6−11 最後の霊障
智子ちゃんと物理部の部長がポカンとした顔をした。
「ゴミ? 地縛霊じゃなくて?」
「はい」
私はさっき取り除いたゴミを見せた。
「え? こんなに? 汚な!」
「汗で、埃とか手垢がたまるんですよ。だからたまに掃除してくださいね」
智子ちゃんが、紙に乗せられた黒い塊をマジマジと見ていた。
「え? これ私の手垢ってこと?……恥ずかしい」
私は巫女装束のまま、ジト目で呟いた。
「……私の方が何百倍も恥ずかしかったですけどね」
「でも他の現象は?窓がガタガタ言ったりしたのとか」
「それも確証バイアスで説明がつきます。つまり何か怖いことが起こっていると思っていると、なんでもそう見えてしまうんです」
智子ちゃんが、『そんなっ!』て顔をしていた。でもちょっとほっとしたように見える。
「ありがとう、紬ちゃんに七香、ごめんね。こんなことで大騒ぎして。今後気をつける…」
「あー、それなんですけど。気をつけなくていいんです」
「?」
「智子ちゃんが今回教えてくれたことって、とても貴重なんですよ。つまり本当にウイルス感染とかであれば、早期発見が必要なんです。地縛霊はちょっと無理ですけど」
智子ちゃんがポカンという顔で見つめてくる。
「それに、もしそんな事象が多発していたら、別の原因があるかもしれないし。だから些細なことでも、すぐに報告することが、事件の早期発見早期消火には大事なことなんです」
智子ちゃんと部長が顔を見合わせて言った。
「……でも、また迷惑をかけちゃわない?」
七香が、ふふん! ってしたり顔をした。
「智子、だから、コレなの!」
「え? どういうこと?」
「報告をもらって、何もなければ、思いっきり楽しんじゃいましょう。なんてったって、何事もなかったんですから」
「そうそう、いつでもこの衣装貸すから、ね」
智子ちゃんが笑っていた。
「ありがとう、七香、紬ちゃん」
智子ちゃんが興味深そうに、巫女さんの衣装を眺めていた。
「でも、本当にすごい衣装だね。中どうなっているの?」
「中? 中は」
七香が、私の衣装の端を掴んだ。
「こうなってまーす」
「なっ……!!」
私の衣装の裾を思いっきりめくった。慌てて裾を抑えたけど……。
……空気が止まった……。
「お? 今日はキティちゃんですかー。あれ? 部長ー!? 鼻押さえてどうしたんですかー? それ霊障じゃなくって、紬ちゃんの可愛さにやられちゃった的な?」
(……もう、やだっっ!)
<霊媒師・紬 爆誕 完>




