6−7 除霊の儀式
物理部の部室の入り口で、巫女さんの格好になった七香が、高らかに声を出した。
「えー、では、ただいまより、除霊の儀式を始めます。一同合掌!」
七香が、うやうやしく宣言すると、スマホを操作してお経を流し始めた。部室内にいた物理部員一同が手を合わせてお辞儀をする。
「では、霊媒師の登場です。一同、礼!」
私は七香に促されて、部室に入っていった。全身を巫女さんの衣装に包み、手にはハタキを持ってすり足で歩く。油断すると草履が脱げちゃいそうだ。
(……恥ずかしい!)
(……めっちゃはずい!)
(……恥ずかしすぎるんですけど! 何? この羞恥プレイ!? 誰得なの!? なんで私こんなことしなきゃいけないの!?)
私が入口で立ち止まっていると、隣の七香が肘で突いてくる。
(何?)
(セリフ)
そうだった。えっと、なんだっけ? 七香が、そっと耳打ちしてくる。
(……本日は)
「本日は……」
(……お日柄もよく)
「お日柄もよく……」
(……ご両家の)
(んん??)
七香の足を蹴っておいた。
(……ちょっと!真面目に!)
七香がペロって舌を出して、そっとスマホを出してくる、そこには……。
「え、えっと、えー。た、ただいまより……だ? た、大正明神の力を借りて、悪霊の除霊を執り行います。非常に危険を伴う除霊のため、終わるまで、誰も目を開けてはいけません」
(……七香、たいしょうみょうじんって何?)
(知るわけないでしょ……)
七香がまたスマホを出してくる。
「な、なな? ナナハチマンツム? ギ? ななはちまんつむぎ、ななはちまんつむ……」
(……七香、この呪文あってるの?)
(さっき作った……)
七香がまたスマホのページをめくった。
「は、はー!!」
七香が高らかに宣言する。
「皆のもの、これにて悪霊は去った。安心して学業、部活動に勤しむが良い」
「ははーっ」
(……何? この茶番劇?)
<つづく>




