進みだす王女の冒険記⑥
「きゃわ……」
「きゃっ……」
驚くと何故か女の子みたいな悲鳴を上げるボクと、ボクにぶつかってしまった女の子は驚いたようにこちらを見ていた。
「すみません」
「いいよ、気にしないで」
慌てて離れてから謝るボクにその少女は笑顔で手を振りながらそう言ってからこちらの顔を下から覗き込んでくる。
ボクは戸惑いながら数歩後ずさっていると、その少女の頭にチョップがふってくる。
「嫌がっているでしょ、やめなさい」
「痛いよ、エリンー」
「痛くしてるのよ、シズエ」
後からチョップした方もぶつかってしまった方も、HPバーが表示されているのでどうやら冒険者みたいだ。
その場で戸惑っているボクにエリンと呼ばれた女の子が話しかけてくる。
「そちらこそ大丈夫ですか?」
「はい、ぶつかったのはこちらですし……」
「そうですけどね、この子もあなたの後ろをチョロチョロと歩いているのがいけないのですから……」
「そ、そんなことないですよ」
「エリンも困らせてるじゃんー」
ただ慌てているボクを見かねてシズエと呼ばれた人がそう言うと、エリンさんの方がハッとした表情をして口を閉じる。
「ごめんねー」
「いえ、その人と話すことにあまり慣れていないだけで……」
「そっかー」
「はい」
緊張に緊張を重ねて敬語しか使えないボクの方を見るシズエさんはなんだかすごく優しい表情だ。
どうしていいのかわからなかったボクはそのまま立っていると、シズエさんに手を掴まれる。
「実は良いお店があるんだけど行かない」
「はい、行きます」
そしてボクはこの状況にまだまだ整理がつかなくてなされるがままに連れて行かれる。
というよりも断るという思考が今のボクには働いていなかった。
その間のエリンさんは先程のことがよほどショックだったのかうなだれて後をついてきていた。
そうして着いたのは普通に看板がさがっているようなお店ではなかった。
普通の家のような外観をしているお店で、中に入るとそこには立派なお店になっていた。
それにここって……
「そうです、このお店”ノイの家”はプレイヤーの人がやっているんですよー」
「す、すごいですね」
「そうですよ。
それにいろんなものが美味しいですよ。
ほらエリンも座ろうよー」
そしてボクはその言葉にならうようにして席に腰をおろした。




