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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
81/489

【第2章】宇宙艦隊オッパリオン074話「総員退艦」

いつも応援ありがとうございます。

YOMです。

今回もやって参りました、宇宙艦隊オッパリオン074話。

スケキヨ氏渾身のクァード対グアデリア編!!

果たして、この戦いどちらが勝つのか!?

圧倒的に不利な一対三のこの状況を、クァードは打破できるのか?

宇宙艦隊オッパリオン、本日も出航です!!

【〇七四 総員退艦】


「主砲、敵艦側面に命中を確認! 回避行動に入られていたため側面に当たりました!」


 クァード艦橋では海賊艦への着弾観測の報告が上げられた。

 急旋回からの照準だったために難易度の高い攻撃ではあったが、当てることができたのはさすがと言えた。

 しかし、その一撃は海賊艦への致命傷になったかというとそうではなかった。


「再度急旋回を! 二号艦正面より離脱急いでください!」


 アリメルが叫ぶとほぼ同時、クァードは急加速をかけていた。

 砲撃を加えたとはいえ一号艦の正面と二号艦の側面に挟まれている状況はクァードにとっては危険な状況だった。この一撃で一号艦を沈められなかったのは痛手だった。


「二号艦より熱源の射出を確認! 数四……機動兵器です! 内の一機は……このパターンは……スタティアを襲った大型機動兵器です!」


 地球へ向かう途中、スタティア含める三艦を襲った機動兵器の中には大型機動兵器が含まれていた。この機体自体のデータはスタティアに残されていたが、圧倒的機動力と膂力で防衛隊を翻弄した機体だった。


「レマスが対応に当たるとのことです」

「わかりました。左舷に回り込まれないように注意してください」

「一号艦に動きあり! 正面より砲撃きます!」

「加速して振り切ってください。今減速したら二号艦に背後を取られます」

「二号艦が加速をかけます! 本艦後方につけられます!」

「加速しつつ回避! 後方の二号艦を振り切ってください!」


 しかし海賊たちも巧みな連携を見せる。一号艦からの砲撃は直接クァードを狙ったものではなく、進路を阻むような射線を取っていた。そこを突破しようとしたクァードではあったものの、射線に飛び込むのは危険な判断だった。

 クァードはアリメルの判断で敢えてその危険に飛び込むものの、二号艦の反応は早く、完全にクァードの後ろ正面を取った。


「後方二号艦より砲撃来ます! 至近です!」

「回避急いで!」


 直後、艦全体が前のめりになるような衝撃が襲う。


「きゃああっ!」


 あまりの衝撃に艦橋には悲鳴が起こった。突き上げるような衝撃にアリメルの帽子が飛ぶ。


「被害状況を上げてください!」

「艦後部に被弾した模様! 損傷箇所はまだ不明ですが機関部に損傷が見られます! 出力機動性共に減少しはじめました!」

「エネルギー伝達に異常発生! 居住区および貨物区画の重力制御が切断されました!」

「速力五〇%に低下! 右への操舵が効きません!」

「被弾区画判明しました。艦後方右ノズルに被弾しています。直結の機関部にも損傷が発生しています。主母乳機関がエネルギーのバックラッシュを受けて損傷しているとのことです」


 機関部への損傷は艦の命運を左右する――そう習っていたことをアリメルは思い出した。敵艦三隻に囲まれた状況で機動力を失うのは致命的だった。


「三号艦よりミサイルの発射を確認! 本艦左舷への機動です! 対空機銃稼動していません!」

「左舷の区画を封鎖、人員を退避させてください」

「りょ、了解! 第三から一五までの区画を閉鎖します! 乗組員は別区画へ退避してください! 繰り返します!」

「ミサイル接近! 数五、直撃します!」

「衝撃に備えて!」


 続けざまに、クァードは横から殴られたような衝撃に襲われる。その衝撃の中、艦内の照明が切れ、非常照明に切り替わった。


「左舷エネルギー伝達途絶します!」

「艦内生命維持を優先してください。エアカーテンの維持も合わせて。医療区の状況は?」

「医療区画は健在です。電源も生きています」

「被害状況上がります。ミサイル発射管大破、主砲一門使用不能となりました。機動力も三〇%に減退します」

「左への舵もほとんど効きません!」

「主母乳機関、出力は三〇%に低下! 対空機銃へのエネルギー伝達途絶します!」

「このままでは――」


 アリメルは思わず奥歯を噛んだ。

 相手は明らかにこのクァードへと戦力を集中させている。狙いはこの艦を沈めることだということは明白だった。母艦を墜とし、孤立したゼータリオンを捕縛するのが狙いだとアリメルは察する。だとしたら、現状は敵の思うようにことが進んでしまっている。

 最悪の事態を想定した判断がアリメルの脳裏をよぎった時、通信士のひとりが突然立ち上がった。


「か、艦長!」

「どうしたんですか?」

「敵艦後方距離三〇〇〇〇〇にジャンプアウト反応です! 振動パターン、スタティアとアスタリアです!」

「スタティアが? 間違いないのですね?」

「スタティアです! 通信確立します!」

「あぁ……」


 アリメルは思わず情けない声が出てしまった。この状況に置いて、ようやくとも言える援軍の到着が報告された。


「通信開きます」

『スタティア艦長のミストレアです。クァード応答できますか?』

「クァード艦長アリメルです。ミストレア先輩、申し訳ありません。クァードに被害を出してしまいました」

『この状況でよく持ちこたえてくれたわアリメル。こちらの機動兵器部隊が急行します。少しかかりますが無理をせず乗組員の命を守ってください』

「了解しました」


 モニターに小さく映ったミストレアの存在がアリメルには心強かった。本来ならばミストレア艦長と呼ぶべきなのに、士官学校時代のくせで思わず先輩と呼んでしまっていた。

 しかし、安心している暇はクァードには与えられなかった。


「右舷三号艦より砲撃きます!」

「右舷区画閉鎖! 乗組員は中央区画へ移動してください!」

「了解です! 第一五から三〇までの区画を閉鎖します! 乗組員は中央区画へ移動してください!」

「着弾します!」


 今度は先ほど反対からの衝撃がクァードを襲う。艦が激しく揺さぶられると、艦内に発生していた重力が消失した。


「重力装置損傷! 重力制御不能!」

「右舷エネルギー伝達に異常発生! 主砲、すべて使用不可能になります!」


 これでクァードは攻撃の手段を失ってしまったことになった。

 現れたスタティアに気を取られることなく、敵は的確にクァードの戦力を削いでいる。

 アリメルはどこか相手が手加減しているようにも思えたが、それは思い過ごしだと思うことにした。


「艦内非常電源に切り替わりました!」

「艦長――」


 スオリーにはしてはめずらしく、苦虫を潰したような顔をアリメルに向ける。

 それがなにを意味するのか、アリメルはすぐに察した。


「ここまでのようですね。――総員退艦です。クァードを破棄します」

「か、艦長……」


 スオリーはその判断に、すぐに復唱することはできなかった。

 クァードは沈む。アリメルはそう判断したのだった。


「よくがんばってくれました。電源が生きているうちに脱出してください。急いで脱出用内火艇の準備を進めてください。総員退艦です!」

「そ、総員退艦!」


 スオリーの復唱に合わせ、艦内に総員退艦の命令が伝えられた。


「内火艇はスタティアを目指すようにしてください。機動兵器部隊には内火艇の護衛をお願いします」

「りょ、了解しました」


 アリメルは毅然としつつ、落ちていた帽子を拾い、かぶりなおした。


「クァードの制御をわたしに移譲してください。最後の制御は艦長席で行います。あなたたちも退避に入ってください」

「了解しました」


 艦橋の乗組員たちもコンソールを慌ただしく操作していく。艦を破棄するに当たり、航海記録なども一部を除き抹消される。そしてアリメルの艦長席に操舵権限が移譲されることになる。


「ナナさんや博士の脱出を最優先させてください。それから負傷員もお願いします」

「脱出用内火艇の準備整いました。非戦闘員から乗船に入っています。三分後には一号艇から発進できます」


 その知らせを聞き、アリメルは少し安心したように息を吐いた。

 そんなアリメルを見て、スオリーが背後からアリメルの肩に手を置いた。


「スオリー?」

「艦長。艦長も退避してください」

「わたしはここで最後まで艦の制御を行います。スオリーは格納庫で脱出の誘導をしてください」

「艦長、それは艦長の仕事です」

「いえ、わたしの仕事は最後まで艦とあることです。自動にしてしまったら脱出もままならなくなります」


 スオリーはアリメルの実直さを知っていた。だから、この艦長は最後まで艦に残り、脱出はしないものだと察することができた。


「ダメです。艦長を失うことはオッパリオンそのものの損失になります。艦長も脱出してください」

「それは――」


 アリメルの言葉を遮るように、衝撃が艦橋を襲った。大きい衝撃ではなく、取り付いた機動兵器の攻撃による小規模なものだった。


「艦長、もう時間がありません」


 スオリーがアリメルの手を取った。


「スオリー、わたしは――」

「そんな命令は聞きません。艦長には生き残ってもらわねばなりません。オッパリオンにおいて艦長は貴重な人材なんです。生きて、次の機会を得なければならない人なんです。ですから、一緒に脱出しましょう」

「スオリー……」


 気付くと、艦橋にいた全員がアリメルを見ていた。

 そんな乗組員たちを見ると、全員がスオリーの言葉に同意するように頷いていた。


「艦長、最後の制御はオートにします。急いで脱出しましょう、スタティアも来てくれました」


 艦長とは艦と命運を共にするものだという意識がアリメルにはあった。しかし、スオリーたちはここで終わってはいけないと言う。生きて、オッパリオンのために戦わなければならないと。


「……わかりました」


 アリメルは震える声でそう答えた。


「艦長……ありがとうございます」


 スオリーは艦長席のコンソールに触れ、艦の制御を自動に切り替えた。


「さぁ艦長、脱出しましょう。皆も急いで!」


 スオリーのその声で、艦橋の乗組員たちは一斉に艦橋を出て行った。

 最後に残ったアリメルは手を離さないスオリーにつぶやく。


「わたしは頼りない艦長でしたね」

「初任とは思えない奮戦かと。次の機会ではさらなる活躍をご期待します」

「そうなることを願います。――行きましょう、スオリー」

「了解です」


 アリメルは艦長席に帽子を残し、艦橋を後にした。

 その間、クァードは何度も攻撃を受けていた。中央区画とカタパルトだけが、狙ったかのように無傷で残されていたのは奇跡かと思われたが、アリメルはそれが不自然にも思えた。

 まるで誘導されているような――そんな予感が頭を掠めたが、今は脱出を考えねばならない時だった。

クァード無念・・・。

劣勢の中、ようやく到着したスタティアとアスタリアはクァードの乗組員達を救い出すことはできるのか!?

ベールヌ宙域での戦いもクライマックスへと近づく!!

オッパリオンVS海賊の戦いに終止符は打たれるのか?

激戦は続く。


評価・レビュー等いつでもお待ちしておりますので、お気軽によろしくお願い致します。

皆さんからの反応、スケキヨ氏と共に楽しんでおりますので、何かあればドシドシコメントください!!

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