8ー10 地固まる
翌日、私は学校を休んだ。
左の頬と手首に赤黒い跡が残っているけど、お医者さんの話では「そのうち消える」とのことだった。昨夜は病院から出た後、被害届を出したりで、帰ったのは深夜すぎていた。顔にも跡が残っているし、「今日ぐらい学校を休めば」ってパパが言ってくれたし。手首には包帯と、顔にはバカでかい絆創膏を貼ってもらっていた。
家で特にやることもなく、ダラダラと過ごしていると、家のチャイムが鳴った。インターホン越しに、七香が立っているのが見えた。学校帰りに寄ってくれたみたいだった。
「紬、どう? 怪我は?」
何事もなかったかのように、話しかけてくれる七香。
「うん、大丈夫。ちょっと跡があるから絆創膏しているだけ」
「あとさ、聞きにくいんだけど。その、他に体とかは?」
「…うん、ちょっと触られたけど、大丈夫」
「そう、良かった。全く! 女の子を傷つけるなんて! 死刑にでもなればいいのに」
「あ、あのね。七香」
「?」
「ごめん……、ごめんなさい。私酷いこと言っちゃって。何も知らずに」
「そんなこと、気にしなくていいよ。私だって黙ってたしね。私こそ、ごめんね。紬にはやっぱり秘密にはできなかったよ。それで結局紬を危険な目に遭わせちゃったし。それに私も言葉キツかったよ、ごめん。ちょっとあの日だったから……寝不足でイライラもしててさ……」
七香の言葉を遮って言った。
「あと、あとね。ありがとう。助けに来てくれて。私、あんな怖い目にあったことなくて、声も出せなかった。あの時七香がきてくれなかったら」
「当たり前じゃん! 紬のことは、この七香様が守ってやるって」
「あとね」
「なに? 今日はいろいろあるんだね」
「七香とは、ケンカしても、ずっと友達だからね」
「なーに言っちゃってんのよ! 当たり前でしょ!」
七香が、私の手をぎゅっと握った。
「痛っ!……」
「あー、ごめん!」
思わず吹き出してしまった。七香も釣られて笑っている。
また、いつもの日常が戻ってきた。
<つづく>




