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追憶の彼方ー夢に出てくる人に求婚されたら、溺愛始まりましたー  作者: 漆原 凜


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ランドルフ殿下の想い

はぁ…またか。毎日毎日嫌になる。前世と思われる私がずっと影を落とす。


どこかわからない国で今と同じ王子をしていて、父王は結構な独裁者だった。いつ隣の国に踏み込むかを考えているような人間で、私達家族をも駒としか見ていなかった。


私には年の離れた妹が居てずっと可愛がっていて、どこに行くにも着いてきていた可愛い妹。少し成長したある日その子が誰かに会っている様子で、気になった私は隠れてついていくと同じ年頃の男の子と会っている。可愛らしい2人を応援しながら見守っていたのだが、父王は妹の政略結婚を決めた。


その後何度も2人が抱き合い泣いているのを見るのはとても辛かった。私は父王に反対をしたが聞いてもらえず殴る蹴るの暴力も受けた。自分以外には何をしてもいいのだと最低な奴。


妹の相手にこっそり会いに行った。手を取って一緒逃げるつもりだと強い意志を感じ、彼に任せる事にした。出来る限りの援助はすると約束し託した。


まさか計画がバレていたなど思いもせず馬鹿みたいだった。計画の日待ち伏せをされていて、連れ戻され嫁がされる途中絶望した妹は身を投げた。


「俺がもっと上手くやれていたら…最後まで送っていたら…」


お兄さんのせいでは無いと自分もツライのに慰めてくれ、父王の失脚のために手を取り戦った。妹の墓前に来世では彼と幸せになって欲しいと祈りを捧げ続けた。


今世アレンに紹介されたリズ嬢の親友は妹だった。彼女は前世を覚えていなかったけど、笑った顔が同じだ。幸せそうに笑う彼女を前世と重ねつい気をかけてしまう。周りに変に勘違いされないようにしないと。成人する卒業までは婚約しないと宣言し、令嬢を気遣っても婚約と結びつかないようにした。妹と結婚する気は無い。


ある日隣国から来た王子が彼女に求婚したと聞き慌てて走った。変な男にはやらん!急いで行った先には何と彼が居た。正直呆然とした。今まで王太子同士会っていないのが不思議なくらいだが初めて会った王子は彼だった。


「あぁ…妹は幸せにしてもらえる」


心から出た言葉だった。彼女と違い彼も私を見て何かを思った様子だったがお互い何も言わなかった。彼女が最後を覚えていないならそのままがいい。少しだけ寂しい思い出と楽しい思い出だけを夢に見ているだけでいい。見守る事しか出来なかった兄を思い出して欲しくはない。


お披露目会の前に私は一緒に行こうと誘った。幸せな彼女は身を投げたりはしないけど不安だったんだ。彼の元へ無事届けたかった。


「ルカーシュ殿の大切なセレスティア嬢を守るのは当然ですよ。」「本当溺愛ですね。私も愛しい人が欲しくなっちゃうな。」


全て本音だった。妹の幸せを見届けるのが終わるなら、私も2人のように想い合える人が欲しい。彼なら彼女を守る必要が無く安心して任せられるから、私も自分で誰かを死ぬまで大事に守ってみたい。前世は最後まで1人だった。幸せになる資格なんか無いとずっと思っていたんだ。


お披露目会前夜に客室で寛いでいたら彼が1人で会いに来た。彼女が私の事を兄のように感じてくれていると…涙が溢れ出そうになる。


「墓前を花畑にしてくれたのは貴方ですよね?」


やはり彼も覚えている。固く握手をし背中を叩く。頷きもう涙が止まらない。


「幸せにしてやってくれ。この国に来るまでは私が守るから、あとはよろしく頼む。」


当たり前ですよと笑う彼に任せよう。いつでも遊びに来てくださいと言ってくれる彼に感謝を告げる。


そのうち酒を酌み交わそうと約束をし、妹の元へ会いに急ぐ彼を手を振りながら見送る。両国手を取り彼女の幸せが揺らがない様にしよう。今の私には守れるだけの力がある。


前世の彼女の墓前がまだ花で満たされている事を祈りながら私は眠りにつく。幸せな夢でありますように。


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