【第2章】宇宙艦隊オッパリオン036話「クァード機動兵器部隊の面々」
今回もやって参りました、宇宙艦隊オッパリオン第2章の累計話数36話。
オッパリオン人のフレイアによってフレイアの母艦であるクァードへ連れてこられた翔平と奈菜。
同じくクァード隊のメンバーである、シュレン・リアリィ・レマス・リクサーヌと出会うことに。
一体、彼女達は何故再び翔平の前に現れたのか?
再び始まる、宇宙艦隊を舞台にした冒険に胸が揺れる時が来る・・・。
宇宙艦隊オッパリオン36話始まります!
【〇三六 クァード機動兵器部隊の面々】
フレイア機がクァードの機動兵器格納庫へと入る。翔平は中から格納庫の様子を見ると、スタティアで見た光景との大差を感じなかった。そのせいか、どこかなつかしさすら感じられた。
「フレイア機帰還。ハンガーにかけるわ」
『格納庫了解。お疲れ様でした』
管制とのやりとりがされ、フレイア機が固定される。
するとフレイアは操縦桿から手を離し、伸びをする。
「う~んっ! 我ながら上出来ねっ」
「ありがとう、助かった」
「なにも言わさずに連れて来ちゃったわけだけどね。あなたに危機が迫っていたことだけはわかって」
「わかったよ。また狙われたんだな、俺」
「そういうことね。人気者はつらい?」
「人気者って……」
「あはは、そんな感じじゃない?」
フレイアはシートから腰を上げ、コクピットハッチを開いた。
「ようこそ、クァードへ。一同はあなたたちを歓迎するわ、ショウヘイ、ナナ」
そう言い残し、フレイアはハッチの外へ飛び出すように足場を蹴って行った。
「……アーリア提督とは随分違った性格の人ね」
「そうみたいだね」
奈菜がフレイアの第一印象を語りながら、体を起こしてきた。
「俺たちも出よう。この中じゃもう宇宙服は必要ないな」
「うん」
とは言えこの場で脱ぐわけにも行かず、宇宙服のまま奈菜とコクピットハッチに身を乗り出した。
すると目の前を別の機動兵器が通る。兵器とは思えないような、澄んだ水色をした機体で、それはフレイア機のとなりに固定される。見るとフレイア機とよく似た、ほとんど同じような機体だった。
その機体を横目に、翔平は開かれたハッチに立ち、中の奈菜に手を貸して連れ出した。
「降りてみよう」
「うん」
奈菜の手を掴んだまま、ハッチから飛び降りる。緩やかな重力がかかり、緩やかに体が降下していく。
すると――。
「やぁショウヘイ、ナナ」
聞き覚えのある声がした方を見ると、そこにはミィアルーンの姿があった。
「博士!」
「博士!」
翔平と奈菜は同時に声を上げた。
「また会えてわたしは嬉しいが、キミたちは複雑かな?」
「そんなことないですよ」
「わたしも嬉しい!」
ふたりが着地すると、ミィアルーンがそばに歩み寄ってくる。
「ショウヘイたちを迎えに行くと聞いてね。わたしはスタティアに乗っていたのだけど、こちらに乗せてもらって来たよ」
ミィアルーンはそんなことを楽しげに言っている。
「博士抜きでスタティアは大丈夫なんですか?」
「ああ、優秀な乗組員と技術班がいるから問題ないよ。提督からもちゃんと許可はもらっているし、むしろ歓迎されたよ。それに、わたしだけじゃなくてこいつも積んで来たわけだしね」
「こいつ? あっ」
ミィアルーンが目線を向けた先を追うと、そこには翔平にとって見慣れた機動兵器、ゼータリオンが固定されていた。
「ゼータリオン!」
「今の機動兵器にはすべてにZリーヌンスの影響を受ける母乳機関が搭載されていてね。戦闘になるかもしれないからそうなったらZリーヌンスが役に立つだろうからって、提督が積んでくれたんだ。今のゼータリオンには母乳転換炉の技術も組み込まれていてね。皇女殿下の母乳がそう多くはないが搭載されているよ」
「皇女様の? じゃあ俺も戦えますね」
「まぁキミが戦場に出るかどうかはわたしの判断ではできないけど、一応実戦は可能な状態だね。正直、前回と違って今回はこちらが優勢というわけではないようだから、戦場に出るのは危険かもしれないね」
「優勢じゃない……んですか?」
「敵の性能も上がっていてね」
「大丈夫、大したことないって」
フレイアの声が聞こえたかと思うと、上からフレイアが降りてきた。
「おっと、そうかなフレイア?」
「ちょっとは手応えある感じになったかなってくらいよ。博士たちは心配しすぎ。もっと自信持って行かないと」
「フレイアはいつもこんな感じでね。自信があるのはいいし腕も確かなようだけど、もう少し慎重にっていつも言われてるよ」
ミィアルーンは苦笑いしながらそんなことを言った。
「慎重にやってるつもりだけどね」
「フレイアの慎重はあてにならないよ」
「リアリィ!」
フレイア目がけ、もうひとりが降りてくる。
パイロットと思われるオッパリオン人だった。
「へぇ、この人が水平の銀河の人間……」
リアリィと呼ばれた女性は床に足をつけつつ、翔平と奈菜を交互に見る。
「本当、わたしたちとあまり変わらないね」
「でしょう? 星は遠く離れてるのに不思議よね。シュレンは?」
「今来るよ。シュレンも興味あるみたいだったし。あぁ、ちゃんと自己紹介しないと失礼かな。わたしはリアリィ=ローベル。クァード機動兵器部隊のパイロット。よろしくね」
「よ、よろしく」
「よろしくです」
「有名人に会えて光栄。ちょっと緊張しちゃうな」
「ふふ、リアリィが緊張だなんて珍しい」
「わたしだって緊張くらいするよ。緊張なんてしないフレイアにはわからないだろうけど」
「言ってくれるわね。あたしだって緊張くらいするって」
「あらあら、お客さんの前でまた言い争い?」
「遅いよシュレン」
スッと横から現れた、どこか落ち着きのある風貌の女性。やはり床に足をつけると翔平たちを見る。
「はじめまして。シュレン=リサリオです。機動兵器部隊でパイロットをさせていただいてます」
そう言い、シュレンはぺこりとお辞儀をした。
「お辞儀……」
その仕草を見て、奈菜は少し驚いた。
「あら、なにか変でしたか?」
「い、いえ。お辞儀って地球の文化かと思ったので」
「ふふ、そうでしたか。オッパリオンでは感謝や挨拶の時にこうする文化がありまして」
「地球と同じですね」
「まぁ、そうでしたか」
奈菜はにこりとしてシュレンに応えた。するとシュレンもにこりと微笑む。機動兵器のパイロットとは思えないくらいにおとなしい印象の女性だった。
「この三人がクァード部隊の攻撃隊だよ。ちょっと軽々しい感じがするけど実力は確かなものさ。あの黒騎士や大型機動兵器の猛攻からクァードを守り切ったんだからね」
ミィアルーンは翔平たちにそう説明した。
「軽々しいかしら?」
フレイアは首を傾げる。
「いいんじゃない? フレイアのいいところだよ、それ」
リアリィがそう言うと、フレイアは首をすくめて見せた。
そのフレイアがふと上に目線を向ける。そこにはひとりのパイロットが浮いていた。
「レマス、降りて来なよ。水平の銀河の人間、見たいでしょ?」
その声に翔平も顔を上げると、頭上にいた女性と目が合った。
「ほぁ……これが遙か水平の銀河の……」
レマスと呼ばれた女性はゆっくりと体を下ろしてくる。
「報告では聞いていたけど、本当にボクたちと似てるんだね。驚き……」
ジッとこちらを見つめるレマスの瞳は、左右でその色が違っていた。
「防衛隊のレマス=ロッドだよ。目の色は生まれつきさ。気になる?」
「い、いや。ちょっとめずらしくて」
翔平が答えるとレマスはにやっと笑みを浮かべた。
「おぉ、水平の銀河の人間の興味を引けたっ。やったね」
「それが嬉しいの? まったく、レマスは変わってるよ」
リアリィは苦笑いを浮かべ、降りてくるレマスの手をとって着地させた。
「あとはもうひとりいるんだけど……もしかして整備に行っちゃった?」
「まさか。リクサーヌだってこっちが気になるって。――ほら、あそこ」
リアリィが顔を向けた先に視線を向け、フレイアが苦笑した。
そこは機動兵器の足下で、体を半分隠してこちらを覗いている女性がいた。
「リクサーヌ! こっちにおいでって! なに隠れてるのよっ」
フレイアが笑顔でそう呼びかけると、リクサーヌと呼ばれた女性はどこかおどおどしながら機動兵器の足から体を出した。
布面積の少ないオッパリオンのパイロットスーツから見える肌は褐色をしている。
「だ、大丈夫かな? 水平の銀河の人って、オッパリオン人を怖がったりしない?」
「大丈夫よ。ショウヘイもナナも慣れたものよ。ね?」
「あ、ああ」
「そうね。もうすっかり」
翔平と奈菜がそう答えると、リクサーヌは安心したようにはにかんだ。その表情はどこか幼さの残る様子があった。
「よかった……。あ、リクサーヌ=バレツカです。……パイロットやってます、よろしく……」
「この五人がクァード機動兵器部隊のパイロットですね」
シュレンがそう言うと、フレイアはどこか誇らしげに胸を張る。
「そう、オッパリオン最強部隊ってわけ」
「スタティア組もあるし、それは言い過ぎじゃないの?」
「いいのよリアリィ。あたしはそう思ってるの。実際、あたしたちは強いわ」
「ふふふ、フレイアは自信家ね」
「まぁボクもボクたちは強いとは思ってるかな」
「みんな自信あるなぁ……。わたしなんか不安が多いよ」
「大丈夫、リクサーヌだって強いじゃない。あたしは知ってるよ」
どこかアットホームで和気藹々としたクァード機動兵器部隊の面々を前に少し圧倒されていると、ミィアルーンが肩に手を置いた。
「どうだい? 驚いたかい? これがフレイアの部隊さ」
「え、えぇ、まぁ――」
「ちょっと博士どいてっ。ねぇショウヘイ、水平の銀河ってオッパリオンよりかなり遅れてるって聞いたけど宇宙に出てからどれくらい絶つの?」
「その着てる服はそっちのファッションなのかい? だとしたら随分変わってるね」
「ちょっとフレイアにリアリィ、いきなりそんなこと聞いても失礼じゃないかしら?」
「ボクも聞きたい。そっちの人たちはなに食べてるの? 美味しいものってある?」
「そっちには機動兵器がないって聞いたけど、どういう兵器を使っているのかな……」
――と、翔平たちは取り囲まれて質問攻めに遭う。
ミィアルーンは輪の外に追いやられ、やれやれと言った面持ちで頭を掻いていた。
翔平たちが答えに困っている時――。
『クァード艦橋より機動兵器パイロット各員へ。各員は持ち場に戻り待機。フレイアは要人を連れて艦橋へ来てください』
「あや、呼び出しされちゃったよ。質問タイムは後回しだね」
「仕方ない。持ち場に戻るか。フレイア、案内お願いね」
「はいはい。じゃあ行こうかショウヘイ、ナナ。クァードの艦橋へ案内するよ」
「わ、わかった。よろしく」
囲いは解かれたものの、パイロットたちの興味に満ちた視線は外れていなかった。
翔平と奈菜は依然圧倒されたまま、艦橋へ向かうフレイアの後について進み出した。
「あっと、その前に」
「え?」
「そのごつい服装、なんとかならない?」
「あ、ああ。ここで脱いでも?」
「いいよ。整備班なら興味津々でしょ、その服装。メカっぽいし」
「じゃあ脱ごう。奈菜も」
「そうね」
「わたしが預かるね」
気付くとリクサーヌがそばに来ていた。
翔平たちが脱いだ宇宙服を、リクサーヌは手に取って興味深そうに見ている。
「なるほど……これは生命維持装置みたいな役割なのか……。すごい大型で効率悪いけど、これがあっちの技術の現段階での最適解なのかな……」
そしてそんなことを呟きつつ、宇宙服を持ってどこかへ行ってしまった。
「リクサーヌは機械好きでね。機動兵器の整備の手伝いもよくやってるのよ。部隊では最年少だけど、頼れる仲間」
「そうなんだ。宇宙服、分解されたりしないかな」
「あはは、約束はできないかも。でも大丈夫、分解したとしても元通りにされてるはずよ。じゃ、行きましょ」
冗談とも本気とも取れないことを言い、フレイアは艦橋へと向かう。
翔平と奈菜はスタティアの時とは違う雰囲気に、戸惑いのようなものを感じつつも、居心地の悪さは感じてはいなかった。
次回もまだまだ続きます!
宇宙艦隊オッパリオン引き続き応援よろしくお願い致します!!
評価レビュー等はいつも通り、いつものように受け付けておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
次回更新日は土曜日予定。




