第二十一話 仲間
「ここが、ルゥ様が生まれた街……」
「あぁ。ラングストラだ」
なんだかんだで半日かかっちゃったな……。
もう日も沈み、建物にも明かりが灯っている。
「あ、そうだ。ルゥ『様』っていうのやめてくれよ。なんか落ち着かないんだよね」
「えっ、そんな……」
「ルゥで良いよ」
「……分かりました。ルゥ……とお呼びします」
なぜかもじもじするルチア。
さて、ルシフェルのところに行くつもりだったけど……あいつらが家に来てるかもな。ルシフェルは明日でいいか。
「ただいまー」
ガタガタッ
俺が玄関の扉を開けると、俺の家でくつろいでいた『対の刃』は一斉に立ち上がった。
真っ先に駆けてきたのはグランだ。
「遅かったじゃねーか! 色々教えて欲しいことがあ……」
俺より背の高いグランは、俺の後ろにいたルチアの姿を目に収めると、ニヤリといやらしい笑みを浮かべ呟いた。
「やるじゃん」
イラッ
「あ゛ぁぁぁ!」
俺はアイアンクローでグランの顔を鷲掴みした。
「ルゥさん!?」
俺の突然の行動にシルが慌てる。
「とりあえず、ルゥさんにも色々話すことがありそうね」
「師匠のお話し楽しみです!」
サリアとリーズは相変わらずだ。
俺はグランを解放し、家の中に入る。
「紹介するよ。今回の仕事の依頼人。そして、俺たちの新しい仲間。ルチアだ」
「ルチア=オレントと申します。よろしくお願いいたします」
ルチアは丁寧にお辞儀をした。
「サリアよ。よろしくね」
「リーズ=カナリオです! 師匠にはお世話になってます!」
「……シルです。よろしくお願いします」
「あそこに転がってるのが、俺の幼馴染のグランだ」
「まだ生きてるぞ!くぅーいてぇ……」
ふふっ
ルチアは堪えきれず、笑みを漏らした。そしてしまったと口に手を当てる。
「すみません。とても強い絆を感じたものですから……つい」
ルチアの素直な言葉に、対の刃たちの緊張もほぐれたようだ。
「色々と聞きたいことがあるのよ。とりあえず、座りましょ」
俺たちは手狭になったテーブルを囲む。
「お仕事お疲れ様。まずは、ルゥさんのお話から聞かせてもらえるかしら」
「そうだな。まずは俺から話そうか」
俺はソドムに滞在した四日間に起きた出来事について、皆に共有した。
「ヴィシャスファミリーってマフィアを潰して、悪魔を倒して、狂帝ジークフリードの洗脳を解いて、国王の護衛をこなしてって、お前……呪われてんじゃね?」
「黙ってろ」
「でも、実際にルゥさ……ルゥが居てくれなかったら、ソドムの街はどうなっていたか想像もつきません」
ルチアの言葉に皆が反応した。
ニヤニヤしている者が三名、そして、なぜかシルだけふくれ顔だ。
「元々、俺の使命だからな。どちらかというと、対処できて良かったと思ってるよ。んで? お前らの方は? 聞きたいことってなんだ?」
「まずは報告だな。俺たち対の刃はBランクに昇進した」
「おぉ! やったじゃん!」
「それでだ。ルゥに聞いていた――『七大ダンジョン』。その探索許可が下りた。……まだ、十層までだけどな」
「ありがとう。助かるよ。まさかギルドが管理してるとは思ってなかったからなー」
「……こっちとしては、ドラゴンの件が評価された結果だからな。複雑だぜ」
「まぁ、あの時からレベルも、パーティーとしての実力も上がってるだろ? 次で結果を残せばいいさ」
「そうです! 師匠のおっしゃる通り! それでですね! 私たち全員、60階層で詰まってしまったんですが! 攻略法を教えてください!」
リーズが勢いよく前のめりになって俺に聞いた。
「お、おい落ち着けって。……待て、今何階層って言った?」
「60階層です!」
……。
「……全員?」
俺の確認に全員がドヤ顔を返した。
……俺、60階層に行くまで何カ月かかったっけ……。やっぱ凄いな。こいつら。
「あー、60階層の『マンティコア』はな――」
俺はマンティコア戦の立ち回りと、必要になるアイテムを指示した。
「あと、前にも言ったが、10階層毎に装備を見直せよ?」
「それなー……。そろそろ金がやばいんだよ」
「ドラゴンの時に貰った金はどうしたんだ?」
「全部装備に消えたよ!!」
「そうか……。それなら、せっかくだから『嘆きの壁』にアタックするのはどうだ?」
俺の提案に対の刃は顔を引き締める。
「『嘆きの壁』……さっそくか」
「どっちにしろ十層までだろ? 無茶する必要も無いし、異常があれば教えてくれよ」
「わかった。対の刃の実力を見せてやるぜ」
グランは獰猛な笑みを浮かべた。
※※※※※
今後の方針の打ち合わせも終わり、皆で飯を食べている時だった。
「ルチアさん、あの、少しいいですか?」
「シルさん? ええ。どうしました?」
「少し、お話ししたいことがあるんです」
二人は家の外へ出ていった。
こんな時間に物騒だな……。
俺が立ち上がると、
「待て待て、大丈夫だからほっといてやれって」
「そうよ。女性の話に首を突っ込むなんて、無粋よ」
「ししょー! のみましょー!」
なんなんだこいつら……。
俺が引き止められている間に、二人は笑いながら戻ってきた。
……なんだか打ち解けたようだ。まぁいいか。
明日はルシフェルに色々確認しないとな。
騒がしくも心休まる夜は、穏やかに更けていった――。
読んでくださってありがとうございます。
日常に戻ってきました。やっぱり対の刃たちといるときはルゥが生き生きしますね(*‘ω‘ *)
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