番外編5−4 SNSとドーパミン
「え?」
「つまり、興味のありそうなコンテンツを連鎖的に表示することで、永久にコンテンツを見続ける。これがSNS依存の始まりってことだ」
あ、そういうこと!?
「そして、多くのコンテンツはショート動画、つまり数分の短い動画が多い。この短い間隔で、次に何が出てくるかワクワクする状態をドパミンスロットマシンという。ギャンブルのスロットマシンやパチンコと一緒で小さい刺激が連続して、途中でやめられない現象が起こるんだ」
「え?ギャンブルと一緒なの?」
「紬、プラットフォーム側に立って考えるんだ。プラットフォーム側の主な収入源は広告とデータ販売だ」
「広告はわかるけど、データ販売?」
パパはコーヒーをソーサーに戻した。コトリと小さい音が響く。
「よし、まずは広告から。紬がTVCMのスポンサーだとしたら、たくさんの人が見てくれる番組と、少数の人が見てくれる番組、どちらにお金を払ってCMを出す?」
「そりゃ、たくさんの人が見てくれる方でしょ」
「そうだな、それが自然なロジックだ。では、しょっちゅう別の番組に切り替えられるのと、ずっと見てくれる番組では?」
「それは、ずっとの方だろうね」
「そうだな。ではテレビ番組側はどうする?」
「え?どうするって?」
「たくさんの視聴者に長く見てもらうためには?」
「えっと、それは、冒頭で視聴者の心を離さない盛り上がる内容にして……」
私は、昨日見ていたバラエティ番組を思い出していた。どうだったっけ?
「紬は見覚えないか? 『続きはCMの後で』って」
「あ、あるある。クイズ番組とか!」
「それと同じ構造がSNSでも起こっているんだよ。これが『ドパミンスロットマシン』現象だ」
「ドパミン?何それ、新しいムーミンの仲間?」
「……ドーパミンと伸ばす方が一般的だが、脳内で何かが起こりそうという期待する時に出るホルモンだ。ギャンブルで小当たりが連続するように、SNSでショート動画を連続してみると、ドーパミンが絶え間なく出て、『次も見たい』『次が気になる』という状態を作る」
「中毒症状みたいに?」
「そう、そしてそれを組織的にやっている。マーケティングの専門家や映像の専門家がね」
組織的って、それってアレと一緒じゃん。
「え?それって前にパパが言っていたサイバー攻撃集団と同じ構造ってこと?」
「そこまで悪意はないが、そんな専門家集団が相手では、言ってみれば素人の子供やその親が抵抗できるわけがない。だから国が法律を作って、提供側に規制を掛けているんだ。おそらく日本もそうなるだろう」
<つづく>




