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5−6 文脈と、切り取りと
「なるほど、SNSによるプライバシー侵害だね」
パパは私の話を聞いて、静かに感想を述べていた。
私のパパはセキュリティの仕事をしている専門家だ。熱中すると周りが見えなくなるのが厄介だが、それ以外は非常に頼りになる存在だ。
「パパ、やっぱりBeReal.って危ないの?」
パパの眼鏡の奥に光が宿った。専門家の目だ。こうなると誰にもとめられなくなっちゃう。パパは手にしていたマグカップを静かにテーブルに置き、まっすぐ私を見た。
「紬、道具自体に善悪はないよ。だが、「無防備なリアル」は、時に危険なものになってしまうことがあるんだ」
「無防備なリアル?」
「BeReal.の最大の特徴は『2分以内の投稿』『加工なし』『一斉同時刻』、そして『内外カメラの同時撮影』だ。この制約が、時に無防備な隙をつくってしまう」
パパの眼鏡の奥は、好奇心でキラキラしていた。
この顔をすると長い。娘だろうと、誰だろうと、お構い無しに話をぶつけてくる。たまに理解困難な話もだ。
よし!
私は若干うんざりしながらも、心のなかで気合を入れて、この魔法使いの話に付き合う覚悟を決めた。
<つづく>




