【第2章】宇宙艦隊オッパリオン071話「奈菜とフレイアの想い」
宇宙艦隊オッパリオン本日も開幕!!
どうも、いつも応援ありがとうございます。
YOMです。
本日も始まりましたオッパリオン!!
今日のオッパリオンは、フレイアと奈菜の回。
シェアトスの修理に戻ったフレイアを待っていたのは、奈菜だった。
奈菜はフレイアに何を打ち明けるのか。
熾烈な戦いの中、フレイアと奈菜の気持ちが交差する!?
【〇七一 奈菜とフレイアの想い】
フレイアのシェアトスが回避運動を続けるクァードへと着艦する。着艦の前、クァードの様子を目の当たりにしたフレイアはかなり分が悪いことを悟っていた。
自分が黒騎士に付いているようではダメだということを認識したものの、黒騎士を放置するわけにもいかない。ならば、なるべく早く仕留めてしまうことが先決だと思った。
シェアトスをハンガーに固定するのを待たず、コクピットのハッチを開け、身を乗り出す。
「換装急いで! 博士いたらこっちへ来て!」
フレイアに呼ばれずとも、ミィアルーンは体をフレイア機の方へと向かわせていた。
「再調整、というより限界突破が必要そうだね」
まだ動いているシェアトスのコクピットハッチに乗り、ミィアルーンが言った。
「話が早くて助かるよ。もう少しなんとかなるでしょ?」
「今のフレイアの反応に完全に対応できるかどうかは保証できないけど、シェアトスの潜在能力を完全解放させればある程度は追従できるとは思うよ。ただ、体への負荷が考慮されなくなる。わたしとしては判断に迷うところではあるね」
「わたしがなんて言うか、わかってるでしょ」
「そのつもりだよ」
ミィアルーンはフレイアがとにかく性能を欲していることは察していた。なのでコクピットへと入り、シェアトスに設定された機械的なリミッターの解除作業に入った。
「機体への負荷も大きくなる。完全解放で動かすのは五分くらいを考えてくれると助かるね。それ以上限界を超えて動かすと壊れかねないよ」
「わかった。五分で決着を付ける。それくらいあれば十分よ」
フレイアがそう答える頃、自動で動かしていたシェアトスがハンガーに固定される。そして損傷した腕部の換装作業が開始された。
「フレイア、母乳も相当使ってるようじゃないか。換装の間だけでいいから少し休むといい」
「大丈夫。このままの気持ちでいたいから」
フレイアはまだ自身の中に翔平の力――Zリーヌンスを感じていた。
目を閉じていても周囲の様子を感じ取ることができる。シェアトスの換装作業は速やかに行われ、損傷した腕部が取り外されている。そこに予備の腕部が接続される。そこから接続のチェックやロック、簡単な動作確認とやることは意外と多い。フレイアはすぐにでも出たかったが、そうもいかない。
「待つのは好きじゃないんだけどね……」
そう呟いて目を開くと、シェアトスの足下から上がってくる人影が見えた。
「あれ? ナナ?」
奈菜は手に飲み物のチューブを持っており、こちらへと向かって来ている。
「フレイア! あわわっ」
コクピットハッチに足をかけようとしたものの、奈菜の体はそのまま天井へ向かって通過していきそうになった。
フレイアが手を伸ばし、奈菜の手を掴み引き寄せる。
「ちょっと、大丈夫?」
「ご、ごめんなさい。これに飛び乗るの、慣れてなくて」
「待っててくれていいのに。なにか用?」
「これ。ミオシさんが母乳を使った時に飲むといいって」
「ありがとう。いただくよ」
フレイアは奈菜からチューブを受け取り、ストローを口に付けた。母乳を使った後の疲労感を取り除き、母乳の分泌で失った水分や栄養を補うドリンクとのことだった。
フレイアは目を閉じていたが自分にジッと向けられた視線に気付き、片目を開いた。すると予想通り、奈菜がなにか言いたそうにジッとこちらを見ていた。
「どうしたの?」
フレイアが問うと、奈菜はぎゅっと拳を握った。
「あ、あのねフレイア……今言うことじゃないかもしれないけど……聞いて欲しいの」
「なになに、どうしたの?」
フレイアは笑みを作って奈菜に応じるが、フレイアに反して奈菜は真剣そのものの表情を浮かべていた。
「わたし、翔平に気持ちを伝えたよ。好きって伝えた」
奈菜の突然の告白の内容に驚き、フレイアは一瞬目を丸くした。まさかそんなことをここで本人から直接聞かされるとは思ってもいなかった。
「そ、そう」
なので思わずそんな返答になってしまった。少し間が抜けてしまったことは自覚があった。そしてそれ以上なんて返したらいいかと考えているうちに、奈菜が言葉を続ける。
「フレイアが翔平のことを好きなら、それでもいいと思う」
「ナナ……」
フレイアの聞きかじった知識に、奈菜たちの文化だと一夫一妻だという記憶があった。だから奈菜がそう言うのは自分たちオッパリオンの文化に合わせての気遣いだとフレイアは感じた。
「オッパリオンの人たちは一夫多妻なんでしょう? なら、フレイアに合わせてもいいって思ったから……。フレイアは翔平によくしてくれてるし、悪い人じゃないし……」
「ナナ」
フレイアは奈菜の肩に手を置いた。
「そんなに思い詰めた顔しないでよ。難しく考える必要はないって。でもナナの気持ちと気遣いは伝わった。ありがとう、オッパリオンのことを考えてくれて」
「好きな気持ちは誰でも同じだと思うから……」
「好きな気持ちか……」
フレイアは目を閉じる。
「そうじゃないの?」
「んー……好きか嫌いかで聞かれれば好きだと思うよ。けど、あたしの場合はナナにある好きって気持ちとは少し違うんじゃないかなとも思ってるかな。ナナほど好きなのかって聞かれると、そうですとは迷いなく答えられないもの」
翔平に向いている気持ちは明らかにあるものの、すべてをそこにつぎ込めるかと問われるとそんなことはなかった。自分には自分の使命がある上に、マシ長から聞いた言葉もある。だから、奈菜が持っている翔平への覚悟に比べれば、自分の気持ちは中途半端に思えてしまった。
「それは……フレイアはいろいろできるからだよ。みんなの期待だってあるし、オッパリオンのことだってフレイアは考えているから」
「それは……そうだね。隠せないか」
「だからわたしだけ先走ったらずるいとも思ってる。フレイアだって翔平といる権利はあるし、わたしがそれを邪魔したり、妬んだりする権利はないもの」
「そう?」
「そうだよ。だからわたし、翔平を独り占めしようとか思わないから。フレイアも翔平に気持ちを伝えて」
「あ、あたしがっ?」
フレイアは想わず裏返った声を上げてしまった。
「うん。その方がすっきりすると思う。翔平もきっと受け入れてくれると思うし」
「あはは、あたしにそんなこと言われたらショウヘイはびっくりしちゃうよ」
フレイアは奈菜の意見に笑ったが、想像してみるとやはり驚く翔平以外は想像できなかった。
「そんなことないって。大事なのは自分の気持ちだよ。リアリィも言っていたけど、後悔しないようにしないといけないよ。フレイアはいつも危険なことしているんだし」
後悔しないように――それは危険と隣合わせの自分たちがいつも心がけていることだった。
翔平に気持ちを伝えなかったことで自分は後悔するのか――フレイアは考えてみた。
それはどうなのだろう? 自分は翔平をどうしたいのか、どうなりたいのか。様々な思いが頭をよぎるものの、ピンと来るものはない。だが、翔平といた時間が心地よかったことはしっかりと記憶されている。そしてそれは、やはり好きなのだという気持ちなのだろうと感じる。
「――わかったよナナ。でも、もう少し考えた方がいいかもね、あたしの場合。ショウヘイのことは好きだけど、そこから先は考えられないよ」
「それはわたしも同じだから。たぶんフレイアの気持ちも、わたしと変わらないと思う」
奈菜は真剣にそう言った。
フレイアは困ったなという風に目線を逸らしたものの、奈菜の言葉を受けたことで自分の気持ちが少しわかったような気がしてしまった。
「そっか。そういうことなんだね。なんかわかったよナナ」
「じゃ、じゃあ――」
「でも今は戦闘中。さすがにショウヘイにこんな話はできないよ。だから終わってここに戻ってきたらいろいろ相談に乗って欲しいかな。それでいい?」
「う、うん」
フレイアの提案に、奈菜は笑顔を見せてくれた。
「ありがとうナナ。でもちょっとだけごめんね、ショウヘイと力を繋げてると、すごくショウヘイを感じられてさ。ここだけはちょっとずるいと思ってる。だからナナもショウヘイが帰ってきたらショウヘイをいっぱい感じさせてもらいな」
「感じるって……ど、どうやって?」
「それは――地球人は地球人のやり方があるでしょう?」
「…………」
奈菜は翔平とキスをしたことを思い出し、顔を赤くしてしまった。
フレイアもいじわるそうに笑う。
「あはは、まぁそういうことだよ。だからショウヘイのことはお互い様ってところかな。ナナが前に進めたって聞いて嬉しかったよ。皮肉じゃなくて、本当にそう思う」
「フレイア……」
フレイアはそう奈菜に言葉をかけると、コクピットの中を覗き込んだ。
「博士、まだかかる? 換装は終わったよ」
「こちらも終わったところだ。そっちの話は終わったかい?」
「うん、大丈夫」
「それはよかった」
ミィアルーンがコクピットから出て来たので、フレイアはミィアルーンに握りつぶした飲み物のチューブを手渡した。
「限界は解放してある。これが現状のシェアトスに出せる最高性能だよ。これ以上は無理だけど、可能な限り追従してくれるはずだからね」
「わかった。ありがとう博士。それにナナも」
「行くのね、フレイア」
「うん。みんなもショウヘイも待ってるし。そう遅くならずに帰るよ、全員一緒にね」
そう言ってフレイアは笑顔を見せたが、状況が不利なことは奈菜にもわかっていた。
「無理はしないでね」
「あはは、たった今博士にその無理ができるようにしてもらったんだけどね」
「大丈夫だよナナ、フレイアは自分の限界はわかってる。無理はするけどそれを超えるような無理はしないはずだから」
ミィアルーンの言葉に奈菜は少しだけ安心を見せた。
「さぁ、ふたりとも離れて。行かなくちゃいけない」
「わかった。健闘を祈るよ」
「うん、気を付けてねフレイア――」
ミィアルーンと奈菜はそう残しコクピットハッチから降りていった。
ふたりが降りて離れるのを確認し、フレイアはハッチを閉じた。
「さて――じゃあ張り切ってやらないとね」
素早く機体状態を確認すると各部の損傷はすべて直ってきた。そして前よりも動作が過敏すぎるほどに反応する手応えを感じた。センサーの有効範囲も拡大され、モニターに表示される情報量も増えている。
「これならやれる……。今度こそ……!」
シートに体を預けると気持ちが昂ぶってくるのを感じた。
「フレイアより管制。出るよ」
『クァード了解しました。回避運動中のためカタパルトは――』
「使えないのね。わかってるよ。じゃあこっちで出るからそっちは墜とされないようにね」
『了解です。フレイアも幸運を祈ります』
「任せて。――フレイア機、出ます!」
クァードの回避運動を機体を同機させ、安定した一瞬を突くようにフレイア機はクァードから飛び出して行った。
機体を一機に最高速度まで持って行き、一直線にゼータリオンを目指す。黒騎士もそこに来るからだ。
「先手を取られなかったのは幸運ね――」
一機、黒騎士の機体ではない機体がゼータリオンに接近しているのが見えた。リアリィ機もゼータリオンのそばにいるらしく、こちらの体勢は不利というわけではなく、上手く防衛ができているようだった。
だが、そんな微かな均衡を崩そうとするものが急速に接近しつつあった。
黒騎士だ――。
「これで決着を付けさせてもらう……!」
フレイアはそんな思いを胸に、自らの戦線へと機体を向かわせた。
フレイアに気持ちを打ち明けた奈菜は一人、翔平とフレイア達の帰りを待つ・・・。
対峙する黒騎士達を打ち破り、フレイアはクァードへと無事に生きて帰ることができるのか!?
惑星ベールヌ宙域での決戦は続いていく・・・。
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