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久遠の海へー再び陽が昇るときー  作者: koto
第3章 赤い極東
13/24

3-2

「ゼネストは過去最大規模になる事は間違いありません。朝鮮戦争開戦時のGHQによる暴走が、それまで対岸の火事だった国民を動かしたのでしょう」

 日本政府は、突然の米軍の裏切りに驚愕を隠せなかった。

 朝鮮半島への派兵はあくまでも連合国各国が軍隊を出しあう予定だった。それが、いつのまにか日本進駐軍の一部部隊が半島へ送り込まれるのだ。

 北朝鮮を支援しているのはソ連率いる共産陣営に他ならない。彼らと深い関係にある日本共産党党員、活動家はこの米軍派兵を黙って見過ごさないのは当然だった。


 そして、今回のゼネストはこれまでの活動家主導のものではない。

 前回の労働運動時にGHQは党員や活動家を拘束し、強制解散させていた。戦前・戦時を知る日本人にとっては、統制社会の復活にしか見えなかったのだ。これが、先の発言における暴走が意味するところだ。

 憲法に戦争放棄を謳うほど重度の戦争アレルギーに侵された日本人は、短絡的に戦争に関わらないことが自由を手にすることだと考えていた。それは、GHQによるある種の洗脳のような行為によるところが大きい。

 今や、日本人の誰もがアメリカは自由の国で、国民は誰しもが主義主張の自由が平等に認められていると教えられていた。そして、そのような体制を日本に広めようと、戦前禁止されていた共産党員の活動を自由に許可したのだ。


 さて、戦後から5年が経過した1950年。その間に日本人が経験した自由を、アメリカ自身が禁止するとどうなるか。

 今回のゼネストがなぜ過去最大規模になることが予想されるのかは、そういう事情があった。とどのつまり、これまで労働運動に関わりが無かった者までもが、ゼネストに参加することとなったのだ。それが自由を守る方法だと信じて。


「進駐軍では彼らを抑えることは出来ないでしょう。それこそ、たとえ虐殺に走るとしても、参加者の人波に押されることに違いありません。」

「ゼネストに米軍が抑えられたところにソ連が侵攻を開始したら、北海道のみならず東北も侵略されるぞ……」

 米軍の減少はソ連による侵略を容易にすることと同意である。それは、ゼネスト対策に米軍が留めても同じだった。

 いくら重武装の米軍部隊が日ソ国境を監視していると言っても、増援が望めないのであれば侵略を決定することは何もあり得ないことではなかった。

 軍を持たない国の政府は、その誰もが不安に駆られていた。そして、不安の中、過去最大級のゼネストは予定通り開始されたのだった。

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