2−2 私って、クール
私はいつものように登校し、いつものように教室のドアを開けた。
ただ、いつもと違っていたのは、教室に誰もおらず、静まり返っていることだった。
今日は日直当番で、みんなより早く登校する日だった。
「さすがに、ちょっと早すぎたかな?」
小さく独り言を言って、時計を見た。まだ授業開始まで30分以上ある。
いつもはパパの後に家を出るのだが、今日は朝ごはんは家で食べずに、パパと一緒に駅まで行ったのだった。
「さてと…」
カバンから今朝食べなかったサンドイッチとオレンジジュースを取り出した。
たまには誰もいない教室で朝ごはんってのも洒落てる。
ちょっと私ってクール?
そんなことを考えながら、窓から校庭を見ながらサンドイッチを頬張ろうとした時だった。
「つ・む・ぎー!!」
「うわぁ!」
幼馴染であり親友、そしてクラス一のトラブルメーカー、七香がカーテンの影から飛び出してきた。
私は、突然のことにびっくりして、サンドイッチを落としてしまった。
「ちょ、七香!何しているの!?こんなに朝早く?」
「へへー、今日紬が日直で早いって聞いたから、私も早くきたんだ。一人じゃ寂しいかと思ってさ」
「いや、別に寂しくないし。というかなんでカーテンの影に隠れてるのよ?」
「んー?なんとなく?まだ紬来てなかったから、ちょっとサプライズ的な?」
「サプライズすぎるでしょ!」
私は、落としたサンドイッチを拾い集めていた。
「あはは、ごめんごめん。ほら、お詫びに紬の好きなマルジューのホイップあんぱん買ってきたら、半分こしよ?」
七香はそう言うと、あんぱんを器用に手で割り、大きい方を私に差し出してきた。
朝の光が、七香の茶色のボブを透かして、キラキラと光る。
まったく、こういうところが憎めないんだから。
<つづく>




