↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
40/487

【第2章】宇宙艦隊オッパリオン037話「クァード艦長アリメル」

本日の更新は!

フレイアに連れられ、クァードへやってきた翔平と奈菜。

そこには、オッパリオンから派兵された5人の優秀なオッパリオン人パイロットとミィアルーン博士がいた。

フレイアは自慢の胸を張り、パイロットの優秀さを自信たっぷりに話す。

新たなる艦内で、新たなる出会いを果たす翔平と奈菜の運命はいかに!?

二人は、フレイアに連れられクァードの艦橋へと向かうのだった。


新たなる戦いが、新たなる舞台で始まろうとしていた・・・。

【〇三七 クァード艦長アリメル】


 クァードの通路はスタティアによく似た雰囲気だったが、スタティアに比べるといくらか狭く感じられた。

 艦橋へ向かう途中も、何度となく乗組員とすれ違う。


「まだ追撃されているのかな。だとしたらあんまり悠長にもしてられないか」


 フレイアは海賊部隊の追撃を気にしている様子だった。


「すぐに仕掛けては来ないのか?」

「どうだろう? クァードは足が速いけど、あの海賊艦も相当に早いからね。距離を保つことはできても、ジャンプしないと引き離すことはできないんじゃないかな」

「また戦闘になるのか……」

「望むところよ。どのみちあいつらを撃沈しない限り、こっちは落ち着けないんだから。つきまとわれているくらいなら、こっちから仕掛けるくらいの勢いが欲しいくらいね」


 真剣な面持ちで、フレイアは勇ましいことを言っている。

 そしてそんな言葉を聞いていると、翔平たちは艦橋への扉の前に到着した。


「ここが艦橋入り口。スタティアと比べると狭いかもね」


 そう言いながらフレイアは扉を開けた。


「フレイア、入ります。ショウヘイとナナを連れてきました」

「お疲れ様、フレイア」


 フレイアが入ると中央モニターの前に立っていた女性が振り返り、そう声をかけた。そして翔平たちの方を見る。


「はじめまして。クァード艦長のアリメル=スタンディレラです」

「同じく、副艦長のスオリー=タレットです」

「どうも、丹澤翔平です」

「桃ノ瀬奈菜です」

「存じています。お目にかかれて光栄です」


 アリメルはお淑やかなそうな印象の、かなり若そうな女性だった。物静かげな笑みを浮かべ、翔平たちを迎えてくれた。


「急な来訪でご迷惑をおかけしました」

「いえ、ステーションがいきなり襲われたので助かりました。あのまま俺がいたらステーションを破壊されていたかもしれないですし。その後、海賊たちはどうしたんですか?」

「あの建造物への攻撃は続けなかったようです。あなた方が離れた後は追撃に回っていたようです」

「よかった……」


 ステーションがあれ以上被害を受けたことはないようなので、翔平はとりあえず安心した。


「アリメル艦長、海賊たちは追って来てるの?」

「ええ、本艦後方を一定の距離を保ちながら追ってきてます。簡単に諦めてはくれないようですね」


 その言葉を受け、フレイアは中央モニターのレーダーに目をやる。クァードの表示の後方には海賊艦のマーカーが表示されていた。


「こっちから仕掛けちゃえば?」

「そうは行かないわ。わたしたちの任務はZリーヌンスの保護です。海賊艦の撃滅は優先事項ではありません」

「……じれったいわね」

「でもこのままではそう遠くなくまた交戦になりそうね」


 副長のスオリーのその言葉に、フレイアは頷いた。


「ショウヘイさん、それにナナさん。おふたりにはしばらくこのクァードに滞在してもらいます。安全の保証は確約できませんが、わたしたちが全力であなた方をお守りします」

「と言うと、やっぱり連中の狙いは俺なのか……」

「そう思われます。我々が得た情報では帝国内の過激派が派閥を拡大し交戦路線になっていると聞きます。その上でオッパリオンへの再侵攻も懸念されており、帝国としては前回オッパリオンを守ったZリーヌンス殲滅を目的に動いているのではと」

「殲滅……」


 自分がその対象になっている、そんな自覚はすぐに持てなかったが、翔平はまた自分が狙われていることに歯がゆさのようなものを感じた。


「でも、オッパリオンと帝国は休戦してるんですよね?」


 奈菜がそう言うと、アリメルは静かに頷く。


「はい。表向きは。裏では帝国は再侵攻を目指して軍備を拡大しています。それに海賊たちを使い、非正規に様々な工作も行っているようです。オッパリオンではおおっぴらに軍を動かすことはできないので、現在は後手に回ってしまっています。そんな中Zリーヌンスだけは死守しなければと、条約違反ギリギリではありますがスタティアを中心とした部隊を派遣するに至りました」


 淡々と語るアリメルであったが、状況は少々複雑そうだった。


「本来海賊を取り締まるのは警察機関の仕事だからね。あたしたちみたいな軍隊が動いちゃうのはちょっと問題なのよ」


 フレイアは苦笑いを浮かべながらそう加えた。


「そういうことです。ましてやスタティアは新鋭艦ですし、目立ちますからね。帝国側から申し立てがあれば言い訳はできません。ですが今のところその動きはないようです」

「帝国だって海賊を使ってるから強くは言えないんだろうよ」

「博士?」


 その言葉と共に、ミィアルーンが艦橋に入って来た。


「Zリーヌンス反応がさっそく検知されてるよ。ショウヘイが来ただけでこの艦の母乳機関に影響が出てるようだ」

「俺はなにも感じてないけど……」

「Zリーヌンスも母乳力と同じで生体エネルギーだからね。無意識的にも発揮されているんだろうさ」

「本艦がZリーヌンスの恩恵を受けるのは喜ばしいですね。できれば追っ手を引き離したいところですが、そこまでにはいきませんか」

「現状では数%の出力が上がった程度だからね。ゼータリオンを起動すればもっと上がるかもしれない」

「なら乗りましょうか?」


 翔平がそう申し出るとアリメルは首を振った。


「現状では許可できません。海賊たちはどういうわけかZリーヌンスを検知、追尾する技術を持っているようですし。我々を追撃されるのは好ましくありませんので、反応を大きくするわけにはいきません」

「そ、そうですか」

「でもこのまま追撃されててもしょうがないって。このままスタティアと合流したらあの海賊艦まで連れてくことになっちゃう。なにか策があるの、艦長?」

「その件なのですが――」

「艦長! スタティアより入電!」


 アリメルがなにかを言いかけた時、通信士のひとりが声を上げた。


「待っていたわ。スタティアはなんて?」

「はい。短文での連絡です。『予言あり、惑星ラメルに向かわれたし』とのこと」


 スタティアからの連絡で予言と聞いた時、翔平はシアのことを思い出した。あの寡黙な予言者は今回もスタティアにいるのだろうかと。


「惑星ラメルに?」


 フレイアは首を傾げながらアリメルを見た。


「あそこは中立の交易都市ですね。帝国の支配下ではないですが……あぁ、そうですか」

「なにかわかったの?」

「ラメルには予言者がいます。古い記憶を引き継いでいる予言者です。予言があったということは、そこでなにかがわかるのかもしれませんね」

「どういうことです?」


 翔平が尋ねる。


「わたしたちの今回の任務はZリーヌンスの保護ですが、同時にもうひとつの任務があります。それはZリーヌンスの解明です。Zリーヌンスを守るだけでなく、その力を解明することでより有意義にその力を使おうというものです」

「なるほど……」


 翔平自身もZリーヌンスのことはまるでわかっていない。ただただ強い力だということ以外は不明なことも多く、母乳力との関係性だってまるでわかっていない。その解明となれば自分でも気になるところだった。


「ここからラメルまでの距離は?」

「はい。測定しましたがジャンプ一回と一日ほどの通常航行で到着できます」

「わかりました。クァード、進路を惑星ラメルに。ニュートレースジャンプはできそう?」

「了解しました。周辺環境をスキャンしましたが現宙域はニュートレースジャンプには不適合と判断されます。ジャンプ可能宙域まではもう少し進む必要があります」

「わかりました。航海を続けましょう。引き続き後方の海賊艦には注意して」

「了解です」


 アリメルの指示を受け、艦橋内はにわかにせわしなさを持ちはじめた。


「フレイア、ショウヘイさんたちを部屋まで案内してあげてください。着替えも用意してあるので」

「はーい。ま、パイロットの出番はすぐにはなしってことね。ショウヘイ、ナナ、ちょっとはくつろげるようにしてあげるよ」

「ありがとうフレイア」

「ありがとう。……向かう先の惑星ってどんなところだろう」


 異文化交流に興味を持つ奈菜は向かう先に興味を向けていた。


「大きい交易都市のある中立惑星だね。いろいろな人種が集まっている、ナナ女史にとっては興味深いところになると思うよ」


 ミィアルーンが楽しげにそう言う。


「そこでなにがあるかはわからないけどね」


 奈菜に向け、フレイアはウインクしながらそう言った。


「なにか感じませんか、フレイア」

「うーん……特になにも」


 アリメルとフレイアのそんなやりとりに疑問を感じていると、ミィアルーンが口を開く。


「アリメル艦長はフレイアに予言者の才能があると思っていてね」

「自覚はないわ」

「でも、フレイアの直感は当たりますから。戦闘の記録を見ても、予言者の資質はあるとわたしは思っています。この任務を終えたら詳しく調べてもらいましょう」

「あたしはただのパイロットでいいよ。じゃあ艦長、ショウヘイたちを案内してくる」

「頼みます」

「わたしも格納庫に戻ろう。久しぶりにZリーヌンスと対面できたんで、データがあるうちに細かい調整もしておきたいしね、母乳機関の」

「お願いします」


 穏やかな艦長に見送られ、翔平たちは艦橋を後にした。


「アリメル艦長は優秀なんだけど、ちょっと大人しすぎてね」


 出るとフレイアはそんなことを言った。


「戦うばかりが軍人の本文でもないってことだよフレイア。慎重さがあるのはいいことさ」


 と、ミィアルーン。


「わかってるつもり。だからあたしも安心して出られるんだし。実際にアリメル艦長はクァードを上手く使えてるようだしね」

「そうだね。スタティアの支援艦とは言え相当な火力はあるわけだ。速力だって最高峰を出してるし、いい艦だよ、これは。母乳機関も安定しているし。Zリーヌンスを受けてどれほど出力が上がるかが楽しみだよ」


 ミィアルーンは相変わらず自身の興味に正直だった。


「でも、ゼータリオンは使えないんでしょう?」


 翔平が尋ねるとミィアルーンは頷いた。


「許可は出ていないからね。わたしとしては今すぐにでも起動させたいところだけど」

「わたしも早く感じてみたいかな、Zリーヌンスの力ってのを」


 前を歩くふたりが翔平に注目する。


「俺を見られても……」

「はは、半分は冗談だよ。ショウヘイはくつろいでいてくれていいさ。たいがいのことはフレイアたちがなんとかしてくれるだろうからね」

「そうそう。安心してて」


 フレイアたちに対する信頼はミィアルーンからもあるようだった。それを感じ、翔平や奈菜にも少しだけ安堵の思いが広がった。


「でもずっと追いかけられてるのも気になるかな」

「ラメルは海賊に厳しいからね。あそこに行けば海賊という隠れ蓑が逆効果になって追ってはこれないだろうよ」

「だといいんだけど。でも帝国なんてなにするかわからないからね」


 当面の目的はできたものの、その先でなにがあるかはまったく予想がつかなかった。

 翔平も奈菜も不安はあったものの、とにかく今はこのクァードの人たちを頼る以外になかった。


「あ、まずはショウヘイたちの服だっけ。そういう支給品はシュレンが詳しかったかな。聞きに行ってみよう」


 だがこのフレイアの明るい性格や、受け入れてくれる艦のみんなの気持ちが、翔平たちには心地のよいものとなっていた。

次回は、中立惑星ラメルに向かうのか!?

それとも、海賊艦との戦闘になるのか!?

Zリーヌンスを巡る戦いにご期待ください!!


評価・感想・レビュー・ブクマお待ちしておりますので、よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。