン
俺は静かに本を閉じた。そして、静かに机に突っ伏した。
やばい。頑張って一冊読んでみたが、サムヤサの魅力から始まり、サムヤサの功績が延々と続き、最後はサムヤサは人類の救世主である。だとさ。
これ書いたやつ、完全に狂ってるわ。
うぅ……二冊目、読みたくない……。でもなぁ……次はアタリかもしれないしなぁ……。
俺はなんとか気力を振り絞り、二冊目の表紙を開いた――
パタリ
最後までたどり着くことすらできず、俺は静かに力尽きた……。
あ、背表紙に書いてある著者、一冊目の本と同じじゃん……。俺は激しい後悔と、己の未熟さに身もだえた。
三冊目。別の著者であることは確認した。
タイトルは『進化への道筋』。
『進化』――女研究者やクエルボがしきりに口にしていた言葉だ。
俺は覚悟を決め、表紙を開く。
『進化』とは、生物が長い年月をかけて少しずつ姿を変えていくことである。
本来であれば、何百年、何千年とかかるその変化を、サムヤサは一瞬で成し遂げることができた。
そして、サムヤサはその『知恵』を他の人間に分け与えた……。
……さっきの二冊よりはマイルドだな。
でも俺が知りたいのは、そこじゃない。
月日は流れ、サムヤサは寿命を迎えた。
……え?
しかし、サムヤサの意思を継いだ弟子たちは、更なる『進化』を求め研究を続けた。
……は?
いつしか弟子たちは『十賢人』と呼ばれるようになった。
はぁぁ?
え? 『十賢人』って何だよ? 有名なのか? いや、待て……サムヤサ死んでるの? どういうことだよ! だめだ。俺一人の手に余る……。
パンクしかけた頭に手を当て、俺は静かに席を立った。
こんな時は……サリアだな。
読んでくださってありがとうございます!
ルゥとルシフェルの掛け合いも年季が入ってきましたね(^ω^)
書いててとても楽しいです(笑)
前回もそうでしたけど、図書館のシーンも結構好きなんです。
皆さんにも楽しんでいただけていたら、何より幸せです( *´艸`)




