【第3章】宇宙艦隊オッパリオン089話「急襲作戦」
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今回は海賊回の続き。
亜空間を潜行する敵艦を捕らえたヴァツルド達。
敵へと爆雷を使い対抗に打って出る彼らを待つものは一体!?
翔平は無事に奈菜と再会できるのか?
マーラ帝国部隊VSマーラ帝国部隊の戦いが始まる!!
【〇八九 急襲作戦】
対次元爆雷は爆雷自身にミルキィフィールド発生の機能があり、短時間ではあるが次元潜行をする能力も有している。次元潜行の技術は大型のものを潜行させるほどにエネルギーを消費するため、小型の爆雷が先行試験として開発されていた。
ヴァツルドはそれをどこかのルートから仕入れ、自身の艦へと装備させていた。
「爆雷起爆まで五……四……三……二……一……起爆」
センサー長がそう告げると、空間圧ソナーに爆発の波動が検知された。
標的のすぐ近くで爆発しており、攻撃は成功したように見える。
「はじめてにしては上出来だね。この艦のみんなは優秀だ」
「ありがとうございます。ですがまだ安心はできません」
「標的艦に反応。飛翔体の射出を確認。数、五」
「反撃してきたね。しかも今までより多い」
「回避間に合うか?」
「至近で通常宇宙に出るタイプのミサイルです。回避間に合いません」
「迎撃で対処しろ」
デトランスはそうは言ったものの、至近距離から放たれたようなミサイルの迎撃は困難だった。
しかし調整を終えていた対空機銃はそれでも機能する。
「三発を迎撃。二発はAI誘導と思われます。着弾します」
直後、艦が揺れる。
「損傷は?」
「損傷軽微。第三六区画、一八区画外殻に被弾しています」
「ふむ……」
デトランスはなにか腑に落ちないと言ったように顎に手をかけた。
「どうかしたかな艦長?」
「いえ、敵の火力が弱すぎますな。主力の座をビーム兵器に譲ったとは言え、ミサイルならばもう少し被害が出ても良いように思えます」
「トリアルダの装甲でも、かな?」
「そうです。あちらもそれなりの兵器は搭載して攻撃しているはずなのに、これではまるで遊んでいるようです」
『自分もそう思いますな。あの次元艦はなにが目的で仕掛けてきているのか、わかりかねますな』
アルガノスもデトランスと同様の見解を示した。
「――ともあれこちらが攻撃の手を緩める理由にはなりませんな。爆雷、続いて投射だ」
「了解。第二撃、投射します」
砲撃長が第二射を行う。
爆雷には精度は低いものの、緩やかな追尾性があり、示された標的に向けて飛んで行く。
爆雷一発で撃沈はできないものの、衝撃波で艦体を揺さぶり、損傷を与えるには十分な火力がある。
「起爆します」
再度、センサーには爆発が観測され、広がる衝撃波の中に次元艦は確実に捕らえられていた。
「浮上してきたら袋だたきにできますな」
デトランスはそんなことを言った。
「ふふ、相手もそれはわかっているだろうさ」
ちょっとやそっとでは浮上はしてこないだろう、ヴァツルドはそう思っていた。
「次元艦、減速していきます」
「反撃は?」
「観測できません」
「ふむ……」
『やけに諦めが早いな。爆雷がそんなに怖かったのか?』
「マーラの軍人ならもっと気概はあるだろうさ。乗っていたのはノルヅ機関の者たちかな? 軍人ではなかったのかもしれない」
「次元艦、さらに後退。包囲網より離脱します」
空間圧ソナーの反応でも、次元艦の後退が確認された。
「実戦配備にはほど遠い兵器だった、ということですかね」
『援軍の可能性もありますな。周囲の索敵に注意しておきますか』
「全艦に通達。対空監視強化」
アルガノスの意見を汲み、デトランスは索敵の強化を発した。
重力振センサー上、有効範囲には艦艇の反応は見られない。
「次元艦は通商破壊くらいにしか役立たない証明になったかな」
「そうかもしれません。迎撃手段があることを知り撤退したのかもしれませんね」
次元艦はすでに空間圧ソナーの有効範囲外へと離脱していた。まだ追跡はしているかもしれないものの、最大速力を出せばこちらについてはこれないとヴァツルドもデトランスも考えていた。
「うん……? 艦長、三七区画の搬入ハッチが開いているようです」
「攻撃の衝撃で開いたのか? 緊急閉鎖を急げ」
「それがこちらの信号は受け付けず……あれ、閉鎖しました」
航海長がそんな報告を上げるが、デトランスは単なる故障かと思っていた。
しかし――。
「っ!? 艦長! 三八区画に侵入者です! 監視カメラが捕らえました!」
「なんだと!?」
中央モニターには艦内の監視カメラ映像が映し出された。そこには黒ずくめの者たち数名が素早く移動している様子が映し出された。それはトリアルダの乗組員の姿ではない。
「なるほど……攻撃に偽装して特殊部隊を送り込んで来たというわけか。これは良い戦術だね」
「感心されている場合ではありませんぞ殿下。艦内に非常事態宣言を発令。総員白兵戦に備えろ。戦闘要員を出して排除に向かわせろ」
「了解しました」
「侵入者は二班に分かれて行動している模様。一九区画からも侵入者が入っています」
「一九区画からの侵入者は艦橋を目指してくるか……。戦闘要員で対応できますが三八区画の侵入者の狙いはおそらく……」
「そうだね。迎賓区画を目指すだろう。狙いはZリーヌンスだね」
そう言ったヴァツルドは自席に戻り、通信装置を手に取った。
「リマ、侵入者だ。応援がそちらに着くまで対応してもらいたい。できるかな? ――よし、では頼んだよ」
ヴァツルドのその話を聞き、デトランスも通信機を手に取って通信を繋ぐ。
「戦闘要員は迎賓区画へ向かうように。要人の安全確保を最優先にしろ。迎賓区画に通じる特殊隔壁を閉鎖だ」
「すまない艦長」
侵入者の登場により、艦内の緊張は一気に高まった。
『殿下、グアデリアから機動兵器を出して取り付いた潜航艇を排除しておきます。応援の戦闘要員も送れますがどうしますか?』
「増援もお願いしよう。まだ相手の規模がわからないので万全を尽くしておくのがいいだろう。相手はおそらく……六一部隊だ」
「六一部隊……」
デトランスは思わずつぶやいた。
『厄介ですな。ヴァロアルド殿下直属の処刑部隊とは。あちらの本気がうかがえますな』
「なに、この艦のみんなも優秀だよ。六一部隊ごときに臆することはない」
そう言いながらヴァツルドは隠し持っていた拳銃を取り出し、弾倉を確認した。
「殿下、殿下はここに残ってもらいますぞ」
ヴァツルドの動向を察し、デトランスは釘を刺した。
「そうはいかないだろう。大事な客人の危機に後ろで控えているのは性に合わないというものだ。戦闘要員と合流して向かうとするよ。生体通信を使わせてもらうよ」
「止めても行かれるのでしょうな。ならばどうかお気を付けて。艦橋はこちらで守っておきます」
「そうしてくれると助かるよ。私が艦橋を出たら隔壁は閉じてもらって構わないからね」
「殿下は勇敢ですな」
「訓練の成果を見せたいところだよ。では行ってくる」
「ご武運を」
デトランスに見送られ、ヴァツルドはひとり艦橋から出て行った。
体内のナノマシンを通じた生体通信で戦闘要員とは連絡が取れるようになっている。しかし危険がないとは言えない。
「さて――六一部隊とは確定してわけではないけど、この状況にやってくるならそれ以外は考えられないかな」
ヴァツルドは通路を進みながらひとり呟いた。
ヴァロアルドを出し抜いた気ではいたが、相手も容赦はないということだった。
「狙いは私の確保とZリーヌンスの抹殺と言ったところか。でも、そうはさせないよ――」
ヴァツルドは銃を構え、足早に翔平のいる迎賓区画を目指した。
61部隊の実力は如何に?
次回、ヴァツルド部隊と61部隊の衝突になるか!?
緊張感が増す戦場で、翔平はどう出るのか。
ご期待ください!!
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