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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第2部】【第7章】宇宙艦隊オッパリオン「王の軌跡編」
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【第7章】宇宙艦隊オッパリオン458話「強化改修」

いつも応援ありがとうございます!!


宇宙艦隊オッパリオン第458話の開幕です。

本日のオッパリオンはパイオーレ提督の回。

北天基地の宇宙戦艦ドッグへとやってきたパイオーレ提督。

彼女の目的と、オッパリオンの宇宙戦艦の現状と戦力はどうなっているのか?

迫る宇宙の終焉、ケレブルムの兵達の進軍。

オッパリオンは、マーラは、宇宙の星々は、この脅威に屈してしまうのか!?

【四五八 強化改修】


 緊急対応の最中ということもあり、パイオーレが進む北天基地内は人が慌ただしく動いている。

 物資を輸送する貨物艦、人々を輸送するシャトル、それらがほぼひっきりなしに基地を行き交っていた。

 そんな中、パイオーレが向かうのは特務艦ドックだった。自分が指揮する艦隊の所属ではないが、特務艦エスカレイドと、同じくアスタリアの様子を知っておきたかった。

 通路の途中、ふと背後から声をかけられる。


「パイオーレ提督」

「うん?」


 振り返ると、艦長の帽子を被った人物が敬礼していた。


「あなたはたしか……」

「特務艦エスカレイド艦長、アリメルです」

「あぁ、アリメル艦長」

「この先の特務艦ドックになにかご用ですか?」

「大改修された特務艦を見ておこうと思って。邪魔になるかしら?」

「いえ、それでしたらいいタイミングです。エスカレイドもアスタリアもドックにいます。ニュートレースミサイルの積み込みがはじまった頃だと思います。わたしもその様子を見に行くところでした。ご案内します」

「ありがとう、アリメル艦長」


 パイオーレは直接アリメル艦長と会うのは意外にもはじめてのことだったが、はっきりと明るく、好印象の艦長だった。初期の艦、クァードを失ったということは報告で聞いていたが、それもよい経験として成長することができたのだろうということは声に感じる自信から察することができた。このアリメル艦長も、今やオッパリオンに欠かすことのできない重要なひとりだとパイオーレは思った。


「エスカレイドはパイリア搭載の時にトラブルはなかったの?」

「ありました。母乳機関も積み替えになったので、火器管制へのエネルギー伝達と制御が不安定になりました。ですが、もう解決しています」

「それはよかったわ。わたしの艦ではまだトラブルがあってね」

「基本システムの刷新にトラブルはつきものかもしれません。技術部にがんばってもらうしかないのがもどかしいところですね。提督のエルドティアナもきっと解決します。エルドティアナは武装が多いので、時間がかかっているだけです、きっと」


 アリメルはエルドティアナの特徴も知っているようだった。


「なるほど、さすが特務艦隊の艦長。アーリア提督が手放したがらないのもわかる優秀な艦長のようね」

「恐れ入ります。パイオーレ提督には南天宙域戦の時に命令違反をしてまでも駆けつけていただいたこと、感謝しています」

「違反は違反よ。真似しないように」

「ふふふ、なるべくそうします」


 そんな話をしているとふたりはドック内が一望できる展望デッキへとたどり着く。そこには人影があった。その人物はパイオーレを見てすぐに敬礼する。


「楽にして、フォーヴァ艦長」

「ありがとうございます」


 展望デッキにいたのは特務艦アスタリア艦長のフォーヴァ艦長だった。

 パイオーレはフォーヴァ艦長とは面識があった。シェアトス開発の折、フォーヴァ艦長は技術顧問としてその開発に携わっており、パイオーレも提督のひとりとして性能評価を行った。その際に会っている。


「フォーヴァ艦長、アスタリアを見にいらしたんですか?」

「あぁ、これで特務艦三隻、似たような見た目になったものだ」


 フォーヴァが自信ありげな笑顔で見た先には、外環機動兵装「エンゲージ」が取り付けられたアスタリアがあった。スタティアとエスカレイドに装備されていたエンゲージが、アスタリアにも装備されることになったのだった。


「試験航海も終えたんだ。投影面積が増えるという懸念はあるが、それを補って余りある機動性の向上があったよ。積み替えた新型母乳機関も相まって、アスタリアもまだまだ戦場を牽引できる戦力だと思っている」

「心強いです」


 ふたりの艦長が話すかたわら、パイオーレは展望デッキからアスタリアと、そのとなりに停泊するエスカレイドを見る。


「両艦長、例の兵装も無事に?」


 その質問にアリメルとフォーヴァは一瞬顔を見合わせる。そしてアリメルが応じる。


「はい。連装式次元破断砲の装備は完了しています。新型母乳機関も、ほぼこの装備の運用のために搭載されています」

「ですが――」


 パイオーレの視線がフォーヴァに注がれる。


「なにか問題が?」

「問題、というほどのことではないのですが、連装式次元破断砲は未テストでして、さらにはZリーヌンスなしで母乳機関のみの使用だと出力はスタティアがZリーヌンスを使って発射した時の六割程度になると見込まれています」

「……なるほど」


 それはしかたがないことだとパイオーレは思った。


「そもそも次元破断砲はZリーヌンスの使用が前提の兵器だものね。それが母乳機関だけで撃てるだけでも、すごい進歩よ」


 パイオーレのその言葉に両艦長は頷く。


「パイリアの制御はシステムだけでもチェックしたかしら?」

「しました」


 フォーヴァが応じ、続ける。


「次元破断砲の照準や発射機構は聞いた限りではそう複雑でもない構造なのですが、エネルギー制御に難があります。エネルギー源の問題に加えて、この制御が量産化の大きな障害となっていたのですが、パイリアの自律制御によってその問題は解決されました」


 パイオーレが知る限り、フォーヴァ艦長は技術畑にも明るい。次元破断砲の仕組みとエネルギー構造についても、技術的な理解が深いのだろうと思った。


「パイリアが実用レベルで配備されたのは幸運ね」

「そう思います。まだ用途は限定的ですが、今後この種の次元演算装置の開発が進めば、母乳力のより効率的運用にも繋がると、わたしは考えています」

「それは正しい見方ね」


 ふと眼下のアスタリアに目を向ける。上部機動兵器カタパルトが解放される。


『アスタリアより固定デッキ。機動兵器三機が発進します。注意されたし』


 そのアナウンスの後、アスタリアからは三機のリネイが飛び立っていった。

 フォーヴァがそれを見るパイオーレのとなりに立つ。


「アスタリアの機動兵器部隊でもリネイの訓練が進んでいます」

「そのようね。どう?」

「それが……」


 フォーヴァは苦笑しながらアリメルを見る。


「エスカレイド隊が運用するリネイより、アスタリア隊のリネイは出力が若干劣るんです」

「そんなことが?」

「うちのフレイアが言うには、ですが、パイロットとZリーヌンス所持者、つまりショウヘイさんとの交流時間の長さと深さに関係がある、ということです」


 アリメルのその説明はパイオーレには初耳だった。


「そんなことがあるのね。……母乳力がショウヘイさんとの交流に関係があるなら、各部隊で親睦会を催すしかないわね……」


 パイオーレは真剣に考える。


「ですがパイオーレ提督、劣ると言ってもわずかな数字程度で、実戦においてはそれが大差になることはないと思っています」

「リネイの新しい機能も発見されているんです。うちのエスカレイド隊のレマスがその機能を『術式』と呼び出したのが広まって、アスタリア隊とも共有される名称になりました」

「『術式』ね。なんとなくミステリアスなリネイによく合う言葉を見つけたものね」


 特務艦が搭載するリネイ、これらはケレブルムに対して極めて有効な戦力になるとパイオーレは思っていた。この運用の練度に少々の不安があったのもここに来た理由だったのだが、両艦長の話を聞くに訓練と解析がだいぶ進んでいるようで、安心することができた。

 すると、特務艦デッキが大きく解放をはじめた。


「あら?」

「どうしたんでしょう?」


 アリメルとパイオーレが首を傾げる。

 フォーヴァは近くの柱にあった通信機を手に取る。


「フォーヴァです。ドック解放はなにか緊急性があるのか? ……なるほど、了解した」


 フォーヴァは基地に確認しているらしく、返事を聞いて通信機を置いた。


「到着した艦があるそうです」

「スタティアですか?」

「いや、スタティアではないよ」

「スタティア以外で特務艦ドックを解放するとしたら……」

「……なるほど」


 パイオーレは入ってきた艦の姿を見て理解した。


「大海賊のご到着。さすが海賊、逃げ足は誰よりも早いってところね」


 特務艦ドックに入港してきた艦はアルテナのユースカティアと、その僚艦だった。

 戦力は揃いつつある――パイオーレはそれを実感し、思わず背筋が伸びた。


なんだかトンデモ技術や宇宙戦艦の進化を感じれられる回でした。

次元演算装置パイリア、連装式次元破断砲、改修型アスタリアに外環機動兵装「エンゲージ」の搭載。

オッパリオンの兵力も確実に強化されている模様。

ケレブルムとの一戦も近い⁉


桐生スケキヨ次回予告。

北天基地にやってきた大海賊。

アルテナが会いたいと指名したのは奈菜!?

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