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久遠の海へー再び陽が昇るときー  作者: koto
第3章 赤い極東
14/24

3-3

「日本の平和を壊すな!」「戦争反対!!」

 ゼネストの規模は間違いなく過去最大規模だった。というよりも、これ以上の規模のものは世界でもまれにみられるものだろう。

 国鉄の全てを始め、郵便公社といった国営ものから民間まで、全ての産業の組合が参加したと言っても過言ではなかった。スト参加者の総数は200万人を超えていただろう。


 しかし、今回のゼネストは賃上げといった労働組合員の要求よりも、GHQ体制に反対することが目的だったと言える。朝鮮戦争における北朝鮮軍を支援するため、共産陣営が日本進駐軍を日本に足止めする目的が根底にあったためだ。

 そして、ソ連をはじめとした共産陣営の思惑は見事に叶うこととなった。


 まず、鉄道網がマヒしたことで、北海道に引かれた日ソ国境線を守る米軍への物資補給に問題が生じた。米本土から輸送するにも、日本が極東と称されるように日数が大きくかかるものだ。

 それよりも問題だったのは、朝鮮戦争における在韓連合軍に対する物資支援が滞ったことだった。

 アジアにおける先進国は非常に限られる。かつて眠れる獅子とさえ言われた清を継いだ中華民国は今や台湾島に逃げ延び、代わりに大陸を支配した中国共産党は共産陣営の一国に他ならない。

 英連邦の一部であるオーストラリアは日本から距離があり、貨物船による輸送に時間が必要だ。それはシンガポールなど他の英連邦加盟国とて同じだった。

 残る選択肢が、極東の敗戦国たる日本である。その日本は民主主義を広めんとした連合国により組合運動が許可され、今に至っている。今回のゼネストはとどのつまり戦後の日本の支配者たちが引き起こしたと言っても過言ではない。


「朝鮮戦争参戦拒否!」「俺たちの自由を守れ!!」

 プラカードに書かれた言葉を繰り返し、国会議事堂やGHQが入る第一生命ビルを囲んでいたゼネスト参加者は、ゼネストが北朝鮮を支援する共産陣営の後方支援であることを視界に入れず、ただ真剣に“もう戦争に関わりたくない”と言う正直な気持ちを訴えていた。

 だからこそ、日本政府もGHQも強制解散に足を進められない。強制的にデモ参加者を拘束した結果、より一層デモが活発化した経験が足かせになっていたのだ。なにより、GHQが組合運動を許可した手前、強力に反対を言えなかった。

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