この戦いで強くなる⑦
「ギシャァァァァァ」
ドラゴンが口を閉じて身悶えするようにして上空で暴れる。
そしてその牙を折った本人であるカナさんは涼しい顔で立っているがすぐに腰に下げていた爽やかなレモンの味わいがするドリンクを飲んでいる。
あれは気力回復用にと実はミレーネちゃんから一人一つもらったのだけれど早速飲むとは……
だけどたぶんあの魔法はそれだけの気力を使ってしまうのだろうと思うほどの威力があったので仕方がないといえば仕方がなかった。
そうしてボクはドラゴンが身悶えている間に地面に降り立つとすぐに人波をかきわけてカナさんの元に戻る。
「援護ありがとうございます」
「いいのいいの。
だって最初の飛び出しがなかったらうちらたぶんドラゴンの存在に気づいた瞬間に強制ログアウトするはめになっていただろうから」
「うんうん。
全く気づかなかったよー」
そうシズエが言ってくれるが、ボクは剣を構えたままドラゴンを見据えていた。
「怒った?」
エリンがブロードソードを構えながらそう言うのを聞いてボクは頷く。
あきらかにボクとカナさんの方を見ているその眼光は鋭く……
龍の威光と呼ばれるようなものに思えた。
だけれどそんなことを考える余裕もなく、ドラゴンが口を大きく開けるとそこから火の球を吐き出した。
「ファイアブレスだ」
誰かが叫んだと同時にボクを含めて何人かの水の加護を受けた冒険者たちが魔法を詠唱する。
「水よ、その恵みにて守る盾となれ、ウォーターウォール」
水の盾をボクはイメージしてそのファイアブレスの前に来るように分厚く展開する。
これでどうだとばかりに展開をしているがボクの盾では防げそうにない。
だけれど、そこは数の暴力を誇るこの戦い。
他の人による水魔法にてそれは相殺された。
「なんて威力だよ!」
「あれを何発も撃たれたらおしまいだぞ……」
「くそ、行くしかない」
だけどそう、一部の人が声をあげるようにファイアブレスを一発防ぐだけで何人かの水魔法をぶつけないといけないのだ。
これではファイアブレスをずっと撃たれているだけでボクたちの気力は切れてしまうだろう。
それに先程のブレスだけで何人かがドラゴンに恐怖を抱いてしまっているのでその人たちはもう戦力にはならない。
そして一部の人が特攻を仕掛けるがそれがドラゴンの攻撃の範囲内に入るということに気づいてはいないようだ。
すぐにドラゴンは近くにきた冒険者の一人をその手の爪で胴をグサリと突き刺す。
速さはそこまででもなかったがその攻撃を防ごうとした冒険者の剣を折ってその冒険者の体を貫いたのだ。
パワーは段違いか……
それを確認したボクは更に観察しようとドラゴンから目をそらさない。




