進みだす王女の冒険記⑦
「おいおい、閉店時に来るなっていつも言っているだろう」
そして席に座ったボクたちの方にやってきたのはこのお店の店長らしい少し年配の男の人は頼んでもいないのに料理を幾つか持ってくるとテーブルの上に並べてくれた。
「いいんですか?」
「いいよ、食っていきな。
うちの家内も喜ぶよ」
戸惑うボクに対して笑顔でそう言ってからお店の奥に戻って行った。
「ほら、遠慮しないで食べなよー」
そしてその食事をすぐにボクの方に持ってきたシズエさんは自分の料理を食べ始めた。
食べていいんだよね。
ボクは恐る恐る目の前にあるチャーハンに見えるものを食べた。
「美味しい」
まさしくチャーハンの味をしたその食べ物はすごく美味しかった。
ゲームの中でも料理ができるというのは他のゲームでもあった気がするけれど、そのゲームでのレビューで見ると不思議な味とか独特の味とか言われていたのを知っているけれど、このゲームで食べるこの料理は本当にちゃんとしたリアルと同じ味がした。
これがリアルにより近いゲームと言われることはあるなと思う。
そしてここで驚くべきことが判明する。
シズエさんとエリンさんは出会った時には戦闘に行っていたのか上に表示されていたHPバーが減っていたのにご飯を食べていくにつれてそのHPバーが回復しているのだ。
これには驚きだった。
基本的にゲームではポーションのようなものがHPを回復させるものはずなのに料理も回復させている。
そしてその下にあたるMPゲージ、といっても気力ゲージも同じように回復し始めている。
これってもしかして、休息という行為を行うことによって体力並びに気力も回復するということなのだろうか?
確かにリアルでは食べ物を食べることで元気になったりするけれど……
本当にリアルに近すぎると思う。
でもゲームとリアルを間違えることがなく認識しているのは、人の体力や気力を目で見て取れるからというのと、この世界そのものが今までいた現実とかけ離れているからだろう。
そんなことを深く考えながら食べていると、その表情が美味しくないと感じたのかお店の奥から今度は先程の男性と同じような年の女性がこっちに歩いてくると、手に持っていたものをテーブルに置く。
「あんまり無理して食べなくていいのよ。
そのチャーハン味少し濃い目だから全部食べるのはキツイでしょ。
だからこれよかったら食べてね」
そう言って持ってきたものは見た目は杏仁豆腐のような食べ物だ。
ボクは慌てて表情を笑顔に戻すと
「ありがとうございます」
と告げてからそのデザートを口に運ぶ。
「お、おいひい」
それは杏仁豆腐のような食べ物であるけれど、味は違った。
杏仁豆腐のあの固形の形をした一つ一つ味の違うゼリーみたいなものだった。
それも全て白い色に統一されているため、どれがどの味かわからないというある意味でいうところの闇鍋、もとい闇デザートだ。
だけど、一緒に食べても何故か美味しいその摩訶不思議な食べ物をボクは必死になって食べていた。




