6−10 報告大事
「今回は影響はなかったようだが、これが企業だと、時に大ダメージを与えてしまう可能性がある。それぐらい確証バイアスは恐ろしいものだ」
「要するに思い込みってことね?それで間違った行動をしたら確かに問題かも」
「ウイルス感染が発生した時に取るCSIRT手段は隔離だが、この隔離は特に企業ネットワークの停止や、業務停止を伴う。もちろん本当にウイルス感染していれば当然のことだ」
「うん、今回もPCをネットワークだけ切った状態にしたけど、PCをは使えないもんね」
「だが、そうでなかった場合は、無駄にダメージを大きくしてしまうんだ。そしてウイルスの発見にとんでもない時間がかかる。何しろ無いものを探すからね」
(……無いものを探す……これってなんだっけ?『悪魔の証明』って言うんだっけ?)
「だからこそ、セキュリティ上重要なのは、報告者の主観や意見に惑わされずに事実を確認すること。悪魔の代弁者となって「事実」から見た「可能性の高い推論」を出すことが重要だ」
(……『悪魔』の出現率、多いな……)
「そして、もうひとつ。絶対にやってはいけないことがある。それは報告者に対して『2度と、間違った報告を上げないように』警告することだ」
「え? ダメなの? 言っちゃいそうだけど」
「そうすると、報告者は次回報告をためらってしまい、また新たな確証バイアスを生んでしまう」
「じゃ、どうすればいいの?」
「次も報告しやすい空気を作る。セキュリティは、楽しくドラマチックに、だ」
「でも結構話が大きくなってきちゃっているよ?」
「そうだな。この辺は七香ちゃんが得意なんじゃないかな?」
<つづく>




