【第2章】宇宙艦隊オッパリオン077話「翔平の決断」
宇宙艦隊オッパリオン第77話出航!!
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YOMです。
本日も宇宙艦隊オッパリオンやって参りました!!
今回のオッパリオンはどうなることか!?
マシウス操るバルフォングスに捕らわれたクァード艦脱出の内火艇。
翔平の下す決断とは一体!?
【〇七七 翔平の決断】
ゼータリオンはモニター中央に内火艇を捕まえている大型機動兵器を捉えていた。
データを見ると前回戦ったあの大型機動兵器と同一のものとされており、見た目にも覚えがあった。
近くににはレマス機がいたが他の海賊機に阻まれ内火艇への接近もこちらとの合流もできないでいる。
なので翔平は単機で大型機動兵器へと接近していた。
「あいつ、なにをやってるんだ……」
大型機動兵器は母艦へ帰る様子を見せつつも、のろのろとした動きで周辺宙域に留まっているのがわかった。
しかし翔平が近づくとこちらの接近に気付いたらしく、内火艇を抱えたままこちらへ向かってくる軌道に入った。
「こっちに来る!?」
内火艇を抱えているとは言え、かなりの速度で接近してくる。
「みんなを放せ! それじゃ戦えないだろう!」
大剣を構え突進に備える――が、大型機動兵器が速度を落とす。
「なんだ?」
『聞こえてるか小僧。久しぶりだな。ラメルで会った以来か』
突然コクピットにノイズ混じりの音声が入った。それは聞き覚えのある、海賊の親玉の声だった。
「聞こえてる! みんなを解放しろ! そこの人たちはもう戦えないはずだ」
『ああ、すぐにでも解放してやる。だが、それはおまえ次第だな』
「俺次第?」
海賊が話しかけてきた同時、もうひとつの通信が確立される。
『翔平!』
それは奈菜の声だった。
「奈菜!? ま、まさかそれに乗ってるのか!?」
『捕まってるみたいだけどみんな無事! 翔平、博士が話があるって』
『聞こえるかショウヘイ。やつらの狙いはキミだろう。我々はやつらの目論み通りに人質にされたってわけだ』
「人質? じゃあこいつは俺をおびき寄せるために……」
『そういうことだ。連中が交渉を持ちかけてきているだろうが乗ったらダメだ』
「でも――」
海賊からの通信が入る。
『もうおまえの母艦は沈んでいる。戦闘も航行も不可能だ。仲間が来ているようだがまだ時間はかかる。その間に俺たちは脱出したおまえの仲間たちを捕らえ、始末することができる。十分にな。おまえはどうする? 抵抗しても構わんがそれは同時にこの脱出艇が破壊されることを意味する。俺の言っていることがわかるな?』
海賊はよどみなく状況を説明した。今、奈菜や博士の命は敵の手中にある。それを左右するのは自分の判断に委ねられる、翔平はそう理解した。
「なにが望みだ?」
『ショウヘイ、ダメだ』
『物わかりがいいな。おまえの身柄だ。こちらへと投降してもらおうか。そうすればこの脱出艇は解放する。そして他の脱出艇にも手は出さないと約束しようか。もっともそちらが抵抗を続けなければの話だがな』
「俺の身柄……」
この海賊の狙いは自分を抹殺することではなかったのかと翔平は思った。あの黒騎士はそれに固執していたようだが、この海賊の要求はそれとは違っていた。それとも、身柄を確保したあとに始末するつもりなのだろうか? そんな考えが一瞬で頭をよぎる。
『時間は十分にあるが悠長に返答を待つほどはなくてな。おいマシウス』
そう言った瞬間、内火艇を保持している大型機動兵器のクローが内火艇を締め付け出した。
クローに触れている部分は簡単に歪んでしまった。
『きゃあっ!?』
『くっ!? ショウヘイ、やつらの要求を聞いてはダメだ』
「で、でも博士! このままじゃみんなが! 奈菜が!」
『スタティアも来てるんだ。時間を稼げばいい!』
「その間にみんなが潰されてしまう!」
『そうだ小僧。早く決断した方がいい。俺たちは別に待たなくてもいいんだ』
大型機動兵器は別のクローを動かし、内火艇のエンジンノズルを破壊する。
翔平は焦る。
自分に今できることは少ない。その中で最善の方法を選ばなければならない。それは――。
「やめろ! これ以上みんなに危害を加えるな!」
『それはおまえ次第だと言ったぞ』
「わ、わかった――」
翔平が覚悟を決めた瞬間、頭に直接声が響いた。
『ショウヘイ! その判断はダメ!』
それはフレイアの声だった。通信とは違い、直接感情に伝えられるような感覚だった。
「フレイア?」
『投降しようとしてるでしょ? それはダメ、もうすぐあたしもそっちに行けるから――』
「でも――そんな時間は待ってくれないみたいだ。フレイア、お願いがある。勝手なお願いだけど聞いて欲しい」
『何を言って――』
「俺を助け出して欲しい。この後海賊に捕らえられることになる。だけどフレイアたちで俺を助け出してくれ。俺はなんとしても生き延びる」
『勝手なこと言わないでよ! 本国に連れ帰られたら簡単には連れ戻せなくなる!』
「でも――フレイアたちならできる。そう思うんだ。俺にZリーヌンスがあるなら居場所はすぐにわかるはずだ」
『そうだけど……! くっ、動いてよシェアトス! どうして母乳力が戻らないの!?』
フレイアの焦りが感情となって伝わってくる。Zリーヌンスと母乳力の接続で感情が直接交信されているようだった。
そうこうしていると大型機動兵器の上に人が立っているのが見えた。見覚えのある、海賊の親玉だった。
『小僧、ハッチを開けて身を乗り出して姿を見せてもらおうか』
『ショウヘイ、行くな!』
ミィアルーンの声もする。
『待ってショウヘイ!』
フレイアの意思も伝わってくる。
――しかし、翔平の脳裏には奈菜の姿がずっと浮かんでいた。
自分はオッパリオンの未来にとって大事な存在であることはわかる。みんなが守ろうとしてくれていたことも痛いくらいにわかる。しかし、守られてばかりでは奈菜を救うことはできない。海賊たちは簡単に奈菜たちを殺すだろう。海賊にとって価値があるのは自分だけだ。
「奈菜、悪いけどちょっと行ってくる」
『翔平? 何言ってるの?』
「でも大丈夫だ。提督やフレイアたちが俺を助け出してくれるはずだから。だからそれまで、ちょっと待っててくれ」
『翔平ダメよ! 殺されちゃう!』
「殺されはしないと思う。やつらの狙いは俺の力だろうから。じゃあ奈菜、行ってくる」
『待って翔平! ダメよ!』
『待つんだショウヘイ!』
奈菜とミィアルーンの制止を無視し、翔平はゼータリオンのコクピットを開いた。
「ハッチは開いた。先にみんなを放せ」
『いいだろう。だが忘れるな、こんな脱出艇などいつでも破壊できる。おまえが投降した後でもな』
「どういう意味だ?」
『この場は我々が支配しているということだ。この脱出艇を始末しないのは俺の情けということだ。そこを忘れるな』
翔平はつくづく自分の立場が弱いことを思い知った。いくらZリーヌンスがあっても、この状況では無力だった。
大型機動兵器のクローが内火艇から外れるが、クロー内部にある砲口は内火艇を捉えたままだった。
『早くハッチから身を乗り出せ』
「わかった」
翔平は海賊の指示通り、開いたハッチの上に乗った。
『思ったよりも素直だったな。だが――おまえにはなにをされるかわからんからな。少し眠っていてもらうぞ』
「なにを――!?」
海賊はふところから銃のようなものを取り出すと、翔平へと向けなんのためらいもなく引き金を引いた。
翔平の意識はそこでぶつりと途切れてしまった。
◇ ◇ ◇
「マシウス、Zリーヌンスは無力化した」
『さすがだなカシラ』
アルガノスはゼータリオンへと飛び移り、意識を失っている翔平とコクピットへと押し込んだ。
そして外からコクピットハッチを閉じる。
それが済むとアルガノスは再びバルフォングスへと飛び移り、コクピットへと入る。
「仕事は終わった。グアデリアへ直行しろ。輪っか付きの増援が死に物狂いで突っ込んでくるからな」
「はいよ。しかしあっさり手に入ったな。また前回みたいにすぐに取り戻されたりしないだろうな?」
「ふん、同じヘマはするか。俺たちは先に離脱する。戻るなりジャンプだ」
「了解した。じゃあ急ぐぜ」
バルフォングスはゼータリオンを掴むと急加速をかけ、グアデリアへと向かった。
「こちらアルガノスだ。お宝は手に入れた。グアデリアはジャンプの用意をしろ。すぐにここを離脱する」
『グアデリア了解しました。輪っか付きの機動兵器部隊が九〇〇〇まで接近中』
「早いな。――この回線を全域で繋げろ」
『繋げました』
「この宙域のオッパリオン人へ告げる。Zリーヌンスは今や我々の手中にある。ゆえに、不要な戦闘行為は停止されたし。繰り返す――」
アルガノスの言葉はこの宙域の全員へと伝えられた。
遂に海賊は任務を果たし翔平を捕らえる事に成功する。
翔平を奪取されたスタティアとアスタリアはどう出るのか。
宇宙艦隊オッパリオン第2章終幕ももう目の前に!?
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