小松 澪は嫌な奴だ
冬は嫌いだった。
寒い…
とにかく嫌だ…
空は暗い…
突然雪が降り出す…
いつも濡れることを気にしないといけない…
だから澪は冬はいつも不機嫌だ。
でも創作にはいいのかもしれない。
部屋に籠もってひたすら作り続ける。
外は荒れてる天気だから部屋にずっといても親も何も言わない。
「また、本ばかり読んで…」
「たまにはどこか行ったら?」
そんなことを言われなくて済むからだ。
春になると三年生はいなくなる。
もう部活は引退してるからいないも同然だが。
「澪さ…もう少し人のこと考えてあげてね…言ってることはあってるけど、言い方だよ…みんな一生懸命書いてるし、それが楽しくてやってるんだから…」
先輩からはそう言われてきていた。
1年生は一人だけ…
2年生はいなかった。
来年新入部員が入らなければ澪一人だけの文芸部だ。
先輩は優しかった。
というより、持て余してたが正解だろう。
ここの文芸部は大昔は作家や脚本家も輩出していた。
地域では割と名のしれた部活だった。
たった一人の先輩も投稿サイトではかなりの実力を発揮していた。
もちろん澪も投稿を。
澪にとっては先輩といるこの部活が唯一無二の場所だった。
それがこれからは最悪一人に。
新入部員を勧誘できるとは思えなかったからだ。
自分のことはよくわかっている。
クラスでも浮いている。
友達はいない。
そもそも人と話すのが苦手。
というよりは疲れるから避けてしまう。
相手に合わせるだけで疲れ果ててしまう。
澪は創作の世界に逃げていた。
創作の世界…それはフィクションの世界というだけではなかった。彼女には。
創作活動する世界…
創作の中の世界がほんとうの自分の世界だった。
そこでは、誰にも邪魔されず理想の自分になれた。
自分で理想の世界を作れた。




