【第7章】宇宙艦隊オッパリオン457話「北天基地を取り巻く状況」
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翔平はまだ目覚めない中、オッパリオン星では再編成が進んでいる。
ケレブルムの兵がこの宇宙に向かう中、先にアルテナ海賊団のアルテナが発令したコード「081」
それは、宇宙の命運を左右する重大なコードだった!?
次なる戦いの為にパイオーレ提督は北天基地で指揮を執る!!
【四五七 北天基地を取り巻く状況】
「現状、前哨基地の移動は順調です。しかし、他の二拠点も移動を開始してはいますが、なにせ衛星基地を移動させるという前例のない作業で、遅れが出ているのが現状です」
北天基地司令室。そこにきた北天艦隊パイオーレ提督に、北天基地司令のテリアルはそう状況を説明した。
「備えはしてあったとはいえこの規模の移動となると思いのほか手間取ってしまうものですね」
「急がせますか?」
「速度も大事だけど正確さも大事。現場のみんなは十分急いでくれているはずよ」
「そうですね。わたしもそう思います。基地防衛艦隊も本隊と連携して行動が可能にしてあります」
「助かります、テリアル司令」
「本作戦の要点は戦力の一点集中ですからね。攻撃能力を持つ北天の衛星基地は役に立ちましょう。マーラ帝国から返還中の基地が間に合わなかったことが悔やまれますが」
「それは仕方ありません。帝国も返還は急いでくれてはいたものの、まだ実戦での運用に至らないと判断しました。現状でなんとかするしかないわね。あなたもご苦労様、テリアル司令」
「労いの言葉はすべて終わってからいただきます」
激務続きのふたりであったが、笑顔を見せ合うくらいの心のゆとりはまだあった。
そんな時、テリアル司令の卓上の通信機が呼び出し音を鳴らす。テリアルはすぐに応じる。
「テリアルだ。皇宮から? すぐにお繋ぎして」
「なにかあったの?」
パイオーレが問うと、テリアルは通信機をパイオーレの方へ向ける。
「皇宮のオルフレミア提督からだそうです」
「オルフレミア提督?」
通信機には首都防衛艦隊提督、オルフレミアが映る。
『オルフレミアです』
「なにかあったの?」
『首都防衛艦隊の移動の準備が整った報告です。北天基地へ向けて、移動開始できます』
「なんだ、その報せね。なにかあったのかと思った」
『こちらは順調です。パイオーレ提督こそ、どうですか? 見たところお疲れのようですが』
「こちらも再編成はほぼ終えていて、布陣も数パターンをシミュレーションしているのだけど……『パイリア』がね」
『パイリア』――それはオッパリオンで次元演算装置イーヴァナのコピー製作計画で造られた疑似次元演算装置だった。
『エルドティアナとの相性が悪いんですか?』
「そうなの。エルドティアナは艤装の都合で余剰スペースが他の艦と比べて手狭で。ミィアルーン博士がパイリアをなんとかもう少し小型化できないかって調整してはくれて、搭載は上手くいったのだけど、既存のシステムとの同期とやらで難航しているわね」
『エルドティアナは火器管制が独立システムになっていましたからね。同じくパイリアを搭載した特務艦も、同じようにシステム的なもので苦戦したと聞きました』
「パイリアの搭載はわたしが提案したものだけど、まさか自分の艦が足を引っ張ることになるとは思わなかったわ。事前調査では問題ないことになっていたけど、実際にやってみると思わぬところで不具合が出るものね」
『現場はいつもそうです』
「アーリア提督が提案した防衛案にはパイリア搭載艦はある程度の数が必要になる……。ここだけは急がないといけないわね」
『パイリアも数を揃えられたらよかったのですが、現状では皇女艦と各提督艦、特務艦二隻ですからね』
「性能もイーヴァナとは比べるべくもないものになってしまっているようだけど、急造のわりにはよくやってくれたものよ、提督のツァルティアナはもう万全なの?」
『わたしの艦では運用実験も済んでいます。人が乗った機動兵器の運動予測をやらせたのですが、すごいものですよ。これでオリジナルのイーヴァナにはまったく及ばない性能だなんて、そのイーヴァナというものが恐ろしいですね』
パイリアの元になったイーヴァナを持っているのは大海賊アルテナだ。アルテナの艦、ユースカティアに搭載されており、彼女はこの次元演算装置を活用して皇妃奪還にも貢献したと聞いている。
マーラ帝国との講和は進む中、両国の技術交流はそれに先んじて開始された。マーラ帝国の先端技術研究機関ノルヅ機関はイーヴァナに関する情報をくれたのだが、その製造に再現性と安定性はなく、まだ技術体系としては確立していないものだった。アルテナのイーヴァナは奇跡的に完成した一基、と言って問題ないレベルだと、ミィアルーンは言っていた。
『それでパイオーレ提督、首都防衛艦隊は北天艦隊と合流しますか?』
「戦力の一点集中を考えるとそれが好ましく思えます。いいかしら?
『もちろんです。ヒュルンヒルデ提督やミリムネル提督から連絡はありましたか?』
「ヒュルンヒルデ提督は南天方面の常在戦力も連れて来ると言ってました。もう向かっているはず。ミリムネル提督の対海賊艦隊は防衛線より前に出て情報収集をしてくるそうで、合流はそのあとに」
『わかりました。マーラ帝国軍も動いてくれるそうですが……』
「いきなり信用しろと言われても、抵抗はあるわね」
『そうですね』
ふたりの提督は本音を漏らした。この作戦はマーラ帝国軍との連携が前提にあるため、両帝国も部下には日頃から帝国へのわだかまりは一旦置いておき、協力するようにと言ってはいるものの、その提督で完全に信用できているかと言われると難しいところがあった。
「でも、力を合わせないと宇宙が終わる。やらないといけない」
『そうですね。南天宙域戦でも提督が集まり、その上でZリーヌンスの奇跡があって勝利することができましたが……今回も奇跡を期待してしまいますね』
「わたしもそう。でも、アーリア提督はいつもZリーヌンス頼りにしてはいけないと言っているわ」
『奇跡を待って努力を怠るのは愚かな選択です』
「その通りよ」
『時間を取らせました。首都防衛艦隊を北天宙域へ向かわせます。また後ほど』
「報告ありがとうございます、オルフレミア提督」
ふたりは画面越しに敬礼し合い、通信を終えた。
「テリアル司令、エスカレイドとアスタリアはドックかしら?」
「そのようです。アスタリアは大改修をしていたのですが、それも終えて、試験運用から戻っています。リネイの運用練度も向上していると、アリメル艦長から報告もあります」
「さすがね。ありがとう。ちょっとそっちの様子を見てくるわ」
「わかりました。首都防衛艦隊の受け入れの用意も進めておきます。マーラ帝国軍に輸送する母乳のこともあるので、基地の管制は大変です」
「大きいこの基地が手狭に感じることがあるなんてね。――乗り越えましょう、わたしたちならできます」
「全力をつくします」
テリアルは敬礼する。
パイオーレは思う。これはかつてない総力戦になる――と。先の南天宙域での戦闘も大規模な総力戦になったが、今回はそれを上回るものだ。オッパリオンの全戦力が投じられることになる。それにマーラ軍も加わることになり、規模としては宇宙史でも希有なものになると予測された。
この規模の軍を円滑に動かし、効果を発揮するのは大変なことだが、やるしかない――パイオーレはそう思いながら、テリアルの執務室を後にした。
オッパリオンとマーラ。
二つの星はわだかまりはある物の、未来を勝ち得る為に協力する。
大いなる力を巡った二つの星は今、絶望の未来に立ち向かう為に歩みを進める。
桐生スケキヨ次回予告。
大改修された特務艦アスタリアはどうなったのか!?
また、エスカレイドにも変化が!?




