表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/51

第二話 希望と絶望

「僕は『ルシフェル』だよ。よろしくね」


 ルシフェルはそう言って微笑んだ。その顔からは、先ほどまで感じていた威厳がすっかり消えている。

 なんか、さっきまでと雰囲気が変わった?


「……ふぅ。疲れたぁ」


 いきなり人間味を帯びたルシフェルは、いつの間にか現れた純白のソファーに体を預けながら、満足そうに息をつく。


「いやー、引き受けてくれてほんと助かったよ。それっぽく振る舞うのも疲れるし、でも、いい仕事したよね」


 ……もはや別人。あれ? コイツ、結局何者なんだ?

 

「あの……ルシフェル様は、神様ですか?」


 俺の問いかけにルシフェルはきょとんと眼を丸くし、そして苦笑いする。


「あはは。違うよ。僕は神からこの世界を任された者。そうだな……『管理者』って言えば分かりやすいかな?」


 ……管理者?


「えっと、管理者って……ルシフェル様が、世界を救うことはできないんですか?」


 続く質問に彼は首を横に振る。


「ルシフェルで良いよ。残念ながら、僕はあくまでも人を導くことしか許されていないんだ。塔の外に出ることもできないし……だから、ルゥが現れてくれて本当に助かった」


 その言葉に俺の体がぶるっと震える。胸が熱くなり、口元がむずむずと動くのを抑えられない。さっきまで、あれだけ絶望していたのが噓のようだ。感動に浸る俺に、ルシフェルは思い出したように告げる。


「そうだ! 左手の甲に現れた紋様は『使徒』の証。僕と契約した証であらゆる状態異常を防いでくれるよ」


「え!?」

 

 そんな凄い効果が!?

 思わず左手の紋様とルシフェルの顔を交互に見比べる。


「それくらいの特典がないとね。あと、君に死なれたら困るしさ」


 はしゃぐ俺に、ルシフェルは申し訳なさそうに本音をこぼした。


「さてと、それじゃあさっそくレベルを上げに行ってもらおうかな」


 ルシフェルはスッと腕を横に振る。すると俺の前に長剣と軽鎧が現れた。

 これは……ひよっこの俺の目から見ても、あまりいい物ではなさそうな……。いや、実は凄い能力を秘めている……とか?


「初心者セットー!」


 俺の期待は裏切られた。


「いきなり高レベルの装備を渡しても扱いきれないからね。ルゥのレベルが上がったら、装備の質も上げていくから安心して!」


 そう言って俺にウインクを飛ばす。

 やめろよその顔でそういうことするの……。しかしなるほど。ごもっともである。

 気持ちを切り替えて剣と鎧を装備すると、再び俺の感情は高ぶってきた。……諦めていた夢に挑戦することができる。その事実が何よりも嬉しかった。

 準備が整った俺を見て、ルシフェルはとんでもないことを言い放った。


「行ってらっしゃい。あ、そうそう、この塔を踏破するまで、()()()()()()()()から、頑張ってね」


 視界が歪み暗転する。


「……は?」


 移動させられた場所で、俺はしばらく呆然と立ち尽くした。ルシフェルが言い放った衝撃の一言を反芻する。


「……外に……出れない?」


 沸々と腹から怒りが込み上げる。


「嘘だろぉぉぉぉ!」


 俺の絶叫は誰もいない空間にむなしく響き渡ったのだった……。


「とにかく、レベルを上げればいいんだろ。やってやるさ」


 いつまでも嘆いていたって仕方ない。数分かけてようやく開き直った俺は、一刻も早く塔から脱出するため、階層主のもとへ向かった。『鍵司のスキルがあればレベルなんてすぐに上がる』と、この時の俺は完全に慢心していた。

 通路が開け、広い空間に出ると、部屋の真ん中に猫サイズの『デカネズミ』がくつろいでいた。


「あれがここの階層主か」


 ギュイィィ!


 俺に気付いたデカネズミが臨戦態勢をとる。

 よし、やってやるぜ!

 

〘施錠〙


 俺はデカネズミに向かってスキルを発動した。


 その瞬間――


 デカネズミはこちらに向かって飛びかかってきた。


「えっ!?」


 慌てて横に大きく飛び、デカネズミの攻撃を回避する。

 なんで!? スキルが効かない!? やっぱり鍵司ってポンコツなのか!?

 パニックになりかけた俺の脳裏にルシフェルの言葉が蘇る。


『スキルは自分より高レベルの存在には効果が無い』


 ……ちょっと待てよ。もしかして……階層主って全部俺より高レベルなのか……?

 確認するため、もう一度スキルを発動する。


〘施錠〙


 しかし効果が無いようだ。デカネズミは張り切って俺に牙を立てようと向かってくる。

 ……くそっ! 色々説明が足りてない!!!

 俺はルシフェルに対する怒りを剣に乗せ、向かってくるデカネズミにたたきつけた。


 ギュィィ……


 あっけなく倒れたデカネズミは、少しして光の粒子となって消えた。

 ……そりゃな。一階層の相手だからな。

 慌てなきゃギフトを授かる前の俺だって倒せる相手だ。

 でもなぁ……この先の階層主にスキル無しで勝たなきゃいけないって事だろ?


「ハハハ……」

 

 俺の口から乾いた笑いがこぼれる。

 いつになったら外へ出られるんだろうか……。

 先の見えない未来に絶望するのだった。

読んでいただいてありがとうございます!


最強と言われたスキルが使えないなんて(´Д⊂ヽサギダッ!

ルゥが塔を出るまでどれくらい時間がかかるのか、予想しながら続きをお楽しみください( *´艸`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ルシフィルのキャラクターいいですね! 主人公が最初は一階層の雑魚デカネズミよりレベルが低いってのもいいですね! レベルが上がると装備もスキルの能力も上がるのワクワクします!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ