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JK紬のセキュリティ相談室2、女子高生がセキュリティの力で事件解決しちゃいます  作者: 雨後乃筍
8章 ネットグルーミングと未成年性被害

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8ー1 平和な駅前

 雲ひとつない青空が広がっていた。

 小峰拓也こみねたくやは、交番の前に立って空を眩しそうに見上げていた。その前を多くの人が行き交っている。通勤に急ぐサラリーマン、OL。制服を着た学生。近所のお年寄り。駅前の交番勤務になって約一年。刑事になることを目指して、今は交番で修行中って感じだ。でも交番勤務も悪くない。街の人たちとの触れ合いがある。重大事件もない、平和な街だ。


 駅の方から聞き慣れた元気な声が聞こえてきた。


「小峰さーん、おはー!」


 近くの高校に通う七香ちゃんだ。いつの間にか顔見知りになって、毎朝声をかけてくれる。女子高生と言うと人見知りするイメージを持っていたが、こんな社交的な子もいるんだなと感心したものだ。学校の先生とか会社の経営者とかに向いているのかもな。そんな想像をしてしまうような明るい子だった。


「七香ちゃん、おはよう。今日も元気だね!」


「ごめんー、遅刻しそうなのー、またねー」


 手を振りながら、走りすぎていく彼女の背中に声を掛ける。


「気をつけてなー、信号守れよー」


 その声が聞こえているのかわからない。あっという間に交番の前を走り去ってしまった。その背中を見送りながら、自然と笑みが溢れた。こんな子が笑顔で過ごせるために、自分たち警察が頑張らなくちゃな。

 多くの学生が、七香ちゃん同様に走り抜けていく。


 ――みんな車に気をつけてな!


 心の中で声を掛けていた。


 駅前は相変わらず人の行き来が絶えなかったが、徐々に学生の姿が少なくなっていた。そろそろ登校時間帯も終わりなのだろう。

 

 ――さてと。


 今日の日報を開き、夜勤からの引き継ぎ事項を確認していた。酔っ払いの世話、落とし物など、あまり変わり映えのしないものばかりだが、それが平和の象徴でもある。

 続いて本店からの通達に目を通す。まず目に入ったのは、未成年の性的被害だった。『ネットグルーミング』と題された通達には、SNSやゲームのチャットなどを使って、同年代を装って中高生を誘い出す手口らしい。女子には性的暴行、男子には犯罪への加担、場合によってはその子供を使って別の子を誘い出すこともあるらしい。ここまで来ると個人の犯罪ではなく組織犯罪のようになってきている。自分もSNSをやっているが、リアルで知っている人との繋がりだけで、SNSだけでつながっている人はまずいない。


 ――流入経路が逆になっているな。


 かつては特定のグループが形成され、その連絡手段としてSNSが使われていた。だが今は、グループが形成されずにSNSだけで緩く繋がって犯罪が行われる「トクリュウ」の時代だ。事前検知の難しいケースが増えている。しかも実行役の低年齢化が進んでいるらしい。犯罪被害者の若年化も進んでいると聞く。


 ――自分にも、中学生になる妹がいる。あんな子たちが被害に遭うなんてことがないようにしないとな。


 通達に『読了』の記録として印鑑を押してファイルを閉じた。今は自分にできることをやるだけだ。地域の巡回。些細な変化を見逃さないために、普段の風景を目に焼き付けておくことが重要だ。


 先輩から言われた言葉を頭の中で反芻しながら、ヘルメットを抱えて交番を後にした。


 <つづく>


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