表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/48

第三話 〘施錠〙

 デカネズミを撃破した後、俺はその勢いで順調に階層を上がっていった。階層主を倒すとレベルが上がる仕組みらしい。レベルが上がるたびに身体能力が上がり、スキルが使えない俺でも剣一本で戦えることに自信が湧いてきた。

 しかし……十三階層でその自信は粉々に砕かれた。


「ワニゲーター……」


 鋭い牙と大きな口、長い尾を持つ四つ足歩行のモンスターだ。硬い鱗に覆われたその体は、高い防御力を備えている。俺は剣を抜きワニゲーターの背中を切りつけるが……。

 

 ガンッ!


 鈍い音とともに刃ははじかれてしまった。

 ……斬れない。


「くそっ……時間がかかりそうだ、な!」


 切れなくてもダメージは蓄積するはず!俺はワニゲーターの牙、爪、尾の攻撃をかわしながら、もはや鈍器と化した剣で殴り続ける。俺の予想通り、ワニゲーターは徐々に動きが鈍くなっていった。


「よし、いけそうだ」


 俺が勝利への道筋を確信したその時――


 バキッ!


 叩きつけた俺の剣は、耐久力の限界に達して根元から折れた。


「は?」


 嘘だろ?

 あっけにとられ隙だらけの俺に、ワニゲーターは勢い良く尾を叩きつけた。


「っぐっがぁぁ!」


 俺は軽々と吹き飛ばされ、床を転がる。早く立ち上がらなければ……しかし体が痛みで硬直し、思うように動けない。


「があ゛ぁぁぁぁぁ!!」


 仰向けに倒れている俺にワニゲーターが圧し(のし)かかる。

 やばいやばいやばいやばい!!

 俺の目の前で、ワニゲーターが口を開ける。

 そして、時間が引き飲まされたように、ぬらりと光る鋭い牙が、ゆっくりと俺に迫る。


「や、やめ!」


 バグンッ!


 そこで俺の意識は途絶えた。


 ――目を開けると真っ白な空間が広がっていた。


 あれ? 俺は……?

 震える手で頭や体の状態を確かめる。


「……生きてる?」


 意識が混濁していた。


「おかえり」


 耳に届いたルシフェルの声に、俺の意識は急速に覚醒した。


「おかえりじゃねーよ!!死ぬかと思ったじゃねーか!!」


 俺は上半身を跳ね上げて、腹の底から込み上た怒りをルシフェルにぶつけた。


「ごめん。僕のミスだ。」


「なっ……」


 神妙な面持ちで素直に謝るルシフェルに、俺は勢いをそがれてしまう。


「……ミスってなんだよ」


「階層主のレベルが、挑戦者より『1』高いっていうこと、説明してなかった」


 そうだよ。それで苦労してるんだこっちは……。


「でも塔で死ぬことはないから、安心して」


「そういう問題じゃねーよ!!」


 他人事だと思って!! 確かに死んではいないけど!? 死ぬほど痛いし苦しいじゃねーか!! 今でも思い出しただけで震えてくる……くそっ! 怒りで頭がおかしくなりそうだ……。


「……他に言い忘れてること、ないよな?」


「ん?えーっと……あ!」


 あるのかよ……。


「塔で死ぬと、レベルが『1』下がります」


「下がります。じゃねーよ!!」


 折角上げたレベルが下がるとか悪夢じゃねーか!


「あと、再挑戦する時は、踏破した階層の一つ下の階からスタートです。説明は以上!」


 なにその満足げな顔……ぶん殴りたいんだけど……。


「最後に、十階層を超えたルゥにプレゼントだよ」


 ルシフェルの言葉に合わせて、俺の前に新しい装備が現れた。


「あのさ……これって、攻略途中に貰えないのか?」


 俺の質問にルシフェルは顎に手を当てて考える。


「んー、それじゃあ十階層毎に、ここに戻れるようにしよう!」


 ひらめいた! って顔やめろよ。

 俺のルシフェルに対する評価はダダ下がりである。


「あと、飯は?」


「食べたい?」


「当たり前だろ!!」


「ここにいる間は別に食べなくても平気なんだけどなぁ」


 いや、飯ぐらい食わせてくれよ……。


「じゃあこれ」


 俺の前に袋が現れる。その中入っていたのは……。


「……豆?」


「うん」


「……肉は?」


「ないよ」


「……米は?」


「ないよ」


「終わってる!!」


 だめだ、ここにいるとおかしくなる……。一刻も早くここから脱出しなければ……。


「もういい。わかった。行ってくる」


 俺の言葉にルシフェルは満足げに微笑んだ。


「行ってらっしゃい」


 戻ってきたぜ十一階層。俺は階層主の部屋まで急ぎ足で進む。ルシフェルの説明通りなら、俺のレベルは今、12のはず。つまり、ここの階層主と同じレベルだ!


「出たなアンガーホース」


 一度倒した相手だ。油断しなければ、なんてことない相手だが……。


「これでようやく試せるな」


 俺は不敵に笑い、スキルを発動する。


〘施錠〙


 ドサッ


 目の前にいたアンガーホースは、その場で崩れる様に倒れ、光の粒となってちりじりに消え去った。


 す、凄い……。これが、鍵司の……俺の力……。

 目の前で起きた現実と、大きすぎる力に身震いする。世界を救えると言われた理由が、ようやく分かった。


「この力があれば……。救ってやるさ。この世界を」


 俺はようやく自分の使命を受け入れることができた。

読んでくださってありがとうございます!

少しでも楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです。


三話めでようやく施錠をお見せすることができました(;^_^A

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
今日も読ませていただきました。 主人公がちゃんと死ぬ(死んでない)がいいですね笑 ルシフィルの適当キャラとルゥのツッコミが光ってて面白かったです! 鍵司、格下や同レベルだと最強の職業ですね! 食べ物…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ