【第2章】宇宙艦隊オッパリオン068話「母乳力の覚醒に至る手段」
宇宙艦隊オッパリオン第68話出航!!
今回もやって参りました宇宙艦隊オッパリオン。
どうも、こんにちは、こんばんは、YOMです。
いつも宇宙艦隊オッパリオンを読んで頂きましてありがとうございます!!
今回のオッパリオンはベールヌ宙域での決戦。
「黒騎士」と呼ばれる、海賊ドロアズと戦うフレイアとリアリィと翔平。
彼らの目の前に、新たなる増援がやってくる。
クァードは無事この危機を乗り越えられるのだろうか!?
引き続き、宇宙艦隊オッパリオンを応援お願い致します。
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返信は至って普通ですが、スケキヨ氏と共に相当に喜んでます(´・ω・`)
【〇六八 母乳力の覚醒に至る手段】
『クァードより機動兵器各員へ。敵の増援が到着します。全部隊はクァードの防衛に回ってください』
クァード艦橋からの通信がゼータリオンのコクピットにも響いた。変化した状況に翔平は緊張を走らせたが、目の前の敵の黒騎士は依然として猛攻を続けている。
『フレイア機了解。でもこっちは黒騎士から離れられない。リアリィとシュレンはクァードの防衛に回って。こいつはあたしとショウヘイでなんとか押さえるから』
黒騎士への対応をしつつ、フレイアの反応は早かった。
『フレイア、あなただけで大丈夫なの?』
リアリィはフレイアの判断を心配していたようだった。
『大丈夫。なんとかしてみせるって。だからクァードをお願い』
『わかった。リアリィ了解。気を付けて』
『シュレン了解。もう少しだったのに仕方がないわね』
リアリィ機はすぐに転身してクァードの方へと向かう。黒騎士はそんなリアリィ機を気に留めるそぶりも見せなかった。
ゼータリオンのモニターには新たに二隻の敵艦が表示された。そこからは数機の機動兵器が発進したらしく、マーカーに表示される。
「この数を相手にできるのか!?」
思わずそんな声が出てしまう。
『大丈夫、あたしたちを信じなさい』
フレイアは自信ありげにそう言ったが、多勢を相手にしていることもあり翔平には不安がよぎった。
『僚機が減ったようだが大丈夫かな?』
黒騎士からそんな通信が入る。
『あなたの相手くらいあたしでどうにかなるっての!』
『ならばそれを証明してもらおうか――と言いたいところだが私の狙いはキミではないのでね』
黒騎士はフレイア機の剣撃を受け流し、正面をゼータリオンへと向け接近を仕掛ける。
『ショウヘイ回避!』
「間に合わない!」
黒騎士の加速は高く、多少の距離ならば一瞬で詰められてしまう。
致命傷を狙う一撃一撃は鋭く、翔平は奇跡的にその攻撃を防ぐことができている。
『素人のような動きをするがよくも耐えられるものだな』
「臆病者なんでね!」
黒騎士の挑発に精一杯の強がりを言っていると横からフレイア機が割って入る。しかしフレイアの攻撃は黒騎士に簡単に受け流され、後退を誘うまでには至らないでいた。
『シェアトスがパワー負けしてるって言うの!? Zリーヌンスの影響も受けてるって言うのに!』
『いつまでも機体の優位性を保てると思わない方がいいな』
フレイア機の剣を弾き、黒騎士はフレイア機の胴体を蹴りつけた。
『あうっ!?』
「フレイア!」
『仲間を助ける余裕などはあるかな?』
ゼータリオンをフレイア機へと向けた瞬間、黒騎士の剣がゼータリオンを狙う。
「くそっ!」
一撃を防いでも返す一撃がすぐに襲いかかる。黒騎士の攻撃は連綿として続き、こちらに休む間を与えないものとなっている。
『やはり不慣れだな。疲れが見えるぞ』
「っ!?」
防いだと思った一撃が大剣を抜け、ゼータリオンの肩を掠める。
鈍い金属音が起こり機体の震えがコクピットを揺らす。
「やられるっ!?」
『焦らないでショウヘイ!』
モニターに赤い機体――フレイア機が現れる。体勢を立て直したフレイア機が黒騎士へと突っ込んで行くのが見えた。
『キミも相当にしつこい性格だな』
『あんたに言われたくないかな』
フレイア機も鋭い攻撃を繰り出すが黒騎士はその攻撃を巧みに受け流している。
あまりの攻防に、翔平には介入するタイミングがまるでわからなかった。
「せめてZリーヌンスの力をもっと解放できれば……フレイア機はこれ以上強化できないのか……」
気持ちに焦りがあるのはわかったが、翔平はもうかなりの力を解放しているという意識もあった。
『見ているだけでいいのか?』
そして一瞬でも気を抜くとフレイアの攻撃をくぐり抜けた黒騎士の刃が跳んでくる。翔平には一瞬の猶予も与えられていなかった。
◇ ◇ ◇
「ふむ、ゼータリオンがかなり押されているようだね」
格納庫の隅にあるモニターで、ミィアルーンは外の様子を伺っていた。モニターにはゼータリオンの状態が表示されており、翔平が徐々に押されている様子が把握できた。
「えぇっ!? 翔平は大丈夫なんですか!?」
それを聞いていたとなりの奈菜が不安の声を上げる。
「フレイア機もついているが今回は相手が悪いね。あの黒騎士と呼ばれているやつの機体は相当のものだよ。よくもあんなものを作ったものだ。おそらくは相当に無理をさせているだろうから長くはもたないはずだけどね」
「で、でも翔平がピンチなんですよね!? フレイアは一緒じゃないんですか!?」
「そのフレイアも押されているようだよ。リアリィとふたりでなんとか押さえ込めていたようだけど、そのリアリィが抜けてしまったのは大きいようだね」
「そ、そんな……」
そんな奈菜の乗っているクァードも現れた海賊艦からの砲撃を受け、何度も急旋回、急停止、急加速を繰り返しているため相当に揺れていた。
「博士! なんとかならないんですか!?」
「ここでわたしに言われてもね……。シェアトスの限界値はまだもう少し上限に余裕があるけど、ショウヘイも焦っているせいかZリーヌンスもそこまで効果的には発現できていないようだし」
Zリーヌンス反応もこのモニターで観測できる。反応は依然として強いものの、上げ止まり感のあるものとなっていた。
「翔平……」
翔平を案じ、奈菜はぎゅっと手を合わせた。
すると――。
「あの、現状はこちらにとってよろしくないのですか?」
翔平が連れてきたロボットが奈菜とミィアルーンの後ろから声をかけてきた。
奈菜は驚いて振り返る。
「えっ」
「ふふ、賢いロボットだね。その通り、現状はやや……いや、結構なピンチと言えるね」
「状況は把握しました。Zリーヌンス波動も感じられますが、今はあまり効果的に使えているとは言えない状況のようですね」
「ふむ、その体はZリーヌンスも感知できるんだね。なかなか優れているようだ」
「そんなこと言ってる場合ですか博士っ」
「すまない。効果的に使えていないようだけど、どうしてそれがわかるのかな?」
ミィアルーンが問うと、ロボットは無機質な顔を彼女へと向けた。
「Zリーヌンスと母乳力とが強く結びついていません。Zリーヌンスは母乳力と結びつくことで本来の力を発揮するものです。あのお二人にはそれができるのですが、今はそれができていません」
「ど、どういうこと……?」
奈菜はロボットが何を言っているのかいまいちわからず、助けを求めるようにミィアルーンを見る。だが、ミィアルーンは考え込むように床を見ていた。
「――ということはフレイア機をさらに強化できる余力がある、ということか……。それはどうすれば可能なのかわかるのかな?」
「Zリーヌンスは母乳力を強化します。それは発現している母乳力にこそ有効なものですが、発現していない母乳力を覚醒させることも可能です」
その言葉に、ミィアルーンの眉が寄る。
「それはつまり……潜在的な母乳力を引き出す、ということかな?」
ロボットはその言葉に頷く。
「その解釈で間違いはありません」
ミィアルーンは考えた。
母乳力とは分泌された母乳そのものが発する力であり、オッパリオン人の体から発せられる力でもある。それを覚醒させるということはどういうことなのかと。
「失礼だが、その効果のデメリットを聞かせてもらえないか?」
ミィアルーンは慎重にそうたずねた。
「母乳力使用者の身体的負荷がかかります。母乳力とて代償なくして得られる力ではありません。しかし短時間であれば、あのパイロットの方でしたらば耐えられるでしょう。それにZリーヌンスとの接続も体験されています。必要条件は満たしています」
「身体的負荷か……」
ミィアルーンが怪訝そうな面持ちになるので、奈菜は不安を募らせた。
「は、博士……大丈夫なんですか?」
「いや、オッパリオン人は母乳を過度に搾ると疲労感を得るようなのでね。今のフレイアも相当な母乳を使っていると思われるんだ。そこでさらに母乳力を引き上げるとは言え、負荷を与えて大丈夫なものかと考えてね」
「そ、それは……」
奈菜にとってもそれは不安だった。翔平を守るためとは言え、フレイアを犠牲にすることは考えたくなかった。
「現状を打開する方法として提案します。Zリーヌンスを有効活用するために、母乳力とZリーヌンスを接続し、オッパリオン人をエクスタシア状態にすることを推奨します」
「エクスタシア?」
始めて聞いた単語に、ミィアルーンは即座に聞き返した。
「Zリーヌンス接続により潜在的母乳力を活性化させたオッパリオン人の状態をそう呼ぶと、私の記憶にはあるようです。おかしいですね、オッパリオン人の知識はないはずですが、私には私の知らない記憶領域があるようです」
「それはあとで調べさせてもらうとして、エクスタシアか……それに賭けてみるしかないかもしれないね」
ミィアルーンはなにか覚悟を決めたような視線を奈菜へと送った。
「や、やってみるんですか?」
「ああ。ショウヘイとフレイアに伝えよう。現状、あの黒騎士をなんとかしなければクァードも危ないからね。フレイアの強い母乳力と、彼女自身の強さに賭けてみよう」
「お願いします」
「わかった。ふたりに通信を入れよう。傍受される可能性もあるが、この際そんなことを言っていられる状況じゃないからね」
そう言いながら、ミィアルーンは通信機のスイッチを入れた。
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