表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JK紬のセキュリティ相談室2、女子高生がセキュリティの力で事件解決しちゃいます  作者: 雨後乃筍
番外編7 レンズの向こう側の向こう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
118/119

番外編7ー3 七香の先

 爽やかな週末の朝。リビングで、ゆっくりと淹れたてのコーヒーを注いでいると、ソファでノートPCを開いてパチパチとキーボードを叩いていたパパが、ふと顔を上げて話しかけてきた。


「紬。そう言えば、例のファミレスの出禁は、無事に収まったみたいだな」


「え? うん、まぁ、そうだけど。……なんでパパがそんなことを知っているのよ?」


「昨日ね、七香ちゃんから誘われたんだよ。『明日ファミレスに行きましょう、期間限定のメロンパフェが最高におすすめです』ってね」


「はえっ!? な、七香から、パパに直接!?」


「ああ。だから『パフェはそんなに食べられないよ』って返信したらね、『なんでもいいから一番高いメニューを頼んで売り上げに貢献してください』って」


 パパは画面を見つめたままハハッ、と楽しそうに声を立てて笑っているけれど……。


 私はコーヒーのマグカップを握ったまま硬直し、改めてソファに座るパパの姿をまじまじと見つめてみた。白髪の混じった髪に、ヨレたスウェット。どこからどう見ても、ただの冴えないくたびれたオジサンだ。


 ――ちょっと待って。ギャル感丸出しの七香と、生気を失ったただのオジサンが、週末の昼下がりにファミレスのボックス席で二人きりで向かい合っているビジュアル。それって、客観的に見たら、どこからどう見ても今流行りの『パパ活』にしか見えないじゃないのよ!


 ――しかも学校のすぐ近くの店舗でパパ活を繰り広げる現役JKと中年男性。……パパってば、こないだの事件の時に学校の生徒指導の先生にもガッツリ顔を覚えられているよね? もしそんな最悪な噂が学校ネットワークに流れたら? 運悪くクラスの誰かに見つかって、BeReal.の通知の瞬間に背景としてパシャリと撮影されてアップロードされでもしたら?


 ――それ、完全に我が家の社会的『死亡フラグ』じゃないのよ!!


 私の脳内では、顔にモザイクを掛けられたパパと七香が、炎上系YouTuberに突撃されて晒し動画にされている地獄のような映像を鮮明に自動再生し始めた!


 動画は、きっとこうだ!


『すいません! カメラ回してまーす! お父さん、今そこで女子高生相手に何しているんですか?』

『あ、いや、誤解です! これ、ウチの娘の親友の七香ちゃんで……』

『娘さんの友達ぃ? 今どきの現役女子高生が、友達の父親と週末に二人きりでファミレスで密会したりすると思いますか? 言い訳が苦しすぎでしょ!』

『いや、本当にただ仲が良いだけで、パフェを食べに……』

『お姉さん、今何歳? ぶっちゃけいくらで契約したの?』

『じ、十七歳です……。パフェをお奢ってもらう約束で……』

『うわ、未成年確定! アウト! お父さん、未成年者淫行って知ってます? はい警察呼びまーす!』

『わ、私はそんないかがわしいことはしていない! 証拠はあるのか、証拠は!?』


 脳内で勝手に再生された最悪の動画に、その場で身のすくむような恐怖を味わった。なんとしても、そんな最悪のシナリオだけは防がなければ!


「パパ!! それ、私も行く! っていうか絶対に絶対! 何が何でも一緒に行くからねっ!!」


「どうした? 急に大きな声を出して。……ああ、最初から紬も一緒に三人で行こうって七香ちゃんからお誘いになっていたんだが……聞いていなかったのかい?」


「……え? あ? そ、そう? 最初から、私もセットの予定だったんだ。……へぇ、そう? 私も、行くんだ……だよね! 最初からそう言ってよ!」


 ――なんか、血圧が上がったり下がったりで、クラクラしてたよ……。


「だから今日のお昼はあのファミレスに遠征だ。七香ちゃんもお店の前で待っているそうだからね」


 ――もう、七香のバカ! あんた、パパを勝手に口説き落とさないでよ……!


 致命的な冤罪が回避されたことに心底ホッとして胸を撫で下ろし、先日の学食を全校規模で巻き込んだ七香の『出張スイーツカフェ作戦』の顛末をパパに事細かに披露した。


 パパは私の話を聴きながら、コーヒーカップを片手にひとしきり大笑いし、最後は深く感心したように頷いてみせた。


「なるほど! さすがは七香ちゃんだね。ガチガチの規則と不信感で凝り固まった大人を、まさか『全員の笑顔を増やす』というエンターテインメントにしてしまうとはね。その柔軟な発想は到底思いつかなかったな。まさに、あの七香ちゃんならではの解決方法だよ!」


 <つづく>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ