返り血のマヤ⑥
「あれって返り血のマヤじゃないか?」
「は?
誰だそれ?」
「お前知らないのか?」
「いや、知らねーけど」
「お前な……
知っとけよ。
返り血のマヤっていうのはディスプレイ式ゲームでのあるプレイヤーの異名だよ。」
「はぁ?
異名ってちょっと厨二臭くないか?」
「それはな、つけた奴に言ってくれ……
ってそんなことじゃなくてだな、その返り血のマヤが有名な理由はちゃんとあるんだ。
それはシステムの穴をついた新たなる定石を自分で作ってしまうというものだ。」
「うん?
でもディスプレイ式のゲームってほとんんどルーチンによる攻撃だろ?
それにどこに新しい定石を作るっていうんだ?」
「それはいろいろやり方があるんだよ。」
「はぁ?
どうせチートとかだろ?」
「ちげーよ……
そんなことならそもそも異名がチートのっていうのになるだろうが」
「そ、それはそうだな」
「それにちゃんとそのやり方を動画でネットにアップしたんだって」
「マジかよ」
「ああ、それはやばかったぞ、なんというかタイミングが凄すぎて参考にはすらならんかった」
「そんなになのか?」
「ああ」
「それで返り血が最初についてるのはなんでだ?」
「ああ、それは簡単だよ、相手からの攻撃をほとんど受けないでその戦いに勝つからだ」
「はぁ?」
「だからな、動画をアップしたっていっただろう?」
「ああ」
「その動画のやり方自体が回避を含めた新しい攻撃の仕方っていうわけだよ」
「なるほど、でもなんでそんなすごいゲーマーなのに認知度があんまり高くないんだ?」
「それはな、有名になったのが一年前からだからだ。」
「ああ、なるほど……」
「……」
その後も会話は続いているがボクはそれを聞かないようにしてドラゴンの前にやってきて手をかざすと
「リリース」
と唱えてドラゴンの討伐報酬をもらう。
そしてすぐにそのまま逃げるようにその場を退散しようと思ったのだけどすぐに右手を掴まれた。
「ご主人様流石です」
そしてその右手を掴んできた張本人のレイラさんは鼻息荒く、なんだかエロい笑いだ。
あと気になっていたことがある
「体大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ、ご主人様。
慣れていますから」
「そう」
「はい」
ただその笑顔がニヤニヤしすぎて気持ち悪いレイラさんを見てボクはただどんよりと気持ちを落とした。
そしてこの逃げられない雰囲気の中で、目を輝かせている大学生集団とシズエとカナさんの方に行かないといけないというのはボクは何かの拷問か何かと思った。
ああ、ドラゴン倒したのに……
どうしてこうなるんだ。
ボクは心の中でため息をついた。




