番外編8ー2 ラオウ、敬礼される
「ねえ七香、本当に私たち行ってもいいのかな?」
「んー、お姉がどうぞって言ってたし、いいんじゃないの?」
今日は、七香のお姉ちゃんの九美さんに誘われて、警視庁に来ていた。明美ちゃんも一緒だ。九美さんは、定期的に警視庁の幹部の人向けに、格闘術の指導をしているんだって。
――どんだけすごい人なんだ。
こないだ私があんな目にあったし、「ちょっと見にくるくらいでいいから」と言われて、警視庁の格闘術講習を見学させてもらえることになった。
警視庁は入り口からして違う。なんか空港のゲートみたいのがあるし、周囲には、長い棒を持った警察官があちこちに立っている。
明らかに場違いな私たち。ずっと監視されているような居心地の悪さを覚える。
「ねぇねぇ、これ写真撮っていいみたい」
明美ちゃんは、キョロキョロと見渡して見つけた『ピーポーくん』と並んで取れる写真撮影スポットを指差していた。
「え? いいのかな? ここって警視庁の中で、イベントとかのためじゃない?」
「ちょっと聞いてみる! すいませんー」
言うが早いか、近くにいた女性の警察官に突撃して行った。
――若いって怖い……。
「いいってー、撮ってくれるって!」
明美ちゃんは、警察官にスマホを渡して、手招きしている。
警察官の「はい、チーズ」という場違いな声がロビーに響き、ぎこちない顔で写る私と、その隣の満面の笑みの明美ちゃんと七香。
「ありがとうございましたー」
明美ちゃんの声に笑顔で対応してくれる警察官。
――場違いすぎる。
「七香、九美さんはどこに?」
威圧感に耐えられず、七香の袖を引っ張っていた。
「確か地下の道場って言っていたけど……ちょっと聞いてくるね」
そういうと、七香は近くを歩いていた警察官に話しかけている。何か話していたと思ったら、警察官の人が、突然直立不動で敬礼していた。七香もなぜか敬礼している。
――知っている人なのかな?
「紬ー、わかったよー。地下2階だって」
<つづく>




