表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旭川ダンジョン対策班、出動! ――水が消える川と時代変化ダンジョンを攻略せよ  作者: 戌葉
第2章 異常空間内部調査結果 ―探索者・黒瀬
PR
20/37

2-17 石碑

 登山道を三十分くらい登ると、開けた見晴らしのいいところに出た。道はここまでだ。


「展望台か」

「瀬戸内海が見えますね」

「奥に何かあるぞ」


 木に隠れたところに、何かがある。

 相良と二人で警戒しながら進むと、そこには石碑と、そしてその横の小さな台座に水晶玉のようなものが置かれていた。


「これか」

「そのようですね」

「やっとだな」


 これを見つけさせるための、道だったのだ。

 石碑には文字が掘られている。古墳とは違う、人工的なものだ。ダンジョンが意図をもって用意したものだろう。

 やっと、本当にやっと、ダンジョンの意思らしきものを発見できた。


「触れてみます」

「しかし」

「白石さんが大人しくしていると思えませんので」

「……そうだな」


 きっと興奮して触りまくるだろうな。

 それに、いつかは触れる必要がある。


「田嶋、聞こえるか」

『はい』

「石碑を発見。これから調査する。三十分待って連絡がなければ、ダンジョンを出ろ」

『了解』


 相良がまず手持ちの道具で石碑と台座、そして玉に触れたが、何も起きない。

 次に、素手で一つずつ触れていく。


「石碑、特に反応なし。台座、反応なし。玉、いきます」

「ああ」


 少し震える指先で、相良が光る玉にそっと触れた。


「何も起きません」


 ふうっとため息が出る。


「持ち上げます」

「頼む」


 手のひらからはみ出るくらいの玉をつかんで持ち上げたが、何も起きなかった。

 そして戻してみても、何も起きない。


「少しなら動かしても、問題ないようです」

「これは何かしら攻略への鍵だな」


 その鍵は、この石碑にかかれている文字だろう。それには、白石が必要だ。


「異常なし。二人を連れてきてくれ」

『了解』


 三十分ほどで登ってきた三人は、南を振り返り、そして感嘆の声をあげた。


「すごいです! 海が見えます!」

「あれが、児島ですね」


 おそらくここから見渡せるどこかに、コアがある。でないと、この展望台の意味がない。

 となると、やはりコアは南側だ。


「石碑っていうのは?」

「こっちだ。白石、出番だぞ」

「触れても問題ないことは確認してあります」


 二人を石碑の前へと案内すると、案の定、白石が飛びついた。

 石碑と玉の周りをぐるぐると回っている。


「ほんとに石碑だ! すごい発見ですね!」

「ということで、読んでくれ」


 古文書のような書体で書かれているため、読めないのだ。


「えっと……」


 しばらく石碑を見ていた白石は、内容を読み上げていく。


「日輪の子、光にて生まれ、影にて還る。だと思います」

「……意味は?」

「そうですねえ。太陽の子は、光にて生まれて、影にて還る、ですね」

「太陽の子はコアか……?」


 コアの手がかりであってほしい。けれど、三浦は違う意見のようだ。


「光る球体ってことで、その水晶玉っぽいのじゃないですか?」

「じゃあ、コアはどこにあるんだ?」

「でもその水晶玉、龍神さまの宝珠みたいですよね」


 そうだったな。お前は龍神推しだったな。


「つまり、石碑が他の場所にもありそうで、この玉はキーか」


 一気にコアまでたどり着けるかと思ったのに、そう簡単ではなかった。


潮満珠しおみつたま潮涸珠しおふるたまという珠が神話に出てくるんですが、潮を満ち引きさせると言われています。それ関係ありますかね?」

「潮の満ち引きとなると、児島湾か」


 いまは何でもいいから情報がほしい。 


「影にて還るってどういう意味でしょう?」

「分からん。せっかく手がかりだと思ったのに、不親切すぎるだろう」


 三浦は書き留めた文章を見ながら、推理している。


「日が当たらないと消える? あるいは日が当たらないと元に戻る?」

「日陰に置いてみるか」


 玉をしばらく日陰に置いているが、何も起きない。


「となると、夜?」

「可能性はあるな」


 だが、夜までここにいるわけにはいかない。


「そろそろ引き上げるぞ。百間川ができたら面倒だ」

「この宝珠、持っていきましょう!」

「ダメだ。明日、俺たちだけで確かめてみてからだ」

「なんでですか?」

「ここから持ち出したら何か起きる、そんな可能性だってある」


 このダンジョンでは可能性が低いとは思うが、それでもギミックに油断は禁物だ。何をしてくるか分からない。

 やるべきことは、玉の持ち出し可能範囲の調査、他の石碑の探索。

 こんな調子で、コアにたどり着けるのは、いつになるのだろうか。

 それでも、一歩進んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ