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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
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【第2章】宇宙艦隊オッパリオン069話「母乳力の絶頂」

宇宙艦隊オッパリオン本日も開幕!!

どうも、いつも応援ありがとうございます。

YOMです。

宇宙艦隊オッパリオン第69話の開幕です。


今回のオッパリオンは惑星ベールヌでの対決。

翔平とフレイアと黒騎士との戦いは依然として続いている。

不利な状況に陥ったクァードは、無事にこの戦いを制することができるのか?

緊迫の戦いは終わらない!!

【〇六九 母乳力の絶頂】


 黒騎士との対峙を続けるフレイアは、黒騎士の持つ強さを感じていた。翔平のゼータリオンを守りつつでは、負けはしないまでも勝つことはできないという気持ちが張り出してくる。

 強敵とは何度も戦って来たが、ここまでの実力を持つ者はこの黒騎士がはじめてのことだった。黒騎士の駆る機体性能も高く、性能差でごり押しすることもできない。ならば実力での勝負となるのだが、その実力も拮抗していると言えた。

 ――が、フレイアは内心で思う。この黒騎士は自分よりも強いのだと。自分は負けない戦い方をしているから渡り合えているものの、身を賭した勝負に出たらおそらくは黒騎士が勝つ――そんな気がしていた。


「ショウヘイ、とにかく足を止めないで」

『わかってる!』


 返る翔平の声には明らかな焦りが感じられた。翔平も素人とは思えない反応で黒騎士の猛攻を防いではいるが、それもいつまで続くかは正直わからない。

 できれば早めに勝負を付けたい――そう願いつつも、防戦になりつつある状況を受け入れるしかなかった。自分か翔平、どちらかが致命的なミスをすればその一回が命取りになる。それを痛感しつつの攻防だった。

 そんな時――。


『フレイア、ショウヘイ、聞こえるかな?』

「博士?」

『こんな時になんです?』


 クァードからの通信は格納庫から直接、ミィアルーンが語りかけてきた。


『ショウヘイが連れ帰ったロボットからの提案でね。Zリーヌンスと母乳力を接続して、母乳力の持ち主の潜在能力を引き出す方法があると聞いたんだ』

「どういうこと?」

『要するにフレイアを母乳力ごと直接強化するというものだね。今でもそれなりに強化はされているが、それよりも遙かに効果的なものになるらしい』

「そういうのがあるならもっと早く言って。どうすればいいの?」


 現状を打開できる良い手段だと、フレイアの判断は早かった。


『母乳力とZリーヌンスを接続し、フレイア側へZリーヌンスを直接送り込むらしいんだ。しかしこれには多少のリスクを伴うことになる』

『リスク? なんですか?』

「細かいことなら後にして! 今は状況を打開することが優先!」


 話の間も黒騎士は攻撃の手を止めることはない。次々と繰り出される攻撃をやりすごしつつ、フレイアはミィアルーンを急かした。


『負荷がかかるということだよ、フレイア自身に。ロボットが言うには短時間だからそれほどの影響はないとのことらしいが、今でも相当の母乳は搾られているだろう? その上でさらに負荷がかかると考えると、わたしとしては強く勧めることはできないかな』

『それは危険かもしれないな』

「ショウヘイまでなに言ってるの? あたしなら大丈夫よ、そんなにやわにできてるわけじゃないって。ショウヘイ、やってみましょう」


 パイロットとしての訓練も積んでいるし、母乳を搾られることにも慣れている。フレイアには現状より多少負荷が増える程度は大丈夫という強い自負があった。

 それにもし強い負荷がかかったとしても、この黒騎士を排除できるならば安いものだという算段もある。


『けどフレイア、本当に大丈夫か? 俺だって加減できるかどうかわからないぞ』

「大丈夫。ショウヘイはありったけをあたしに注ぎ込んでくれればいいよ。シェアトスが耐えられるかわからないけど、性能の上限にはまだ余裕があるから」


 実際にシェアトスの出力や反応速度は現状で八割程度で、上限にはまだ余裕があった。フレイアは当初、この過剰とも言えるシェアトスの潜在性能に不満があったものの、今ではその意味を理解できた。


「やってみましょうショウヘイ。クァードの方もこれ以上手間がかかったら取り返しのつかないことになる。今は力に頼るべきところだと思う。あたしの判断は正しいはず」


 フレイアが言葉に力を込めると、ショウヘイがゼータリオンの中で頷く息づかいが感じられた。


『……わかった。やってみよう。ただし無理だと思ったらすぐに言ってくれ』

「ありがとうショウヘイ」

『Zリーヌンスに集中するから、少しだけ隙を作って欲しい』

「任せて」


 フレイアはすぐさま黒騎士の前へと出て、激しい攻勢を仕掛けた。黒騎士は一瞬気圧され、ゼータリオンとの距離を取る。


『フレイアの母乳力を……これか……感じ取る!』


 フレイアの方には自分に誰かが――翔平が触れるような感覚が起こった。それはZリーヌンスと自分の母乳力とか繋がった感覚だとわかった。


「繋がった!」


 この感覚ははじめてのものではなく、ベールヌの森でZリーヌンスの練習中に何度も経験したことがあった。あの時の感覚ならここから母乳力を吸い上げられるような感覚が起こるのだが、今はそれがない。ただ、翔平の持つ底なしの力と接続されている、という感覚に留まっていた。


『こっちでも繋がりを感じてる。あとはここにZリーヌンスを送ればいいのか……』

「やってみて」


 翔平が戸惑いを感じているのはフレイアにもわかった。はじめてのことであることに加え、相手に負担をかけるものとわかっている以上、気の優しい翔平としては思い切れないことだと思った。

 だが、今はその優しさは捨ててもらいたい、フレイアはそうも思う。


「お願いショウヘイ、勝つための力をちょうだい。あたしなら大丈夫だから」

『……本当にいいのか?』

「任せて。体の丈夫さに自信はあるから。それに母乳力だって、これでも強い方だって思ってるし、実際にショウヘイと森を回復もさせたでしょ? だから大丈夫、Zリーヌンスの負荷だってきちんと使いこなして見せるから」


 フレイアにも不安がないわけではなかった。未知のことに挑む時、いつも自信の裏には不安があった。でも、リスクを取らなければ見返りも少ない。フレイアは経験からそう学ぶことが多かった。

 だから今も、このZリーヌンスの未知の使い方に賭けてみたかった。


『やってみる!』

「来て、ショウヘイ!」


 翔平の言葉から数瞬遅れ、接続された感覚が強ばったように感じられた。なにかが来るという気配と共に、フレイアは胸の高鳴りを覚えた。これから起こることに期待している自分がいることに気付く。


「ふふっ、自分のこういうところ、案外嫌いじゃないんだよね……」


 フレイアは誰知らず、ひとりそう呟いた。

 そして黒騎士の攻撃をかわすべく機体を加速させた瞬間、モニターに映り込んだゼータリオンが発光するのが見えた。


『滅びの力か!?』


 黒騎士が通信を入れて来た――が、フレイアは応じない。

 ゼータリオンの光はそのまま伸び、フレイア機までに達する。


「これが……!」


 フレイアは自身の中になにかが注ぎ込まれているような感覚を覚えた。

 Zリーヌンスと繋がった母乳力を通じて――というよりは、体の中心部から外側に向かい広がるような、脈打つ力を実感する。

 そしてそれと共にフレイアの体が発光をはじめる。


『光がっ!? まだこれ以上に滅びの力を使うというのか! この蛮族どもが!』


 黒騎士はフレイアの発光に怯むことなく、フレイア機へと斬りかかる。だが、光に阻まれ接近することができなかった。


『なんの力だというのだ!?』


 黒騎士は驚きの声を上げ、フレイア機と距離を取った。


「うっ……くっ……す、すごい……この力……!」


 フレイアは自身の体の中から爆発的に広がる熱の中にいた。熱い力は体の端々にまで達し、自分の体の認識が上がっていた。それは同時に感覚が研ぎ澄まされる感覚であり、フレイアはより鮮明に周囲を意識できるようになっていく。


「あっ、んんっ……くっ……」

『フレイア!? 大丈夫か!?』

「だ、大丈夫……でもなんか体の奥から……すごく……あっ、うっ、うぁああああーっ!」


 体の内部から膨張する熱が全身を駆け巡り、通り抜けて行った。

 思わず絶叫してしまったが次の瞬間、フレイアは自分に新たな力が宿っていることを実感した。


「この力……これなら……!」


 フレイアの体も、フレイア機も、柔らかな白い光を帯びていた。

 シェアトスの出力ゲージを見ると最大値の一〇〇%を超えて表示されている。


「行くよ!」


 シェアトスへ稼動のイメージを伝えると同時、フレイア機は今までにない反応と出力で黒騎士へと斬りかかっていく。


『むっ!?』


 その速度は黒騎士も予想していなかったもので、反応が一瞬遅れた。

 フレイア機は残像を引きながら黒騎士へと斬りかかった。


「動きが見える!」


 フレイアには今まで半ば予測して反応していた黒騎士の動きが確実に見て取れるようになっていた。

 フレイア機の剣は黒騎士の剣を抜け、手の甲を掠める。


『なんという速度だ!?』


 フレイア機の挙動に黒騎士は驚きの声を上げる。続ける剣撃を脅威と感じたのか、黒騎士はフレイア機と距離を取ろうとした。

 だが、フレイアは加速をかけ、さらに追撃をしかける。


「逃がさない!」

『滅びの力を……!』


 フレイアの剣撃が黒騎士を圧倒していく。今まで防戦傾向だった形勢が逆転し、フレイアが攻勢に立った。

 そしてフレイア機の攻撃が黒騎士に当たりはじめていく。


「ここで仕留める! この力で!」

『そうさせるわけにはいかん……! リミッターを解除すればその速度にも……!』


 黒騎士のその言葉の直後、黒騎士の反応速度が上がる。フレイア機の高速攻撃にも辛うじて追従できる速度を見せはじめた。

『フレイア! 相手は強い!』

「わかってる! でもここでやらなきゃ!」


 黒騎士が剣を弾いた直後、フレイア機の方が体勢を戻すのが早かった。


『しまった!?』

「もらう!」


 その一瞬を突き、フレイアは黒騎士の胸部を目がけて突きを繰り出した。直撃すれば致命傷になる軌道で、フレイアは確実に当てられると確信があった。

 しかし接触の直後、黒騎士は急加速をかけて機体を反転させた。それにより、フレイアの切っ先は黒騎士の肩口に直撃した。


『くっ!?』

「はずした!?」


 その一撃は致命傷に至らなかったものの、黒騎士の左腕を破壊した。


「もう一撃!」


 そう思い刃を返したところで、シェアトスの腕の動きが固まる。


「なに? どうしたの!?」


 モニターには腕部損傷のメッセージが表示される。

 フレイアの反応速度がシェアトスの限界を超え、機械的な損傷を生じさせてしまっていた。


『クァードよりフレイア機、バイタル表示と機体ステータスに損傷が出ています。一度帰還してください。整備の用意があります』

「こんなところで退けるわけないでしょ!」


 クァードからの通信を一蹴しつつも、シェアトスにダメージが生じてしまっているのは事実だった。

 黒騎士はというとフレイア機と距離を取っている。


『くっ、ここで母乳切れとは……だがすぐに戻る! 待っていろ! Zリーヌンス!』


 黒騎士はそう残すと機体を反転させ、母艦へと向かい去って行った。


『黒騎士が撤退する!?』

「母乳切れのようね。せっかくのチャンスを逃すことになったけど……こっちも一度戻らないと……。フレイアよりクァード、しょうがないから一度戻ります。換装と調整の手配をお願い」

『クァード了解。黒騎士の撤退を確認しました。フレイア、今のうちに』

「わかってる。ショウヘイ、あなたもクァードの近くへ」

『りょ、了解した。フレイア、体は大丈夫か?』

「大丈夫。すごく搾られてる感じはするけど……なんかすっきりしてる。むしろ調子良い感じもする!」

『そうか、それならよかった……』

「一旦戻るけど、黒騎士より早く復帰しないとね。行きましょう」


 加速をかけるフレイア機は早く、ゼータリオンを超える速度が出ていた。


新たなる力「エクスタシア」の力は黒騎士を圧倒する力であった。

エクスタシアとZリーヌンス。

強大な力を得たクァードは形勢逆転の為に打って出るのか!?

次回も目が離せない展開になる予感!!


応援コメントや評価等いつでもお待ちしております。

どうぞよろしくお願い致します!!

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