番外編5−1 作戦名「憧れのJK化」
土曜日の午後、私の高校は土曜は半ドンだ。
前にパパに「土曜は午前授業」って言った時「半ドン」って言われて、「え?」ってなった。
私はてっきり「天丼」とか「カツ丼」の仲間かと思ったら、午前中で終わりになることを「半ドン」って言うんだって。
昔、お昼に空砲をお昼に打つ習慣があり、そこからお昼に大砲が「ドン」って鳴るから「半ドン」だとか。
今日も明美ちゃんが私の部屋に遊びに来ていた。
「ねえ明美ちゃん、土曜は半ドンだったんでしょ?」
「ハンドン? なにそれ? ハンギョドンの仲間?」
(……これがジェネレーションギャップってやつ? いやハンギョドンなら私も知っているよ? あれ?)
私の学校が「半ドン」で、明美ちゃんの学校も「半ドン」の時は、よく遊びにくるようになっていた。
(……一応、私受験生なんだけど……って思うけど、まあ明美ちゃん可愛いから!)
今日は、前に貸したオカルト本を返しに来てくれたのだった。そして「また面白い本、貸してほしい」って。
自分が書いた本じゃないけど、なんか良い気分♪
それに、私には、別の目論見があった。
名付けて「紬、憧れのJK化」作戦。
前回の反省から、七香に部屋の女子力アップを実施済み。
私の部屋は、前のグレーと白のモノクロームから、パステルカラーへと変貌をとげていた。一部だけど。
これで、明美ちゃんに「男の子の部屋」とは言わせない!
きっと、「わぁ、紬ちゃんの部屋、可愛くなってる」ってキラキラして言われると思ったから。
なのに……、
なのに……、
明美ちゃんは、私の部屋に入るなり、本棚に行って、私のコレクションを物色していた。
「紬ちゃん、こないだ借りた本、入れるの、ここでいい?」
「う、うん。どこでも空いているところに入れて」
明美ちゃん、部屋……。
「ねぇねぇ、他はどれが面白い?」
明美ちゃん、クッションとか…
「そうだねぇ。「砂の器」とか?」
明美ちゃん、くまのぬいぐるみ……。
「なんか、分厚いね」
明美ちゃん、アロマ……。
「え? そお? 面白いけど。ちょっと小学生には重いかな。じゃ、「白い巨塔」とか?」
「なんか、両方とも白いんだね…」
(……その観点はなかった!)
結局、探偵ガリレオの短編集を選んだ。
(……明美ちゃん、本じゃなくって、その……)
「あ、明美ちゃん、ホラ、くまのぬいぐるみ! 可愛いでしょう?」
明美ちゃんは横目で、七香の置き土産のパステルカラーのぬいぐるみを見た。なんかジトッとした目で…
「……紬ちゃん、こういうのが好きなの?」
「え? えっと、うん、可愛くない?」
「明美も幼稚園ぐらいの時に、こういうの持っていたよ! 今はダッフィーとかの方が好き!」
(ガーン、そっちか、そっち方向か!)
私が必死に心に刺さった楔に気付かれないようにしていると、
ピロリン!
聞き覚えのある通知音が聞こえた。
<つづく>




