進みだす王女の冒険記③
そしてその後もウルフに出くわすかと思われたけれど、そんな心配は杞憂に終わるほど平和に森を抜けるとそれは見えてきた。
最初の街というからには小さいところなんだろうなと考えていたけれど、目の前に見えるのは意外と大きな街だった。
「ここがシュトレイヌなんだね」
そう強く宣言をしてボクは言ったが、レイラさんは首を振る。
「いえ、こちらから見えているのは首都マーテルですよ」
「え……」
恥ずか死ぬ。
何さっきの間違え……
自信満々に言ったものの先程までいた街と間違えるなんてね。
うん、よく見るとあの時出てきた街門が見えるね。
「ということは?」
「はい、私こうみええも方向音痴なので、どうやら戻ってきてしまったようですね」
あ、そですかー。
その情報もう少しはやめにほしかったよ。
まぁ、ボクもレイラさんならその辺は大丈夫だろうとふんでいたのがダメだったようだ。
「あれ、でもお城の中もかなり複雑なのに覚えてましたよね?」
「ああ、それはですね最初の頃に王女様より言われたのです。
この城の中の全てをすぐに覚えてきたら踏んでやろうと。
なので私は死に物狂いでやりましたよ」
「スゴイデスネ」
なんという聞かなくていい情報なんだ。
というかボクの王女像ってどういうものだったんだろう。
暗殺者を従えてドМにするだけでも尋常じゃない。
だけどそんなことを考えていたがすぐにレイラさんの言葉で我にかえる。
「それでこれからどうしますか?」
「あ、そうですね。
また迷うのも嫌なので外道を通りましょうか」
「わかりました」
ということで今度こそたどり着けるようにと投影型端末にて地図で確認をとりながら歩いていくこと約一時間……
ふぅ、ゲームの中でも引きこもりにはキツイなと感じてきた頃にそれは見えてきた。
明らかにマーテルとは違う、街が見えてきた。
大きさをいうとマーテルの半分もないくらいだろうけれど、それなりに賑わっている街は活気に満ちていた。
そしてシュトレイヌの街門を挟んで外道の反対側にシールズの森の出口が見えているので自分の地図に印をつけておく。
うんうんなんだか本当の冒険っぽいね。
そしてボクとレイラさんは最初の街、”シュトレイヌ”に辿りついた。
それなりに立派な街門を通り抜けるとそこは意外にも冒険者で賑わっていた。
「まだ、こんなにいるんだ……」
そうしみじみ漏らしてしまう。
それだけボクの視界にはHPバーが溢れているのだ。
まぁ、今日が土曜日の休日だというのもあるのだろうけれど。
そしてボクはフラフラとその中を歩いて行った。




