進みだす王女の冒険記④
「あれ?
見ねー冒険者がいるな」
「本当だな」
「いや、普通にゲームだから新参者もいるだろ……」
「そういう意味じゃなくて、すごく可愛いんだよ。
だから気になったんだよ」
などという声が聞こえる。
ああ、レイラさんのことかな。
そりゃレイラさんって、黙っていたら美人だもんね。
と思っていたらレイラさんがボクの前に立つ。
「どうしたのレイラさん?」
「いえ、先に宿を借りましょうか」
「え、いいけど……」
どういう意味かわからないままボクはそのままレイラさんに引きずられるようにして近くの宿屋に詰め込まれた。
宿屋にはまだ昼間なのであまり人はいないが、ボクたちのことに気づくとまたヒソヒソと話しをしている。
どういうことだろう。
そんなに珍しいものだろうか?
そう考えていると、レイラさんに強引に宿屋の部屋にぶち込まれた。
「マヤ様だと不自然だから、呼び捨てにするけど……
マヤ、もう少し自覚をしてください」
「な、何を?」
「自分の容姿をです」
そうすごい剣幕で言われて考える。
うーん、よくわからない。
「く、この天然は……
これだから私だけの届く範囲にとどめておきたかったのに」
そして何やら不穏な言葉を呟いている。
「とりあえず、ちょっと街見てきてもいい?」
そう、マーテルでは街の様子などはほとんど見ることもなく街門に連れて行かれたためにまだちゃんと街を歩いたことがなかったのだ。
だからこういう時こそ情報収集もかねて街の中を歩いてみようと思って提案したのだけれど、レイラさんの表情を見るからして、無理そうだ。
そう例えるならこのアホは何言ってんの?
もしかして寝てるの?
大丈夫頭?
と言っているようだ。
というか小声でそう呟いているので怖い。
そんなレイラさんを見て思うことは一つだ……
逃げよう。
だけど今は逃げることができないため、一度宿屋のベッドに寝転ぶとメニュー画面を開いて口にする。
「ログアウト」
それによって自然と睡魔のようなものに襲われてからそれはすぐに解放される。
そしてもう一度目を開けるとそこは真っ暗だ。
そりゃダイブギアをつけているからだね。
ちなみに今はお昼なのでダイブギアを外すと一眠りしようかななんて考える。
本当に疲れた。
NPCといえども人と話すというのは正直苦手だ。
だから引きこもっているというのもなんだかおかしな話しではあるけれど。
今の僕を姿鏡で確認する。
そして涙が勝手に何故か溢れてくるのを必死に拭き取った。
何やってるんだろ……




