第二十三話 図書館
予定が空いて時間が取れたので、本日は二話更新します!( ゜Д゜)
「ルゥ、どこへ向かうのですか?」
「ポーターギルドだよ」
「……! なるほど。流石ですね」
「んー……まだ上手くいくとは限らないけどな」
「おそらく問題ないでしょう。よく思いつきましたね」
「たまたまだよ。駄目ならまた別の方法を考えるさ」
そんな会話をしているうちに、ポーターギルドに到着。中へ入ると、背丈ほどもある荷袋を担いだ『ポーター』たちが、我先にと依頼を探していた。
「ポーターの登録をしたいんだが」
暇そうな受付を選び声をかけると、眼鏡をかけた受付の男は、俺をじろじろと見て怪訝な顔をした。
「登録するのは構いませんが、荷袋も持たずにどうされるおつもりですか?」
「……荷袋を準備してからじゃないと、登録できないのか?」
「いえ、そういう訳では……」
「だったら問題ないだろ?」
男は一瞬言葉に詰まり、黙って登録用紙を差し出した。
「これでいいか?」
受付の男は用紙に目を通した。
「はい。問題ありません。それではポーターとしての注意事項を――」
男から簡単な注意事項を聞き、登録は無事に完了。
――俺の予想通り、ポーターの依頼にはランクが無かった。
「これで『嘆きの壁』に行くことができますね!」
ポーターギルドを出るとルチアはそう喜んだ。
「ああ。後はグランたちを待つだけだな」
「それでは、私はレベル上げに戻ります」
「無理はするなよ」
「ありがとうございます」
ルチアは、いつも通り丁寧にあいさつをして、塔へ向かった。
……さて、俺も次へ向かうか。
「ここが図書館か……。思ってたより……小さいな」
初めて訪れた図書館は、俺の予想より一回り小さかった。中に入ると、しんと静まった円形の空間に空席が目立つ閲覧席が置かれ、正面にカウンターが設置されていた。
本棚が所狭しと並んでいる――そんな光景を想像していたのだが、本棚どころか本一冊見当たらない。
「いらっしゃいませ。どのような本をお探しですか?」
正面のカウンターの向こうから、眼鏡をかけた女性が俺に声をかけた。
「『七つのダンジョン』に関する本を探しているんだが……」
「かしこまりました。少しお待ちください」
彼女はそう言うと、呪文のような言葉をつぶやき始めた。
「こちらの図書館には『七つのダンジョン』に関する書籍が1,597冊所蔵されています」
「え……今何したんだ?」
「『司書』のスキルですよ」
「へぇ。……凄いな」
「ありがとうございます。でも、これしかできませんので」
そう言われてしまい、俺は思わず言葉を失った。
「……その中で、ダンジョンの起源に関する本はあるかな?」
彼女は再び呪文のような言葉をつぶやいた。
「ダンジョンの起源に関する書籍は二冊です」
「読ませてもらえる?」
「もちろんです。お待ちください」
彼女が呪文をつぶやくと、カウンターに二冊の分厚い本が現れた。
「……やっぱり凄いよ」
「ありがとうございます」
俺の言葉に彼女は照れくさそうに言った。
「本の持ち出しは禁止されていますので、空いている席でお読みください」
「ありがとう」
俺は礼を言って席に移動し、さっそく一冊目を読み始めた。
※※※※※
「あれ、もうこんな時間か……」
ふと顔を上げると、窓の向こうは薄暗くなっていた。
「二冊目が当たりっぽいな。そろそろ帰るか」
俺は司書さんに本を返し、家に向かって歩き出した。
「お帰りなさい」
俺が家の扉を開けると、ルチアが出迎えてくれた。
「帰ってたのか」
「はい。私もレベル60になりましたので。ルゥに攻略法を教わってから……あの、どうされました?」
俺はルチアの言葉を理解できなかった。
……いや。
正確には、脳が理解することを拒否し、口を開けたままアホ面を晒していた。
……いかんいかん。頭を振って正気に戻る。
「ルチアが俺の予想を超える天才だったってだけだよ」
「とんでもありません! 私はその、ルゥさ……ルゥに追いつきたくて……必死なだけです」
ルチアは恥ずかしそうに斜め下を向く。
「ありがとう。心強いよ」
「いえ、私の方こそ……」
俺とルチアの視線が交わる……。
バンッ!!
「ルゥ! 帰ってるかー?」
勢いよく現れたのはグランだった。
「ルチアも帰ってたか。ん? ……なんかあったのか?」
「なんでもねーよ。何か聞きたいことがあったんじゃないのか?」
「おお! そうそう。『嘆きの壁』なんだけどさー、あそこなんか変だぞ?」
「……とりあえず座ろうぜ」
「そだな」
「みんなも、お疲れさま」
俺はグランの後ろにいた、対の刃の三人に声をかけた。
「それで? 何が変なんだ?」
「なんていうかさー、あのダンジョンにいるとやる気が出ないんだよな……」
「やる気もそうだけど……明らかにみんなの身体能力が鈍っていたわ」
「魔法や回復の効果も落ちてましたね……」
「私はいつも通りだった気がするんだけどなぁ?」
リーズ以外が揃って不調を口にした。
「なるほどな……。図書館で『七つのダンジョン』について調べてみたんだが、どうやらダンジョン内では特殊な弱体化を受けるらしいぞ」
皆が俺に注目し、次の言葉を待つ。
「その本に……『嘆きの壁』では『怠惰』の呪いを受けると書かれていた」
「『怠惰』かぁ……怠惰ってなんだ?」
グラン……。
皆があきれ顔になる中、サリアだけは見捨てなかった。
「グラン、あなたはもう少し勉強した方が良いと思うわよ。簡単に言えば、何をするにもやる気が出なくなる状態ってこと」
「おお! わかりやすい! サンキュー!」
ほんと、残念なイケメンだ。
「んで、それだとあまり先へは進めなかったのか?」
「いや? 十層まで行ってきたぜ?」
……まじか。
「塔でのレベル上げに比べたら……ね」
「全然たいしたことありませんでしたよ!」
「PTの連携も、前より良くなりましたよね」
ほんと。大した奴らだ。俺は改めて、対の刃の成長を実感した。
「それなら安心だ。俺は今日ポーターの登録をしてきた。そんなわけで、対の刃にポーターとして同行させて欲しい」
ガタッ!
俺の言葉にグランが勢いよく立ち上がる。
「まじか!! ……ようやくだな……おい」
「おいおい、涙ぐんでんじゃねーよ……」
その言葉とは裏腹に、グランの言葉とその顔は、俺の心を熱く刺激した。
「良かったわね」
「本当ですね」
「私も嬉しいです!」
みんなが喜ぶ中、ルチアは、少しだけ寂しそうな、それでも優しい笑みを浮かべながら俺たちを見守ってくれていた。
ついに、あの頃の約束を果たす時が来た。
俺は言葉に表せない、深い喜びに包まれていた。
読んでくださってありがとうございます!
ついにここまでたどり着きました!
次回予告!ルゥとグランが共にダンジョンに挑む!
是非お楽しみに(*‘∀‘)q




