3−11 最後に残ったリスク
「つ・む・ぎー、おはよー!」
朝、登校すると、七香が抱きついてきた。
「七香、声大きい、あとさ、毎朝抱きついてくるのなんとかならない?」
「えー、いいじゃんー、あー紬のお腹あったかい~、癒やされる~ぷにゅぷにゅ~」
私の制服の中に手を突っ込んできた。かるくチョップをする。まあこれも毎日のお約束か。
「そういえば、明美ちゃんの新聞、どうなったんだろう?」
「あ、それね、なんか中止になったらしいよ」
「ええ?!」
「なんでも、新聞委員長と副委員長がケンカしちゃったらしくて」
七香によると、委員長が同じクラスの女子と仲良くなっちゃって、やきもち焼いた副委員長とケンカになったらしい。
「それで怪談企画は、おじゃん」
「え?ちょっとまって?小学生の話だよね?」
「だよねー、最近のマセガキはしょうがないねー、はじめっから一人に絞らなきゃ良いのに」
いや、それは七香だからできる芸当だとおもうけど。
「そっか、今回も人の心のセキュリティが最大の穴だったね。まあ誰にも被害出てないから、いっか」
「そういえば、紬のパパって、タピオカミルクティー初めて飲んだんだね。結構可愛かったね」
「え?どこが?」
私は、パパがミルクティーを飲んでいる姿を思い出した。ただのオジサンがミルクティー飲んでる、って絵しか出てこない。
「ストローの太さに驚いているところとか、残ったタピオカにむせたり、最高に尊いよ!ギャップ萌えだよ!」
七香がどこに「萌え」を感じるのか、まったく理解できない。
「じゃ新聞の企画は、やり直しなんだね」
「みたいだね。こないだ私に言ってたよ。今度のテーマは『サンタはいるのか、いないのか』だって。どうしてサンタって世界中を一人でまわれるのか、とか。かわいいよねー。あ、また紬の部屋にも行きたいって」
なんか背中がゾクゾクした。これって学校七不思議?
今日は寄り道して帰ることにしよう。パパが言ってた「忍法、危険回避」の術だ。
そうだ!忘れてた。私の部屋の脆弱性スキャン!
「七香、ちょっとお願いがあるんだけど。今度私の部屋に来てくれない?」
七香の脆弱性スキャンは辛辣そうだけど、ちょっとはJKらしい部屋にしたいよね。
少なくとも小学生以上には。
<学校七不思議 完>




