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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
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【第2章】宇宙艦隊オッパリオン044話「オッパリオンの歴史」

いつも宇宙艦隊オッパリオンを読んで頂きまして、誠にありがとうございます。

YOMです。


今回のオッパリオンは第44話。

惑星ラメルにて預言者の「マシ長」に出会った翔平達。

マシ長から語られるZリーヌンスについてとは一体!?

母乳力とZリーヌンスの力の秘密は明らかになるのだろうか!!

【〇四四 オッパリオンの歴史】


「オッパリオンにもよい予言者はいてな。その導きでショウヘイたちはここに来たということだろう」


 マシ長は穏やかにそう言った。

 事実その通り、翔平たちがラメルにやってきたのはスタティアからの指示であり、予言があったということだった。翔平はその予言はシアによるものだと考えている。


「わしも含めて予言者というのは突発的に出現する存在でね。やや特別なのだよ。資質を持つ者はどの星でも生まれるのだが、マーラ帝国はこの予言というのを信じていなくてね。あそこだけは例外的に予言者がおらんのだ」


 マシ長がそんなことを話していると、翔平たちの前に飲み物らしきものが運ばれてきた。


「この星のお茶だよ。口に合うかはわからんが、よく飲んでるものだ。遠慮せずに飲んでくれていいぞ」

「では、いただきます」


 翔平はカップを手に取る。紅茶のような、ルビー色の冷たそうな液体が注がれており、さわやかな香りがしていた。ひとくち口をつけてみると、それは紅茶のような味わいがあった。


「美味しいです」

「ほほ、それはよかった。――さて、おぬしをここに招いた理由だが……忠告と言うと大げさなのだが、気を付けてもらいたいことがあってな」

「気を付けてもらいたいこと、ですか?」

「さよう。おぬしは薄々気付いていることかもしれぬが、Zリーヌンスとは本来危険極まりない力なのだ。だがその話に触れる前に、少しオッパリオンについて知ってもらう必要があってな。ショウヘイ、オッパリオンについては詳しく知っておるかな?」

「いえ、詳しくは知りません」


 翔平が端的に答えると、マシ長はどこか嬉しそうに眼を細めた。


「そうかそうか。正直でよろしいな。このラメルとオッパリオンは関係が深くての。何千年も前から交流があるのだ。わしも五〇〇年ほど生きているが――」

「えっ、五〇〇年も!?」


 奈菜が思わず驚きの声を上げる。


「ほほほ、おぬしたちから見るとわしらケモミー星人は長寿になるらしくてな。このくらい生きるのはさしてめずらしいことではないよ」


 そう言うマシ長であったが、見た目は幼く見えるために翔平にも驚きはあった。

 しかし話し方こそ落ち着きはあるものの、声などは幼い少女のような感じがある。


「短命な種族たちでも歴史は知っておいた方がいい。ものごとを判断するひとつの貴重な材料になるからの。――さて、オッパリオンとはこのラメルもある銀河団にある星でね。歴史そのものはラメルよりも断然古いのだ。我らが発祥の地、ケモミー星も長い歴史を持つがオッパリオンはそれよりも古い」

「そんなに……」


 驚く翔平にミィアルーンが言葉を挿し込む。


「オッパリオンの考古学では宇宙のはじまりとオッパリオン星の誕生は同時ではないかという説があってね。宇宙のはじまりは母乳力の発現がきっかけだとする説があるくらいだよ。もっとも、確たる証拠は確立されていないのだけどね」

「そのマーラ人の言う通りだ。オッパリオンの歴史はそれほどに古い。まだこの銀河団が原始銀河として存在していた頃からオッパリオンはあり、その星では壮絶な争いが行われていたそうだ」

「争いが?」


 マシ長のその言葉は意外なもので、翔平は驚いた。オッパリオン人は温厚というイメージが強かったからだ。


「驚くのも無理はない。今のオッパリオン人は温厚で平和的だからの。しかし太古のオッパリオンはそうではなかった。古い言い伝えではオッパリオン人同士が星の資源を巡りひどい争いを繰り広げていたらしいのだ」


 地球にもエネルギー問題はある。そして国家間の争いも少なからず残っている。そのことを考えると、他人事だとは思い切れなかった。


「このままではオッパリオン人は争いに資源を使い潰し、自ら自滅するのではと思われたそうだ。だがそんな中、変化が起こる。それがZリーヌンスの発動だったのだ」


 一同の視線が翔平に集まる。


「Zリーヌンスの?」

「さよう。どこからともなく現れたものがオッパリオン星で、のちにZリーヌンスと呼ばれる奇跡の力を発現させた。その力は光となってオッパリオン星を覆い、オッパリオン星を資源豊かな星に生まれ変わらせたのだという。資源の乏しい星を作り替えた、それがオッパリオンを救ったZリーヌンスの伝説なのだよ」

「そんな力が……」


 Zリーヌンスの伝説というのを翔平ははじめて聞かされた。――が、スケールが大きく、今まで自分が見てきたZリーヌンスの力とは乖離しているように思えて実感がなかった。


「資源に恵まれたオッパリオン星では争いがなくなり、人々も温厚な性格へと変化していき、今のオッパリオン人のようになったと聞く。つまり、オッパリオン星を今の状態にしたのはZリーヌンスの力によってと言ってもいいものだ」


 そうなの? そう聞くように奈菜がとなりに座っているリアリィを見た。するとリアリィは奈菜とその視線の意図に気付き、頷いた。


「Zリーヌンスがかつてオッパリオンの窮地を救った、というのはオッパリオン人はおとぎ話のように聞かされていてね。みんな知っているよ。だけど、Zリーヌンスが本当にあると思う人は少ないし、Zリーヌンスがどんな力だったのかなんてことは、誰も知らないって言ってもいい」


 リアリィがそう言うと、マシ長が頷く。


「そう、長い年月を経てZリーヌンスの詳細は失われてしまった。それもそのはず。オッパリオン人はZリーヌンスが乱用されることを恐れ、記録を抹消してしまったのだ。伝説だけ残してね」

「そうだったんですか……」

「うむ。しかもそこから現代に至るまで、オッパリオン星でもこの宇宙でもZリーヌンスが発動したというのはその時だけなのだ。どうやって星に資源をもたらしたのか、その時は誰がやったのかなどは一切が記録に残っておらず、伝聞としても伝わっておらん。オッパリオン人はZリーヌンスを頑なに隠したのだ」

「隠したって言うと聞こえが悪いけど、オッパリオンでも知っている人が少なかったんじゃないかな」


 フレイアが思わず言葉を挟む。マシ長は笑う。


「ほほほ、そうかもしれないね。まぁどの道、Zリーヌンスとは奇跡の力であり、それほどに恐れられた力でもあるということだ」


 ――恐れられた力、そう聞き、翔平は次元破断砲の威力を思い出した。あれはZリーヌンスを使った兵器であり、威力としては凄まじいものがあった。


「でもオッパリオンにはZリーヌンスの使用に関する技術が文献に残っていた。肝心のZリーヌンスに関する情報は乏しいのにね。これも不思議な話だ」


 ミィアルーンが好奇心から発言する。


「それは――わしが思うに、オッパリオン人はまたいつかZリーヌンスがこの宇宙で必要になると思っていたからかもしれないね。それでなにかしらのヒントを残したのかもしれない。使うことは危険、しかし完全に忘れるにはあまりにも惜しい――そうした矛盾が伝説として、一部の記録として残った、わしはそう考えるよ」

「なるほど。それならわたしも納得できる。人はどうしても合理性だけで生きるものではないからね」


 マシ長の言葉にミィアルーンも納得した様子だった。


「そして時代が進み、オッパリオン人から母乳力が発見される。不運にも全宇宙の支配を目論むマーラ帝国によってな。母乳力の技術を使った帝国は止めるものがいなくなるほど強大になった。多くの星々が帝国の支配下に置かれ、過酷な植民生活を余儀なくされている状況になってしまった」


 言うマシ長はどこか悲しそうだった。


「それがここ数十年の出来事だ。このままではオッパリオンも帝国に掌握され、支配が全銀河に及ぶ日もそう遠くないことだろう。そこでオッパリオンは過去の伝説を頼りにZリーヌンスを求めた。再び、星に迫る危機を振り払うために」

「それはわかりました。でも、そのZリーヌンスがどうしてオッパリオンから遠く離れた地球に、自分にあったんですか?」


 翔平は気になっていたことをマシ長に尋ねた。

 マシ長は眼を閉じる。


「予言とは未来を見るもの。過去を見ることはできない。だからそのことはわしにもわからんのだ。ただ――オッパリオンの英雄が遠く離れた銀河の片隅からとてつもない力を持つものを連れてくる姿は見えたのだ。それが、オッパリオンのアーリアと地球という星の翔平というものの出会いだったのだ。このことはオッパリオンの予言者も予言した。いや、予言の力を持つもののほとんどが見た大きな未来だったとも言える」


 マシ長はゆっくりを眼を開き、目の前のお茶をひとくち飲んだ。


「あれはオッパリオンの未来を救うためでもあり、この宇宙を救うためでもあった。このラメルにも何度も帝国への編入を促す話が来ている。しかしわしらは自由の下で暮らしている。帝国の覇権のために生活しているわけではない。できれば争いとは無縁の世界で暮らしたいと願う者たちが作った星、それがラメルなのだ。その理念を捨てて帝国に与して得た平穏など、かりそめの平穏だろう。帝国は太古のオッパリオンのように自身の星の資源を争いのために使い潰し、外に資源を求めておる――そんな愚行はとめねばならんのだ。だがラメルにはその戦力はない。我々は自衛の力こそ備えていたが、帝国のような規模に対抗できるものではない。ましてや、今の帝国は母乳力を得てより強大になっている……今や抵抗できるのはオッパリオンをおいて他にないというのが現状なのだ」

「大丈夫、オッパリオンが負けることはないわ」


 マシ長の言葉に、フレイアが力強く応える。その声を聞き、マシ長は微笑みを浮かべた。


「すまんな、若い者ばかりに頼ってしまって。帝国が道をあやまらぬようにすることもできたのだろうが、わしらは悠長すぎた。いつまでも他人事と思い、後手に回ってしまった。すまない」

「あやまらないでください。マシ長が悪いわけじゃないです」


 フレイアが言うと、マシ長は再び微笑んだ。


「よい若者だの。必ずやオッパリオンの力になる存在であろう。なのでショウヘイ、その力は本来恐るべき力であるのだ。なので使い方を決して間違えないで欲しい。そしてできることなら正しい方向へと使い、この宇宙を帝国の侵略という危機から救ってもらいたい」


 翔平に向けられたその言葉は、翔平にとって重いものだった。

 どうして自分にその力があるのかは未だにわからなかったが、その理由がどうであれ、自分に備わっていたのだから、その使命を果たす責任はあるのだと、マシ長の話を聞いて翔平は思った。


「――わかりました。正しい方向に力を使いたいと思います。自分でもまだよくわかっていませんが……さらなる争いを生んだり、個人的な欲望のためには使わないようにします」

「うむ。かつてオッパリオンを救った力であるZリーヌンス、その力があればこのたびの争乱をおさめることもできるとわしは思う。頼んだよ、ショウヘイ」


 マシ長はひとつ事を成し遂げたような笑みを浮かべ、翔平をまっすぐに見た。

 翔平にはこの小さなマシ長が大きく感じられた瞬間だった。


マシ長はまだ語りたいことがあるようだ。

果たして、翔平達に告げられる預言は一体。

次回、母乳力の謎に迫る!!


引き続き、宇宙艦隊オッパリオンの応援よろしくお願い致します!!

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