2-10 ダンジョンの夜
ダンジョン内で初めて迎える夜。
静まり返って音がしない。仲間のお腹の鳴る音すら聞こえそうな静寂。
「時間です。ドローン飛ばします」
「頼む」
もうすぐ、夜中の0時だ。ここで、時代が巻き戻るのではないかと予想している。
22時から23時過ぎには面白いことが起きた。
北側では、岡山駅から東西と北へ線路が伸びている。
南側では、児島に向けて橋が架かった。詳しい建設時期は知らないが、昭和なのは確かだ。
「0時になります」
相良の報告に、海のほうを見る。
上空を飛んでいるドローンの音しか聞こえない。
だが、10分経っても何も起きなかった。
「リセットは0時じゃないのか」
「どうしますか? このまま観測を続けますか?」
「いや、今日は引き上げる。別の日に、夜から朝まで観測する」
もうダンジョンに12時間以上いる。
おそらくモンスターはいないにしても、集中力を欠いた状態でいていい場所ではない。
「0時でないとすると、日の出、でしょうか」
「可能性はあるな」
まさか、中途半端な時間にリセットしないだろう。と思うものの、このダンジョンだと、あってもおかしくない。
本当に、一筋縄ではいかないダンジョンだ。
「明日は一日休みにしよう」
「いいのですか?」
「さすがに、これだけ先が読めないと、コア発見まで休みなしは厳しいぞ」
増員を打診しているが、許可してくれないのだから、異常空間対策庁に文句を言われる筋合いはない。




