表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/46

第二十話 予感的中

「……やっぱ、ついてきて良かったな」


 俺の前方で激しい戦闘が繰り広げられている。

 ジークフリードが帰国し、マーテルの護衛に不安を感じた俺は、ルチアに断りを入れ、気配を殺してこっそりとマーテルを護衛している。

 ……あ。


 ギャイン


 護衛の武器が弾き飛ばされる。

 懐から予備の武器を取り出そうとしているが、襲撃者の刃が届く方が早い――


〘施錠〙


 俺のスキルによって動きを止めた襲撃者は、護衛の反撃によって胸を貫かれた。

 

 ……ふぅ。

 バレないよう、不自然にならないよう、こっそりアシストする。

 ……これ、めっちゃ疲れる。


 戦闘は数分で終わった。

 馬上のマーテルは護衛に何かを指示し、何事もなかったかのように馬を走らせた。


 あのおっさん慣れてるなぁ。

 全く動じない気配を見る限り、暗殺や襲撃なんて日常茶飯事なのか?……嫌すぎる。

 俺は改めて、目立たずこっそり生きていこうと心に誓った。


 結局、王都『ボルドリー』に着くまでの間に、五回の戦闘が発生した。そのたびに手を貸したせいで、俺の疲労は頂点に達していた。

 ようやくマーテルが城下町への門をくぐる……俺が安堵した瞬間、マーテルは馬を止め、こちらを振り返った。

 ……うそだろ? まさか、気づかれた……? いや、そんなはずない……。たぶん、きのせい。モウカエロウ。

 深く考えることをやめ、ソドムへと引き返すことにした。 


「おかえりなさいませ」


 俺がホテルの執務室に戻ると、ルチアが出迎えた。

 もう夜明けも近いというのに、寝ずに待っていてくれたようだ。


「ただいま」


 その言葉を口に出した瞬間、フッと体が軽くなる。

 なんだ? 今の感覚……。


「ルゥ様、今回は私の護衛を受けてくださって、本当にありがとうございました」


「どういたしまして。まぁ、結果的に俺の都合に巻き込んじゃったけどな」


「それについては、ルゥ様がいなくても起こりえたことです。それに、ルゥ様がいなければ、この街がどうなっていたか想像もつきません」


「んー、まぁ、結果オーライだったな」


 ルチアの真っ直ぐな言葉に気恥ずかしくなり、俺は話を切り上げた。


「とりあえず、今日は休ませてもらうよ。明日、サンタナとダイラを交えて話をしたい」


 俺の言葉に、ルチアは名残惜しそうに微笑んだ。


「承知いたしました。ゆっくりお休みください」


「ああ、おやすみ」


 ※※※※※

 

 翌日、昼過ぎまでゆっくり寝た俺は、ダイラに嫌味を言われつつ会議テーブルに着いた。

 ルチア、サンタナ、ダイラ。三人の顔を順番に見回し、口を開く。


「さて、オークションではいろいろあったが、無事に終わることができて良かった。そして、課題も見えた」


 三人の緊張が伝わってくる。


「やはり、三人にはレベルを上げてもらおうと思う」


「レベルを上げるのは俺も賛成だ。正直、今回の件で自分の力の無さに腹が立ってるからな。だが、どこを目指せばいいんだ?」


 ダイラの言葉に俺は頷く。


「ひとまず、ジークフリードを目標にしよう」


 三人は一斉に固まった。ダイラは口を半開きにし、サンタナは額に手を当てる。ルチアだけが、小さくため息をついた。


「ジークフリード様は、レベル80とおっしゃられていました……」


「そうだな。あのレベルまで強くなれば、そう簡単に死ぬこともないだろう」


 全員黙ったまま、難しい顔をしている。


「大丈夫だ。俺はスキル無しでレベル100になったんだぜ? お前たちなら出来るさ」


 ルチアの顔に決意が宿る。


「……私は、今回の件でルゥ様と共に生きると決めました。どんな困難であろうとやり遂げてみせます」


 ……え? なんか、想いが重くない?


「今より強くなるためなら、なんだってやってやるぜ」


「やれやれ、私も老体に鞭をうちましょうか」


 それぞれが決意を口にした。

 ……三人ともやる気ならこれ以上何も言うことは無い。


 ※※※※※


「ふぅ。ようやく帰れるな」


 サンタナとダイラに見送られ、俺はソドムの街を後にした。

 たった四日離れていただけなのに、ずいぶん長い時間過ごした気がする……。色々あった。……いや、ありすぎた。まあ、悪いことばかりじゃなかったけどな。


「楽しみですね」


 ……隣にはなぜかルチアが居る。話し合いの末、三人は交代で塔へ通い、レベルを上げることになった。誰が最初に行くか決める段階で、ルチアが頑として譲らなかったのだ。オークションも終わったばかりなのに、仕事は大丈夫なんだろうか……。


「仕事の事はご心配に及びませんよ?」


「え?」


「顔に出ていましたよ?」


「……まじで?」


「ルゥ様は、結構顔に出やすいと思います」


 そういって微笑むルチア。

 俺って、そんなに分かりやすいのか……。


「まぁ、いいか。よし! 帰るぞ!」


「はい!」


 きらきらと輝く朝日を背に、ルチアと並んで歩き始めた。

読んでくださってありがとうございます。

このお話でオークション編は閉幕となります。

ここまで書くことができているのは、読んでくださる皆さんのおかげです。

いつもありがとうございます!(*´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ