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番外編2−6 見えない風景
成田空港からの帰り道。
私はパパの運転する車の後部座席に座らせてもらった。
パパは、ずっと無言で運転している。
カーラジオから夕方のニュースが流れている。
どこかで聞いたことのあるようなJーPOP。
私は車の外を流れるオフィス街をぼんやりと眺めていた。
「紬?」
「何?パパ」
「今度の夏、ママのところに行ってみようか?」
「え?いいよ。飛行機代とか高いし、受験生の夏休みは貴重だよ?」
「そうか?」
「私は大丈夫。夏前にまた日本に帰ってくるって言ってたし」
…
「でも」
…
「もしできたら」
…
「受験が終わったら、行きたいな…」
…
「約束だ」
パパが力強く言ってくれた。
私は車の窓ガラスから見える外の景色を眺めていた。
夕暮れのあかりが街を満たしていく。
外の風景が滲んで、流れる文字が見えなくなっていた。
<つづく>




