↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
49/487

【第2章】宇宙艦隊オッパリオン045話「裏切りの中の予言」

本日もやって参りました、オッパリオン。

いつも読んで頂きましてありがとうございます。

YOMです。


今回のお話は。

マシマシおさからZリーヌンスと母乳力の関係について聞かされた翔平達クァード組。

Zリーヌンスと母乳力の謎を追う為の予言が今ここになされるか!?

惑星ラメルでもさらなる戦いの予感がする!!

【〇四五 裏切りの中の予言】


「――とは言うものの」


 翔平を見ていたマシ長は再び眼を閉じた。小柄で幼く見える容姿なのだが、その言葉や動作からは威厳のようなものが感じられる。


「Zリーヌンスはまだ半分以上は眠っているような状態にある。真の覚醒状態からはほど遠いのだ」

「今の状態でも母乳力への影響力は強いからね。これでいて未覚醒の状態だとすると、覚醒したらどうなるのやら」


 マシ長の言葉を受け、ミィアルーンは興味深そうに頷いた。


「気付いていると思うがZリーヌンスはオッパリオン人の持つ母乳力とやらと深い関係がある。太古のオッパリオンでZリーヌンスが発動したのも、オッパリオンに母乳力があったからだと、わしは考えている」

「なるほど。マシ長のその考えは理に適っている。ゼータリオンなどに見るZリーヌンスを受ける機関は母乳力のそれと酷似しているからね。わたしは根源的には同一のエネルギーなのではないかと考えていたが、それはどうなのだろう」


 ミィアルーンがマシ長に尋ねてみるが、マシ長は首を振った。


「わしとてZリーヌンスと母乳力の関係が見えているわけではないからの。ただ――わしが見たのはひとつの未来だった。そう遠くない未来ではふたつの強大な力が混ざり合い、宇宙を照らしていた。その力のひとつは間違いなくZリーヌンス、もうひとつは母乳力であろうとわしは感じたよ」


 それがマシ長の見た未来の姿だった。


「その力に宇宙が照らされ、宇宙はどうなったんですか?」


 翔平が恐る恐る尋ねる。


「光は収まらなかった。ただただ光として宇宙の端々にまで照らしていたよ。その予言を見た時、わしには自然と恐怖はなかった。なぜか穏やかで、懐かしい気持ちにすらなった。この世にはこのような救いがあるのかと、そう思うような、な」

「救い……」


 翔平は自然と自分の胸に手をあてていた。


「大きい話をしてしまったが重く受け止めることはない。運命とはその者が受け止められるものがやってくると言う。ショウヘイが宇宙を照らす光を得るのであれば、その時はショウヘイにその資格があるということ。しかし――不安定な力であれば危険も伴うであろう。わしが予言を元にショウヘイに助言を与えるのであればそれは――」


 マシ長は言葉をを区切った。

 そして穏やかな瞳を翔平に向ける。

 予言者から与えられる予言に、翔平は緊張した。そしてマシ長の口が開かれる。


「母乳力を知ることだな」

「母乳力を?」

「さよう。おぬしたちはまだ母乳力に触れて浅い。もっと母乳力を知り、感じ、使い、深い関係を築く必要があるだろう。その中で、おそらくはZリーヌンスも洗練されよう」

「母乳力を知る……」


 翔平がそう漏らすと、フレイアはどこか嬉しそうな顔を翔平に向けた。


「それってオッパリオン人をもっと知るってことなんじゃない?」

「うむ、そうとも言えよう。しかしオッパリオン人とて母乳力のすべてを知っているわけではないであろう。そこでおぬしたちには――ん?」


 マシ長は言葉を切り、視線を上げ、翔平たちがやってきた部屋の出入り口の方へと向けた。

 そこにはひとりの宇宙人が立っている。


「――ワダン星人だよ。この星に多くいる移民の者たちさ」


 ミィアルーンが翔平と奈菜にだけ聞こえるように、小声でそう言った。

 ワダン星人は人に近い姿をしているが、四肢が細長く、身長が高い。


「どうしたか?」

「マシ長、客人をお連れしました」

「今は大事な接客をしておる、後にしてはもらえぬか?」

「こちらも大事な案件だとお聞きしておりまして」

「そんな案件は聞いておらんぞ」


 マシ長がいぶかしんでいると、となりに座る側近風の宇宙人が立ち上がった。

 赤い法衣のようなものを纏い、仮面のようなものを付けているように見える。


「私が招きました」


 低い声でそう言うと、マシ長は疑うように眼を細める。


「この人は?」


 翔平がミィアルーンに小声で問う。


「インディアガーナ人だ。この星の多数派のケモミー星人に次いで多い。政治の中枢にもいる実権を握っている連中さ」


 そのインディアガーナ人の素顔は見えず、翔平には状況がよくわからなかったが、緊張感のある表情のフレイアを見て状況を察した。

 これは、たぶんよくない状況だと。


「この先の予言は彼らにも聞いてもらいます」

「ほう、彼らとは誰かな?」


 インディアガーナ人にそう返すと、マシ長は気配を察して出入り口の方を見る。するとそこには数人の人影が現れていた。


「おぬしたちは――!?」


 マシ長が驚くと同時に翔平も現れた人影の方を見た。そして、見知った人物を発見する。


「お、おまえは!?」

「マーラ人!? どうしてここに!?」


 フレイアが立ち上がった瞬間、現れたマーラ人たちは一斉に銃のようなものを向けてきた。

 その一人には翔平が見たことのある人物――海賊艦に捕らわれた時に見たキャプテン、アルガノスの姿があった。


「また会えたな小僧。おっと、銃は抜かないでもらおうか」


 アルガノスはそう言い、反撃の姿勢を取ろうとしていたフレイアとリアリィの動きを制した。

 マシ長のそばにいたインディアガーナ人は法衣の下から銃のようなものを出し、マシ長に向ける。


「わしに黙って海賊を入れたな?」

「いえ、海賊は入れておりません。私たちは帝国の艦船を受け入れたまでのこと。ラメルの規定では帝国の艦船は拒絶しておりませんので」

「都合のいい時だけ帝国になるってわけね」


 フレイアがアルガノスに向けて言う。


「まぁそんなことはどうでもよい」


 フレイアの言葉をはね除けたのは、アルガノスのとなりに立つ仮面の男だった。派手な、海賊らしい格好をしている。

 フレイアにはその人物の立ち姿から、ただ者ではないということがうかがえた。おそらくはパイロットでありそれもかなり腕が立つと直感的に理解した。

 その男は翔平に銃を向けている。


「マシ長、これは我々インディアガーナ人の総意でもあります。我々は帝国の要求を受け入れ、組みする時ということです」

「馬鹿な。それでなにを手に入れる?」

「我々インディアガーナ人の特権階級ですな」

「……この星の理念と他の者たちを裏切るということか?」

「これからの繁栄を考えれば当然のことかと。マシ長、あなたは古い因習にとらわれすぎている。それではこれから先の世界では生きられない」

「愚かな。それで帝国と組むなどと……。騙されおって」

「さて、そちらの事情はともかく。Zリーヌンスの小僧はこちらに来てもらおうか」


 アルガノスがそう促し、翔平に銃を向ける。


「おまえたちの狙いは俺か」

「そういうことだ。さぁ、さっさと言う通りにしてもらおうか」

「いや、キャプテン、その必要はない。Zリーヌンスは宇宙の脅威となる力だ。今この場で始末する!」

「っ! ショウヘイっ!」


 ミィアルーンを飛び越え、フレイアが翔平に飛びつき地面へと押し倒した。直後銃声がする。

 仮面の男がいきなり発砲したようだった。


「ドロアズ殿!」

「手ぬるいぞキャプテン、こういう時に始末するものだ!」


 やってきた海賊の意思疎通が乱れた、その一瞬を付き、起き上がったフレイアとリアリィが即座に銃を抜き反撃する。


「きゃあ!」

「ナナ、我々は伏せていた方がいい」


 ミィアルーンは奈菜の手を引き、卓の下へと伏せさせる。マシ長も椅子から飛び降り、卓の下へと入る。


「ショウヘイ、こっちへ来るのだ。外へ行く通路がある」

「マシ長?」

「こんな時のための逃げ道だよ。さぁ」

「助かります。――フレイア!」

「後から行くわ!」


 卓に身を潜めつつ、フレイアはとリアリィは応戦している。翔平の頭上では銃撃戦が繰り広げられていた。


「奈菜、こっちへ」

「なんでこうなっちゃうのよ……」

「我々も銃を持ってきておくべきだったようだね。もっとも、上手く使えるかどうかはわからんけどね」


 奈菜に続き、身をかがめたミィアルーンも翔平のそばにやってくる。

 マシ長の傍にいた他の宇宙人たちも身を潜めている。どうやら全員がインディアガーナ人のように帝国に組みしているというわけではなさそうだった。


「マシ長、早くこちらへ――街ではどうやらインディアガーナ人たちが蜂起しているという報せが入りました」


 別の宇宙人がマシ長にそう伝えていた。


「どうやら連中はこうなる機会を待っていたようだな。見抜けぬかったわしもまだ未熟ということだ……」


 マシ長はどこか落胆した様子だった。


「くっ! メルクコアはいい! Zリーヌンスを確保しろ!」


 アルガノスの怒声が聞こえる。


「ショウヘイ、ナナ、姿勢を低くするのだ」


 マシ長の言葉に従い、姿勢を低くして卓から離れ、部屋の奥へと移動する。

 翔平が振り返ると、フレイアたちが応戦しているが、海賊たちも物陰に隠れてこちらへと撃ち返してきていた。


「フレイア! クァードに連絡は!?」

「したわ! 緊急離陸して迎えに来てくれることになってる!」


 リアリィとフレイアはそんな言葉を交わしていた。

 クァードが来るのなら、外に出なければならない。


「リアリィ! あの仮面男を先に! あいつだけ普通じゃない感じがする!」

「わかってるけどさ! 相手多過ぎでしょ! さっさと逃げた方がいいって!」


 当然のことながら状況は好ましいものではないらしかった。


「マシ長、あなたにはここに残ってもらう!」


 マシ長に銃を向けたインディアガーナ人が叫ぶ。


「そうもいかんだろうて」


 マシ長はそう声をかけてきたインディアガーナ人に振り返ることもせずひとりそう呟き、翔平たちの先頭に立った。


「この抜け道をあやつに教えていなくて正解だったの」


 部屋の奥にあった衝立をどかすと、そこはただの壁だった。だがマシ長が壁に触れると壁が開き、通路が現れた。通路は下りの階段になっている。


「さぁショウヘイ、先に行くのだ。これは外に通じている。港方面に出るから仲間との合流もできよう」

「マシ長も一緒に」

「わしも行く。だが今はおぬしらの身の安全が先――」


 マシ長の言葉は途中で止まり、体が宙に浮き、次の瞬間に倒れた。

 撃たれた――そう理解したのは数瞬してからのことだった。


「マシ長!」


 翔平が駆け寄る。


「ば、バカ者、早く行かぬかっ。ケモミー星人は……こ、こう見えても丈夫なのだ。少しくらい撃たれようとも……」

「で、でも!」


 翔平はマシ長を抱え上げる。


「行こう、奈菜、博士!」

「ショウヘイ、マシ長も連れて行くのか?」

「置いてくわけにはいかないよ!」

「ショウヘイ! 早く行って!」


 フレイアたちがこちらへと駆けて来たので翔平は通路へと飛び込んだ。


「わしを置いて行かぬか――」

「そうはできません! 大丈夫、オッパリオンの人にすぐ治してもらえます! 俺がそうだったように!」


 翔平は通路の階段を降りながらそう言葉をかけた。


「ショウヘイ、提督の母乳を飲んだ時のことを言ってるようならすまない。あのような効果のある母乳は希有なのだよ。オッパリオン人みんなができることじゃない」


 ミィアルーンがそう告げるが、翔平は首を振った。


「でも手当はできるはず!」

「ショウヘイ急いで! フレイアが食い止めてるけど突入されたらそんなにもたないよ!」


 やってきたリアリィが翔平を追い越し先頭に立つ。


「仲間もそう言っておろう。わしはここに置いて行けショウヘイ。わしを担いだままだとすぐに追いつかれる」

「マシ長はわたしが預かります」


 いつの間にかやってきていたチェルピックがそう申し出てきた。チェルピックたち他の側近も脱出を試みているらしかった。


「チェルピックさん、でも残ったらあなたたちも捕まってしまうんじゃ!?」

「外に出られれば警備隊が来てくれます。それまでの辛抱ですから。でもここで万が一あなたが捕まってしまうようなことがあれば、このラメルも、宇宙もただではすまないことになってしまう」


 チェルピックは冷静にそう言った。


「くっ……。マ、マシ長、すみません」

「よい判断だよ、ショウヘイ」


 翔平は撃たれたマシ長をチェルピックへと渡した。


「よいかショウヘイ、正しいことへと力を使うのだ。優先順位を間違えてはいけないよ。そしてこの星を離れたらベールヌ星に向かうのだ。そこにZリーヌンスについて知る者がいる。わしがおぬしに真に伝えたかった予言はそれなのだ。これは誰にも言っていない、帝国の者も知らぬだろうし、オッパリオンの予言者も見えてはいない未来だ。ショウヘイ、おぬしはベールヌでZリーヌンスがなんであるかに触れることになるだろう。そこへ向かえ、仲間とともに」

「マシ長……わかりました。俺、行きます!」

「マシ長……どうかご無事で……」


 翔平と奈菜はマシ長にそう残すと、前を向いて階段を走り出した。ミィアルーンもあとに続く。

 すると少ししてフレイアがやってきた。


「帝国は迫っておるか?」

「扉を閉めてきました。少しは時間を稼げるかと。マシ長も脱出してください」

「このていたらくではそう易々と行けぬよ。おぬしはショウヘイとともに先に行くがよい。おぬしにも未来が待っている。ショウヘイの力に必要な存在だ。その命、決して無駄にしてはいけない」

「あたしが!?」


 フレイアは意外そうに驚いた。


「うむ。ショウヘイの向かう先ではおぬしが必要になる。今もそうだが、この先、おぬしは何度もショウヘイを救う。そしておぬしの母乳力もまたショウヘイたちにとって不可欠となる。おぬしも生き延びるのだ」

「わ、わかりました。そんなこと考えたこともなかったけど……ありがとう、マシ長」

「礼には及ばんよ。行け、若いオッパリオン人」

「わかりました。チェルピック、これでマシ長を守ってあげて」

「えぇっ!?」


 チェルピックはフレイアから銃を渡されたことに驚いていた。しかしチェルピックがなにかを言う前にフレイアは翔平たちを追って走って行ってしまった。


「ふぅ……オッパリオン人たちは大変だのう」

「マシ長、あまり喋らないでください。傷に障ります」


 チェルピックがそう言った時、建物が揺れた。


「な、なにが起こっているのでしょう?」

「帝国が機動兵器を出して来たようだ。まったく、この星で機動兵器を使うことは禁じられておるのに、あの者たちは見境がないの」

「あぁ……ショウヘイさんたち、大丈夫でしょうか……」

「大丈夫、そんなに弱い者たちではないよ、あの者たちは」


 そう言い、マシ長は翔平たちが行った通路の奥を見て微笑み、まぶたを閉じた。


次回、惑星ラメルの首都戦になるか!?

何度も襲い来る海賊達、帝国の面々を退けることはできるのだろうか。

緊迫の戦いが始まる!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。