3−5 パパの脆弱性
私は慌てて洗濯物を片付けた。かるく咳払いをする。
「というか、七香の部屋に行ったの?」
「うん、こないだ原宿に一緒に行ったよ」
七香、なにしてんのよ…
「えー、えっと、学校七不思議の本だよね?」
私は昔買ったオカルト本を取り出して見せた。
「ほら、これなら漫画だし、新聞に使えるんじゃない?」
明美ちゃんはパラパラとめくっていた。
「うん、ありがとう。でも結構知っている内容かも。火星の人面岩とか、人面犬とか。ねえ紬ちゃん、なんで理科室とか音楽室なの?」
う、なんでって言われても…。
「うーん、そうだねぇ。パパならわかるかも…」
パパはセキュリティの仕事をしている専門家だ。今まで数々の謎をセキュリティの知識で解決してきた、頼りになるけど、セキュリティの話題になると暴走する厄介な人でもある。セキュリティに関連して、一見関係のないことでもよく知っている。
「パパ?」
「あ、うん、ほらこないだちょっと会ったでしょう?うちのパパ。パパならなんか知っているかなって」
「紬ちゃん、お父さんのことパパって呼んでるの?」
私は急に恥ずかしくなってきた。たった2文字にこんなに心臓がバクつくなんて、私の脆弱性だ。
「いや、それは、ほら明美ちゃんもそう呼んでるかなって思って」
「うちはお父さんって呼んでるよ」
「あ、そうなんだ。。でね、パ・・父だったら」
「ちち?」
「いや、その、私のお父さんだったら、いろいろ知っているかもだから今夜聞いてみるね」
「ねえ、紬ちゃん、私が紬ちゃんのお父さんに会っちゃだめ?直接話聞きたい」
「え?いいけど、今度の週末とかなら。でも普通のオジサンだよ?」
「やったー、紬ちゃんのお父さん、スマートだからいいじゃん」
<つづく>




