番外編6ー3 紬、動揺する
「あ、あの、明美ちゃん? ここ、どう見ても下着売り場だけど……?」
「うん、そうだよ」
明美ちゃんは、きらきらと輝くピンクの照明の下で、当然のように頷いた。
「お、お母さんの頼まれもの……を買うために、ついてきて欲しかったわけでは、ないよね?」
「うん、違うよ? 自分のを買いにきたの」
「でも、ここって、結構大人向けの本格的なショップだけど……」
「うん、だからいいの。こういうお洒落なのが欲しいんだもん」
「そ、そうなんだ……」
「最近ね、明美もちょっと胸がおっきくなってきたみたいだし、そろそろ子供っぽいスポーツブラも卒業かなって思ったんだよね」
――大変申し訳ありません。高校生である私、未だに実用性オンリーのグレーと白のスポブラを愛用しております。
「どうせ新しく買い換えるなら、こういうお洒落なお店で、可愛いやつを買いたいなって!」
――重ねてお詫び申し上げます。私、お洒落の欠片もない汚れの目立たないスポブラです。
「でも、学校の友達だとまだみんな恥ずかしがって参考にならなくって。……紬ちゃんは現役の女子高生だから、すっごく詳しいでしょ? 明美と一緒に可愛いやつ、選んでくれる?」
純粋無垢な瞳で私を見上げてくる明美ちゃんの笑顔が、今の私には最大のゼロデイ攻撃にしか見えなかった。
顔から火が出そうになりながら、私は心の中で悲痛な声を叫び散らす。
――七香ァァァ! 助けてーー!!
<つづく>




