この戦いで強くなる⑥
といっても時間はなくて気づいたらあの部屋の前にたどり着いていた。
そうゴブリンが蹂躙されて、ドラゴンが眠っていた場所だ。
そして先頭に立っていた男がその部屋の扉を開けたがそのかなり大きな闘技場のような場所にはドラゴンは見当たらなかった。
「どこにいる?」
戸惑いの声を聞きながらもボクは頭の中に出てきている危険信号に従って剣を抜いて人の間を駆け抜けると同時に手頃な男たちの背中、頭を踏みつけて飛び最後に壁を足蹴りにして上に飛んでいたドラゴンに剣を振ろうとして、だが届かない。
まぁ、それはそうだ。
普通に考えたらドラゴンは飛んでいるのでどれだけこちらが跳ぼうとも届かない。
だけれどそれに届くようにして剣を振るいたいのがボクなのだ。
そんな一番初めに先陣をきったボクはそのまま逆方向の壁に剣を突き刺すとゆっくりと減速する。
さぁ、このまま見逃してくれればいいが……
そう、これはドラゴンが初めに出してくるであろう上空からの全体重でののしかかり攻撃を見越した上でそれを出させないようにとボクが先陣をきったのだ。
その先陣をきったボクは普通に考えればドラゴンの初撃を邪魔したやつとなる。
そのため、ここで狙われる可能性が一番高い。
だからこそ見逃してほしいのだけれど、さすがにそうそうボクのお願いが叶うことはない。
上空を飛んでいたドラゴンはすぐにこちらに目を向けるとその大きな口から
「ギャリュュュゥゥゥゥゥ……」
と独特な咆哮を轟かせながら突進してくる。
丸呑みにしてくる気だ。
そう思うがここでこの剣を離して少しの滞空時間とともに地面に落ちるとその着地の瞬間に食われてしまう。
どうすれば?
そう考えたところで何発かの弓矢がヒョロリと勢いのない感じでドラゴンに当たるがそれをものともしないドラゴンは加速したままこちらに向かおうとしていた。
これは普通の弓矢ではどこからでも上から下は狙えるのに対して下から上を狙うには距離を離しすぎてはいけないのだ。
威力がなくなると理由でだ。
だからこそボクはたぶん一撃で自分がゲームオーバーになるのを頭の中で描いていたその時だ……
弓を引いて矢をセットしていなかったカナさんの声が凛と響いたのは。
「雷鳴よ、ただ一光の雷よ、この一矢によって敵を貫け、ライトニング」
そしていつもよりも長い詠唱により魔法を放ったそれは矢のような形をした雷だ。
バチバチと音を鳴らした雷の矢はまるで意志をもっているかのように弓から放った後から更に加速してボクに向かってきていたドラゴンの口から出ている上牙の一本を折った。




