ルカーシュ·クライネ
「ルカーシュ様いい加減婚約者を決めてください!」
「あの子以外とは結婚しないよ。」
執務室で仕事をしていると扉が開き側近であるカイが怒りながら入ってきた。毎日毎日同じ小言ばかりで嫌になる。僕はずっと前から結婚相手を決めていて、何年もやっているやり取りに辟易する。
「わかってますよ!昔からそれを譲らないのはわかってますけど、貴方はこの国の王太子なんですよ。会ったこともない夢の子と結婚するって、そんなおとぎ話みたいな事言ってられないんです!」
「諦めてよ。」
カイは全く聞き入れてくれないが、僕は昔から可愛い女の子の夢を見る。何故か愛しくて大好きであの子以外いらないんだ。
「はぁー…じゃその子はどこにいるんですか?!あと数年で貴方は結婚しないとダメなんですよ!」
カイの言い分もわかる。しかしどこにいるかもどんな姿かもわからない。僕だって早く会えるなら会いたいよ。
「んー…困ったね。占いでもしてみる?」
僕が笑いながら言うとカイは呆気にとられたような顔をする。占いで会えるなら苦労はしない。
「…しましょう。」
「え?するの?」
怒られると思ったのに肯定され驚く。
「もうこっちは藁にもすがる思いなんですよ!占い師呼んできます。」
そう言ってカイは部屋から退室していった。いつも騒がしく落ち着きがないな。もう少し落ち着いてほしいものだ。
「東の方向にいます。」
「東にいるの?東?隣国かな?」
カイが連れてきた占い師はガラガラとカラフルな石を混ぜながら言う。占い師の答えを聞き、僕はカイに問いかける。
「とりあえず隣国からですかね。従弟もいることなので手配をして明日から行ってきます。」
「え?行くの?明日からカイが?私が行くよ?もし居てもわからないでしょ。」
カイが隣国に行くと言いだしたので、焦って問いかける。どんな子かもわからないのに、カイが行って意味があるのだろうか。
「貴方はそんな気軽に行ける立場じゃないでしょ!どんなに探してもこの国にはいないんだから違う場所を探さないと!早く結婚してもらわないと困るんです!」
幼い頃から夢の子と結婚すると言い出して以降、国内の様々な令嬢と顔合わせをさせられた。それこそ高位貴族から下位に、さらにはお忍びで街中も見に行った。だけど居ない。最終年齢問わず差し出してくる貴族には笑えてきた。
王太子の僕が国王になるには婚姻していることが必要不可欠だ。昔から婚約者を決めない僕に対して、国の皆がもう誰でもいいから早く結婚してくれ状態になっている。
「じゃお願いします。定期報告はしてよ。遊んでたらダメだからね。」
隣国で見つからないなら、さらに東に行ってもらう必要が出てくる。それは悪いので早く見つかるといいなーくらいの気持ちで見送った。
「…いました。」
「え?」
カイが隣国に行った初日。定期報告のために連絡をとると驚く事を呟く。
「昔から誰かの夢を見るそうです。ルカーシュ様から聞いていた話とよく似てます。」
え?もういたの?早くない?と思いながら話を聞く。
「私の紫色の目を見て気になると。貴方はさらに綺麗な紫色だし、従弟に確認したところその令嬢に婚約者はいないようです。」
「その子何色?」
期待をしてしまうが、まだだと自身を落ち着かせる。偽物が出たら困るからと誰にも言ってなかったあの子の色を聞く。
「…水色ですが。」
「今から行く。」
あの子だ!そう思った僕はすぐ動き出す。
「ちょっと!そんなすぐには無理でしょ!ちょ!ルカーシュ様!?」
煩い。すぐさまカイからの連絡を切り、僕は周りに隣国に行く指示を出した。あの子に会える。会いたくて会いたくてはやる気持ちが抑えられない。
「ルカーシュ様本当に来られるなんて!まだわからないのですよ!ランドルフに話をしてきますから待っていて下さい!」
カイがずっと怒っている。あんな事を聞いたら待っていてなんかいられない。カイが戻るより先に学内を見て回ると遠くに女の子がいる…あ、あの子だ。確信する。恋焦がれた相手は絶対あの子!はやる気持ちを抑え早足で彼女の元へ向かう。
「私と結婚してください。」
彼女の前に傅いて求婚する。僕は君を絶対離さない。




